コラム:編集長コラム 映画は当たってナンボ - 第27回
2008年12月15日更新
第27回:「ウォーリー」好スタート。次は「地球が静止する日」に期待
ディズニー/ピクサー製作「ウォーリー」が日本でも遂に公開となった。全米では今年のサマーシーズンに公開され、これまでに2億2000万ドルを超える興収を稼いだ実績もあって、日本でもそれなりの商いは見込まれていたが、思いがけず「ハリー・ポッター」の6作目が公開延期になったおかげで、正月映画の大本命に昇格である。期待もノルマも大幅アップというわけである。
気になる公開2日間の興収は、およそ4億5000万円であった。これは「レミーのおいしいレストラン」対比で124.1%とのことで、ひとまず興収40億円が視野に入ったと見ていい。ちなみに、2000年以降のピクサー作品の日本における興収はどうだったか?
「レミーのおいしいレストラン」(07)……39億円
「カーズ」(06)……22.3億円
「Mr.インクレディブル」(05)……52.6億円
「ファインディング・ニモ」(03)……110億円
「モンスターズ・インク」(02)……93.7億円
「トイ・ストーリー2」(00)……34.5億円
作品内容について、もっとも評価の低かった「カーズ」にしても20億円以上を稼いでおり、ピクサーはこれまで打率10割のスタジオとしてリスペクトされている。実際のところ、03年の「ニモ」を頂点に、徐々に勢いが衰えてきている感は否めないのだが、ピクサー作品は常にホームランを求められている。実績も十分なだけに、期待も大きいのは強打者の宿命である。
先に引き合いに出た「レミーのおいしいレストラン」にしても「ハリー・ポッター」の5作目と同じ公開時期で興収39億円を稼いでいるので、今回の「ウォーリー」は是非50億円以上、できれば70億円ぐらいを目指して欲しいところ。正月映画のナンバーワン作品として、市場を力強く牽引して欲しい。
さて、「ウォーリー」と同日に公開された新作は、「252」や「特命係長 只野仁」などがあったが、こちらはいずれも凡庸な出足に終わっている。正月市場の一端を担うというような感じではなさそうだ。
そして、この後の正月作品で、次のビッグネームは「地球が静止する日」ということになるだろう。12月17日には主演のキアヌ・リーブスやジェニファー・コネリーらが来日し、盛大なジャパン・プレミアも行われる予定だ。18日には前夜祭興行が行われ、19日には封切りとなる。こちらも是非50億円、70億円といったところを目指して、「ウォーリー」と高いレベルの戦いを繰り広げて欲しいものである。
筆者紹介
駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。
Twitter:@komainaofumi