かぞく

劇場公開日:

解説

吉沢亮、永瀬正敏、小栗旬、阿部進之介が共演し、2012年に43歳の若さで急逝した漫画家・土田世紀による未完の絶筆「かぞく」を実写映画化。

父が失踪したマコトは、母と2人で慣れ親しんだ街を離れ、新しい土地で暮らし始める。一方、ケンジは内縁の妻ハルカとひそやかに生活しているが、ハルカはある秘密を抱えていた。妻を亡くし2人の子どもを1人で育てるタケオは、子どもたちと海へドライブに出かける。久々に実家に帰ってきたユウイチは、自分の名前を呼ぶ女性に森の中へといざなわれる。4人の男の4つの家族が複雑に絡み合いながら、喪失から再生へと向かっていく。

実写映画「るろうに剣心」シリーズの衣装デザインとキャラクターデザインを手がけた澤田石和寛が、写真作家・映像作家として活動する際の澤寛名義で映画監督デビューを果たした。原作漫画で描かれた5つのエピソードをもとに、澤寛監督自身の生い立ちや経験を織り交ぜながら現代の家族を包括的に描き、「家族とは何か」を問いかける。舞台音楽家の棚川寛子が音楽を担当。

2023年製作/83分/G/日本
配給:アニプレックス
劇場公開日:2023年11月3日

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(C)土田世紀/日本文芸社,Aniplex Inc.

映画レビュー

3.0未完部分が多すぎるので作品の真価がつかめない

2024年7月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

急逝した漫画家の未完の絶筆作品を実写化した作品のようだ。 そこに難解さの根源があるのは間違いない。 加筆もできず削除もできないのだろう。 では空白の部分をどう埋めたのだろうか? さて、 この作品は、交わることのない場所で生きるそれぞれの人物たちを「かぞく」という枠で捉えようとしている。 冒頭の砂浜をハンドルを持って走る少年 彼は父を交通事故で亡くしたのだろう。 後半でマコトがまったく関係のないこの少年タツヤを助手席に乗せ運転するシーンがある。 これはマコトがふと脳裏に横切った未来の夢なのではないだろうか? 家を出た父がどこかで死んで、すし屋は廃業、借金取りから逃げるために夜逃げする。 しかし母は自殺した。 母の遺骨を海に散布すると、マコトの頭の隅から新しい映像が見えた。 それは、いつか息子を車に乗せて走る光景。 マコトには様々な苦しいことばかりが続いたが、それでも生きていくなら「かぞく」がいたほうがいい。 彼は今まで実現できなかった家族像を自分の家族で実現すればいいのではないかと希望を持ったのだ。 そしてタツヤ少年 彼を慰めようとクラスメートたちが寄り添ってくれる。 父の事故は悲しみしかないが、友だちがいる。 おそらく家に帰れば母も兄妹も、もしかしたら祖父母もいるかもしれない。 海に入ってはしゃぐ姿は屈託のない少年たちの明るい未来を象徴している。 ケンジ ギャンブル依存症 妻に金をせびる 「体を売れば?」などと冗談さえ禁句なことをいう。 財布からくすねたお金で競馬するが、相変わらずスッてしまう。 妻はもう限界だった。 スナックのトイレで見たケンジの顔には、妻がナイフで顔を切りつけ血だらけになっている姿が重なって見えた。 それは、ケンジが今までどれだけ妻を傷つけてきたかという幻覚 妻の怨念 または彼の気づき。 さすがにマズいと思った彼は早々に自宅に戻る。 妻は夫が戻ってきた安堵が逆に動揺へと変わる。 「半年後、猫でも飼おうよ。大切にするからさ」 この言葉に妻は泣きもだえる。 しかし、もう妻の決断は下されていたのだろう。すでに腹は決まっていた。置手紙も書き終えていた。 ケンジとは別れる選択を切った後に、彼からこんなにやさしいセリフが語られるなど夢にも思わなかった。 タケオ 妻の死 貧困 生活の限界 子供を海岸まで連れて行って置き去りにする。 車で死ぬつもりだった。 ヒマワリが咲き誇っている道もタケオには目に入らない。 思い詰めるように森の中で止めた車に迷い込んできた蝶。 そのまま海岸まで行く。 兄妹二人が楽しそうに遊ぶ姿を見て置き去りにする。 限界 それしかない もうどうにもできない 急カーブを曲がりながら死のポイントを探す。 ボードの上に泊まる蝶 反対車線のトラック 急ハンドル 事故を回避してしまう。 飛び去った蝶に「キレイ」 生きている実感 急いで引き返す。 絶望の淵にいたタケオは二人の子供がいることにようやく気が付いた。 何もなくても、家族がいる。 きっとそう思ったのだろう。 ユウイチ おそらく未完部分の大半がこのストーリー そうであれば、未完部分はそのまま未完にしたのがこの作品だろう。 チエコの幽霊 湖で亡くなった彼の恋人 なぜ彼が久しぶりに実家に帰省したのかは不明 彼の様子から自分でもよくわからなかったのだろうが、チエコが呼んだのは間違いなさそうだ。 彼女とはかつて結婚の約束もしていたのだろう。精霊のようになった彼女はユウイチの幸せを願っているように感じた。 しかし、彼も妻との問題を抱えていた。 それは何もわからない。 もしかしたら彼がチエコに呼ばれた理由がそこにあるのかもしれない。 しかし、 未完部分をそのまま未完とする意味はどこにあるのだろう? マコトが友人から受け取った餞別 友人の母がマコトの母に渡したもの これも何かわからない。 この部分だけを取ると、それぞれのストーリーにはそれぞれ大どんでん返しがあるはずだったのではないだろうか? さて、 「かぞく」 ひらがなにした意味はわからない。 それぞれにつながりがないので作品として不十分のように思う。 この作品にボヤっとしたものは感じ取れるが、その輪郭がはっきりしない。 だからそれ以上何も言えないことに残念感が残る。

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R41

1.5今日はツイてねえんだよ……

2023年12月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

重い、暗い、理解し難い。 原作が土田世紀だったので、号泣の期待でハードル上げてたのもあるかも。 キット原作ではズシンと突き刺さるモノがあるんじゃないか…と勝手に憶測してしまう。 なんとなくそんな雰囲気だけ掴めたが…。 なんの前情報もなしに観るには難解だった。 どこかで原作探して、もう一度観てみたい。

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奇妙鳥

2.0辛いミルフィーユ

2023年12月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

とにかく重く辛く暗い。 観せる絵力はあるけど、ストーリーは何かありそうな雰囲気を出しながら何もなく浅いなと感じました。 四つのストーリーだからなんとか観れたけど、 一つの長い映画だったらかなりきつかったと思う。 頭に残るカットはたくさんあったので、 良い脚本で次作を見てみたいなとは思いました。

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奥嶋ひろまさ

4.0サイレンス

2023年12月3日
iPhoneアプリから投稿

2012年に肝硬変でこの世を去った漫画家・土田世紀の遺作であるショートオムニバス『かぞく』を基に、4人の男とその家族のエピソードを描いた映画。 映画だけ観た人はよくわからないんじゃないかという印象。原作は、1話10ページにも満たない短編のオムニバスだが、話のテンポが良くもっとわかりやすい。 土田世紀の漫画全体的に漂う演歌的と言いますか、生きるのが下手な人たちの重くて泥臭い部分が前面に出過ぎているのと、映像や音楽の美しさ、セリフの少なさによる静寂さも相まり、なんだか高尚で難解な雰囲気になってしまって…それと同じぐらいポップでバカっぽいところがあるから土田世紀の漫画はグッとくるものがあるんだと思っています。 永瀬正敏や小栗旬では、原作みたいにだらしなくて情けないおっさんにはならかったのが残念だが、映像として観ることが出来たのは嬉しい。ほんとはまだ続くはずの作品だったのになぁ。それと、サイレンススズカの天皇賞の実況は反則やろが泣いた。

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よしお