かづゑ的

劇場公開日:

  • 予告編を見る
かづゑ的

解説

「三池 終わらない炭鉱の物語」などで炭鉱に関わる人々を追い続けて来たドキュメンタリー映画監督・熊谷博子が、瀬戸内海のハンセン病回復者・宮崎かづゑさんにカメラを向けたドキュメンタリー。

瀬戸内海の長島にある国立ハンセン病療養所・長島愛生園。かづゑさんは10歳で入所してから約80年、ずっとこの島で生きてきた。病気の影響で手の指や足を切断し、視力もほとんど残っていないが、周囲の手を借りながら買い物も料理も自分で行う。患者同士のいじめに遭うなどつらかった子ども時代には、家族の愛情とたくさんの愛読書が、彼女を絶望の淵から救ってくれた。そして夫の孝行さんと出会ってからは、海沿いの夫婦寮で自然とともに暮らしてきた。

いつも新しいことに挑戦しているかづゑさんは、76歳の時にパソコンを覚え、84歳で初の著作「長い道」を出版。熊谷監督が2016年から8年間にわたって長島愛生園に通い続け、かづゑさんの日常を映し出す。俳優の斉藤とも子がナレーションを担当。

2023年製作/119分/G/日本
配給:オフィス熊谷
劇場公開日:2024年3月2日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
撮影
中島広城
映像技術
柳生俊一
録音
奥井義哉
整音
小長谷啓太
編集
大橋富代
音楽
黒田京子
ナレーション
斉藤とも子
助監督
土井かやの
宣伝美術
安倍大智
全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11

(C)Office Kumagai 2023

映画レビュー

5.0表現者のドキュメンタリー

2024年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

宮﨑かづゑさんという、一人の表現者についてのドキュメンタリー作品だ。10歳から80年間、ハンセン病療養所で生活してきたかづゑさんの好奇心旺盛に生きる姿を近距離でカメラに収めた作品で、被写体のかづゑさんと熊谷監督の距離の近さが素晴らしい。物理的に近いだけじゃなく、心の面でも距離感が近くてだからこそ、撮れる画がたくさんあって感動する。
瀬戸内海にある長島愛生園の歴史も語られる。ハンセン病の差別の歴史をテーマにした作品ではないが、かづゑさんがどんな環境で人生を送ってきたのかを知ることで、今のかづゑさんのたくましさと美しさの本質に迫れる部分がある。「本当のらい患者の感情を知ってほしい」とかづゑさんは言う。この映画には、僕が知らないことがたくさん描かれていた。この島の自然はとても美しい、かづゑさんは「ここは天国でもあり、地獄」という。かづゑさんの言葉は天国と地獄、両方を知る人の含蓄に溢れていて身につまされる。
かづゑさんのようにいつでも好奇心を学ぶ姿勢を失わないようにしたいと心から思った。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
杉本穂高

5.0いい映画を観た

2024年10月20日
PCから投稿

ドキュメンタリー映画は
結構好きなのですが
その中でも
自分的には
かなり観てよかったと
思える作品でした。

誰しも
人生谷あり山ありだけれど
わずか10歳で
らい病に罹患し
親から引き離されなければならないなど
いくつもの
深すぎる谷高すぎる山を
通ってきたかづゑさん。

ご本人もおっしゃるように
ちゃんと生きて来られて
人として本当に立派だと思います。

本を読み、
自分の頭で考え、
自分の言葉で伝えようとすること。
やろうと思えばできると
何でも自分でやってみようとすること。
身近な人を
励ましたり支えたりすること。
人として大事なことを
確認させていただく映画でした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
アツコ

「絶望などしていない」「可哀想と思われたくない」

2024年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 十歳でハンセン病を発症して以降、国の「らい予防法」の規定に従う形で80年間を瀬戸内海の小島「長島愛生園」での隔離された生活を余儀なくされて来た宮崎かづゑ さんの生涯を振り返るドキュメンタリーです。

 作品冒頭、ご自身の来し方を振り返るかづゑさんの

 「絶望などしていない」「可哀想と思われたくない」

の力強い言葉にハッとさせられます。こうした映画を観る時、やはりどうしても我々は「可哀想」の視点に立ちがちだからです。そして、彼女は、

 「らいはらいであって、ハンセン氏が作りだしたものではない。らいは、神話にも聖書にも出て来て、神が人間にくっつけた病。だったら、らいになった事は光栄」

とまで語るのです。しかし、その様な強さに辿り着くまでに、我々には想像も出来ない大きな葛藤や苦しみがあったのだろうなとやはり想像してしまいます。

 病のせいで瞳孔が開きっぱなしなので常にサングラスをかけ、病のせいで両手の指を失っているのですが、彼女は真っ当な生活を送ります。そして、最後には、

 「ちょっと自惚れさせて頂いたら、ちゃんと生きたと思う」

と言ってのけるのです。その言葉がなんと力強い事でしょう。

 一方で、ハンセン病は既に治癒可能な感染症となっていたにも拘わらず、患者隔離を定めた「らい予防法」が廃止されたのは1998年のことであり、患者に対して行われた強制不妊手術に対しては裁判闘争が長年続けられて来ました。いつもながら、行政の対応は余りにも遅いのでした。

 ただ、この映画に対しては、言わずもがなかも知れませんが気になった点が。ドキュメンタリーにも演出があるのは勿論の事だし、それが問題だとは全く思いません。でも、本作では「感動を喚起するためのTV的(分かりやすい)演出」が幾つか目に付きました。そんな事しなくても、事実の叙述だけで十分心に届くのになとちょっとだけ残念でした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
La Strada

4.5素敵なところと物足りなかったところ

2024年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

萌える

 「体を張った」という売りの作品よりも何倍もの素敵な姿を拝見することができた。
 ご夫婦の間のプロポーズの言葉や言い残した言葉については、照れもあるのか、曖昧にまとめられていた。
 ただ、鹿屋の上野正子氏の夫の断種手術を知った痛恨の言葉を何度も聴いた経験からすると、このご夫婦の場合のその件についての思いを十分引き出し得ていないのではないかと思った。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
てつ