コラム:編集長コラム 映画は当たってナンボ - 第34回
2009年2月6日更新
第34回:「マンマ・ミーア!」絶好調のスタート。世界中からの売上は400億円規模
週末の興行ランキングで、「マンマ・ミーア!」が初登場2位の好スタートを切った。公開は30日の金曜日であったが、31日・2月1日の週末2日間では、興収3億5200万円という成績(2月1日が映画サービスデイ)。これは、03年の「シカゴ」(35億円)対比207%、また05年の「オペラ座の怪人」(42億円)対比105%という水準。これは、日本におけるミュージカル映画のオープニング記録とのことである。2月4日のレディースデイも絶好調で、この先は興収20億円はおろか、30億円をも狙える体勢で突っ走っている。
正直、批評家の評価は今ひとつだが、観客の満足度はすこぶる高い。早くもリピーターが現れているようで、まさに、不景気をぶっ飛ばす1本と言えるだろう。
とはいえこの作品、関係者もビックリの大ヒットというわけでは決してなく、ヒットの予感と期待はあった。海外での実績がその最たるもの。
全米では、「ダークナイト」と同じ週末に封切られたため、第1位にはなっていない。しかし、全米累計興収は1億4300万ドルと堂々たるもの。「ウォンテッド」や「ナルニア国物語2」より稼いでいる。そしてイギリスでは、何と「タイタニック」を抜いて歴代ナンバーワン・ヒット作となった。また、ロケ地となったギリシャでも08年の年間興収第1位に、さらに興味深いことに、お隣の韓国でも460万人動員し、08年の外国映画でトップの成績を収めているのである。
Box Office Mojoで調べてみると、08年の世界興収ベスト3は、1位「インディ・ジョーンズ4」4.69億ドル、2位「ダークナイト」4.66億ドル、3位「マンマ・ミーア!」で4.33億ドルとなっている。去年、世界中で3番目にヒットした映画であるという事実を知れば、今回の日本での大ヒットにも大いに納得できる。
また、主演のメリル・ストリープにしても、日本においては95年の「マディソン郡の橋」(配収23億円)に次ぐヒット作ということになる。彼女は実に多くの名作に出演し、アカデミー賞はじめ受賞もたくさんしているが、興行で大ヒットした映画というのは実に久々なのである。
さて、今週末は「ハイスクール・ミュージカル」が控えている。こちらは全米で昨年10月に公開され、この「マンマ・ミーア!」を破ってミュージカル映画史上最高の出足を記録している。「マンマ・ミーア!」の余勢を駆って、日本でも是非ヒットして欲しいもの。
それにしても、世界興収およそ400億円。この映画からABBAに支払われる印税は、一体どのくらいになるのだろうか?(eiga.com編集長・駒井尚文)
筆者紹介
駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。
Twitter:@komainaofumi