牯嶺街少年殺人事件

ALLTIME BEST

劇場公開日:2017年3月11日

解説・あらすじ

台湾の名匠エドワード・ヤンが手がけた青春群像劇。1991年の第4回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、ヤン監督の日本初公開作品として92年に劇場公開された。61年夏、14歳の少年が同い年のガールフレンドを殺害するという、台湾で初の未成年による殺人事件が起こる。不良少年同士の抗争、プレスリーに憧れる少年の夢、大陸に帰りたいと願う少年の親世代の焦りと不安を描きながら、当時の台湾の社会的・精神的背景を浮き彫りにしていく。主人公を演じるのは、当時まったくの素人だったチャン・チェン。上映時間が188分のバージョンと236分のバージョンが存在し、2016年の第29回東京国際映画祭ワールドフォーカス部門にて、デジタルリマスターされた236分のバージョンがプレミア上映。17年に同バージョンが劇場公開となる。※タイトルの「クー嶺街(クーリンチェ)」の「クー」は「牛」偏に「古」

1991年製作/236分/PG12/台湾
原題または英題:牯嶺街少年殺人事件 A Brighter Summer Day
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2017年3月11日

その他の公開日:1992年4月25日(日本初公開)、1998年3月

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)1991 Kailidoscope

映画レビュー

5.0 脅威の名画

2019年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

画面が暗い。しかし、その闇の深さに吸い込まれる。誰が喋っているのか視認しづらいほどの遠景ショットの多用に加え、暗くてそもそも顔が見えない、そしてエピソードが線でつながっておらず、点の集積であるようなこの作品は分かりづらいが、観るたびに初めて観るような感動を覚える。なぜ少年は少女を殺してしまったのか、明確な裏切りを知ったわけではない、若さゆえの勇み足もある、しかし、その不明瞭な動機は、当時の台湾の不透明さを背負っているようでもある。本作は中国から渡ってきた外省人の家族を描くが、本省人と外省人の争いではなく、外省人の若者たちの争いが描かれている。大人たちは本土に帰れるか不安に感じ、しかし子供世代はすでにアメリカ社会への憧れが芽生えている。世代によって向いている方向が全く逆であるのは興味深い。台湾の置かれた国際情勢がその親子関係にも現れているように思える。理不尽が理不尽を呼ぶ展開だが、確かに世界はこうなっていると納得させられる。何回観ても圧倒される、とてつもなくすごい作品だ。

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杉本穂高

4.0 1961年に台北で起きた、14歳の少年による "ある事件" に想を...

2025年6月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

1961年に台北で起きた、14歳の少年による "ある事件" に想を得た本作。
『恐怖分子』(1986)で世界的な成功を収めたエドワード・ヤンが自らの製作会社を設立して作ったのが今作。ヤン監督自身の家族が1940年代の終わりに中国大陸から台湾に移住した外省人だったように、本作で描かれるのは外省人たちとその家族と少年達。

物語は1960年代初頭の台北。建国高校昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)。7人家族で5人兄弟の4番目の少年。長女はしっかり者の張娟(チャンジュエン)。兄は老二(ラオアー)。次女は張瓊(チャンチョン)でキリスト教信者でもある。三女の張雲(チャンユエン)はまだ幼い。
小四(シャオスー)の学校のとなりに撮影所がある。不良グループ〝小公園“に属しており王茂(ワンマオ / 小猫王(リトル・プレスリー))や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。 小四はある日、足を怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は〝小公園“のボス、ハニーの彼女でハニーは対立するグループ〝217”のボスと、小明を奪いあい問題を起こして姿を消していた。ハニーの不在で統制力を失った〝小公園“は、今では〝中山堂”を管理する父親の権力を笠に着た滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。
小明への淡い恋心を抱く小四だったが、ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。

中国大陸に帰ることを未だ夢見る親の世代と、中国大陸への思い入れはなく、エルヴィス・プレスリー、ジョン・ウェイン主演の西部劇などのアメリカ文化にあこがれる子供たち。親世代の不安や焦燥感は子供たちに伝わり、将来への希望が持てない状態で閉塞感に押しつぶされそうになり悪ガキ共は徒党を組む。
印象的に描かれる夜の闇のシーンは台湾という土地のなかで外省人として生きていかざるを得ない人々の心の闇を表しているらしい。

主人公の小四(シャオスー)を演じるのは、当時まったくの素人だったチャン・チェン。
登場人物が多くて、他にも
5人兄弟の父親、母親の二人
小馬(シャオマー)転入生
小虎(シャオフー)クラスメート
二條(アーティアオ)〝小公園“メンバー
小翠(シャオツイ)滑頭の恋人
山東(シャンドン))〝217”の今のボス
神経(クレージー)山東の彼女
汪國正(ワン・グオチェン)政府の有力者、等。
上映時間が188分のバージョンと236分のバージョンがあるが、188分のは観てない。

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ナイン・わんわん

5.0 凄い作品

2025年6月12日
スマートフォンから投稿

映画の豊かさが詰まっている。
20世紀の最高傑作のうちの一本

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ペーニャ

3.5 未成熟さ故の近視眼(眼鏡が必要だけど禁煙して節約しないと買えない)

2025年4月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

完全初見です。

以前からそのタイトルだけはよく目にしており、観る機会も幾度かありそうでなかったのですがこの度ようやく観れました。

1991年に作られた1961年の話で、2016年に4kデジタルリマスター版が作られた。ということですね。

当時の台湾における社会情勢や背景について色々話はあるのでしょうけども、細かいことはひとまず横に置いてシンプルにこの作品の印象を言葉にすると
思春期感染性メンへラによるいざこざドラマ といった感じかな。

男をとっかえひっかえしまくっている魔性の女学生にひっかかってしまった主人公の小四/張震が、家族・友人・同世代・学校・社会の狭間でもがくも救われなかった(或いは解放された)という印象かな。

思春期特有の雰囲気や心情状況は良い感じに描けているように見えました。

本作監督がショートバージョンの188分版を決定版としたのは、わかるような気がします。映像に魅かれる人ならなんとか4時間近くの236分版に耐えられるかもしれませんが、そうではない人にはあまりにも苦痛な尺ですし。

少年による殺人事件は2020年代と1991年とでは、だいぶ印象は違うのでしょうね。
このような事件に纏わる作品が戒厳令解除後 数年しか経っていない台湾で製作され公開されたというのはショッキングだったのだろうと思われます。
また過去の偉大な名作と呼ばれている作品を若い世代が触れると何がすごかったり良いのかがわからない、って場合は上記のような時代性とは別に、もうひとつ、表現がスタンダード化したり普遍化したりして派生・発展した表現が有り溢れている故に、特異性を感じづらいというケースもありますね。

画づくりについてはとても興味深いしおもしろいと感じました。
学校で笑い声の暗闇からバスケットボールだけが出てくるシーンが特に印象的でした。
アクションシーン的なところでは、ありがちなズバッシュバッバキッみたいなSEを全く入れてないのは良いですね~。

ほとんどバストアップ以上の画面を入れずに、引き気味の距離からのレイアウト映像主体なので登場人物が誰が誰だかが結構わかりづらいかな。呼ばれ方も入り乱れているし、グループ名も鑑賞後にネットで調べてようやくハッキリ認識できました(苦笑)上映中は「小公園」というのはてっきりコンサート会場とかの名称かな?(あれ?それで合ってます?)とか「217」はどれかの人物に対する暗号なのかな?とか、まったく的外れな予想の元に観てしまっていましたトホホ。

と、ここまで書いて以前に似たような感想を抱いた作品があったな~と掘り返したら『アウトサイダー コンプリート・ノベル』(1983) /movie/102440/ でほとんど同じ混乱をしながら観ていましたよ私。

アウトサイダーでも感じましたが、やたらと作中人物が売り言葉に買い言葉のやりとりが主体で、すぐ動く・手が出る とか似てますね。時代性とか国民性とかもあるんでしょうけど、私にとってはそのあたりは観ていて辛い部分です。なんで君ら、そうチャカチャカ情緒不安定なまま喋ってばっかりで落ち着いて話せないの?って

その上こちらの作品の場合、登場人物が中学生くらいなのか小学生くらいなのか高校生くらいなのか、さっぱりわからないんですよね。どうみても小学生の10歳前後でしょ、みたいな配役も混じってて。小プレスリーの子か。「ハニー」という渾名も、小明の視点での呼び方かと思ったらそうでもないと気づくのにしばらく時間がかかりました。ハニー自身もキャラクターとして不良?キッズギャング?のリーダーにしては全くそれっぽく見えなかったりで、とかく誰がどういう立場でどういう関係なのかというのがわかりづらかった・・・。

4/16の時点でパンフが品切れていて手がかりがあまり無いのですが、小明が内省人で、小四や小馬らは外省人だという構図なら、確かに小明の立場というのは台湾そのもののように見えて来ますね。現代の台湾の若者からすれば、内だの外だのというのはもはや過去の遺物のようなものでしょうけども。

私自身、台湾にはちょくちょく行ってますけど(少し前に哈爾賓を観てきました)牯嶺街ってどこだ?って見てみたら中正記念堂の側なんですね。今度寄ってみたいです。
ガジュマルの大木を見ると台湾感あります。

ラジオ→懐中電灯→小刀→ラジオ の順ですね。あ、時計もあるか?眼鏡… 寝落ちはしませんでしたよ~

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寝落ち中尉

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