コラム:今日もイケメン、明日もイケメン - 第17回
2021年2月2日更新
映画.comの“イケメン”大好き編集部員Mが、いま映画館で会えるイチオシの“イケメン”映画俳優を紹介! 今回は、菅田将暉をピックアップします。
【vol.7 菅田将暉】
色とりどりの魅力があふれる個性派イケメン!
人気マンガの実写版から過激な問題作まで幅広いジャンルで活躍し、作品ごとに違う魅力で観客を惹きつけてきた菅田将暉。恋愛ものでは個性的な役柄を演じることが多い菅田ですが、現在公開中の「花束みたいな恋をした」では、昨年公開された「糸」に続いて“どこかにいそうな普通の青年”を、役に寄り添いながら生き生きと演じています。
誰もが経験するような“ありふれた恋”を、あたたかい眼差しでていねいに描いた今作。前半は胸キュンシーンの連続ですが、後半は号泣必至の展開が待ち受けていますので、涙腺が弱い方はバスタオル必携&ひとり鑑賞をオススメします!
★現在公開中!★
「花束みたいな恋をした」(2021)
菅田将暉に本気で恋しちゃうかも!? 演技派の“普通”はすさまじい!
「最高の離婚」「カルテット」など、数々の名作ドラマを生み出してきた坂元裕二が、初めて映画向けに脚本を書き下ろした最新作。執筆段階から主演に菅田と有村架純を想定して書き上げたとあって、スクリーンに映るふたりは役柄そのものです!
東京・京王線の明大前駅で終電を逃して知り合った麦と絹。その場の流れで始発まで一緒に時間をつぶすことになったふたりは、本や音楽の趣味が驚くほど似ていたことで、瞬く間に意気投合します。服の好みや物の考え方もそっくりで、会うたびに話題は尽きず、気付けばいつも終電間近に。ふたりは自然と恋に落ちます。
本作のすごいところは、菅田と有村が隣の家に住んでいてもおかしくないくらい平凡な大学生として、日常に溶け込んでいること! バスや電車で海や美術展に出掛け、カラオケで歌い、ファミレスで食事をする麦と絹は、何もかもが等身大。そのごく普通な佇まいが、ふたりの恋を身近で真実味のあるものに感じさせ、共感を誘います。
個人的には有村扮する“絹”はかわいすぎて、自己投影するというより“麦”目線でキュンとしてしまいましたが、菅田が演じる“麦”のどこか親しみのわく姿に、かつての恋人を重ね合わせる人は少なくないはず。中には“麦”に恋愛感情を抱いて、“絹”に焼きもちを焼いてしまう人もいるかもしれません。
付き合うまでのじれったいようなくすぐったいような、甘酸っぱい気持ち。恋人になったばかりの、夢のように楽しい時間。しかし、多くの恋がそうであるように、ふたりの恋はやがて穏やかなものへと変わり、小さなすれ違いが生じるようになっていきます。恋愛の楽しい部分だけでなく、寂しかったり虚しかったり苦しかったりするネガティブな部分にも真正面から向き合った本作。ありふれているけれど、とびきり愛しい“花束みたいな恋”の結末に、きっと涙があふれて止まらなくなるはずです。
16歳でデビュー以来、助演含め40本以上の映画に出演してきた菅田。いずれも力作揃いですが、今回は「花束みたいな恋をした」のように“普通”の演技が光る作品と、恋愛映画を中心にオススメ作品を紹介します!
「セトウツミ」(2016)
同名の人気マンガを菅田と池松壮亮主演で実写化した会話劇。ふたりの男子高校生が川べりでとりとめのない話をするだけのシンプルな映画ですが、その絶妙な掛け合いがなんとも楽しく、ほっこりした気持ちになります。
菅田が演じたのは、サッカー部を退部して暇を持て余す瀬戸役。学校からの帰り道、川べりで本を読んでいた内海(池松)に話しかけ、その日以来、何となく放課後を一緒に過ごすようになります。開けっ広げな性格でちょっとおバカな瀬戸と、秀才で寡黙な性格の内海は、一見、共通点がないようで、不思議と波長が合う様子。漠然とした将来への不安や、それぞれの家庭の悩み、三角関係の恋など、会話から垣間見える彼らの日常が、おかしく、切なく、愛おしい。大阪出身の菅田のネイティブな関西弁と、“どこかにいそうな普通の高校生”姿が堪能できる作品です。
「キセキ あの日のソビト」(2017)
人気ボーカルグループ「GReeeeN」のヒットソング「キセキ」の誕生にまつわるエピソードを映画化した青春ムービー。「GReeeeN」といえばメンバー全員が現役の歯科医師ということで知られていますが、本作ではなぜ彼らが歯科医師とミュージシャンを両立することになったのかが描かれます。菅田はグループのリーダー・ヒデ役を務め、親の期待に応えようと歯科医師を目指しながら、ミュージシャンになる夢も諦められない心の葛藤を繊細に表現。家族や仲間と衝突し、時には恋人ともすれ違う中で、自分が本当に進みたい道を模索していきます。
菅田は劇中バンド「グリーンボーイズ」として、横浜流星、成田凌、杉野遥亮とともにCDデビューも飾り、「ミュージックステーション」にも出演。力強いパフォーマンスと歌唱力を見せつけ、その約4カ月後、ソロ歌手としてデビューを果たしました。
「海月姫」(2014)
東村アキコの人気コミックを、能年玲奈主演で実写映画化した現代版シンデレラストーリー。本作で“女装男子”に扮した菅田は、役づくりで減量はもちろん、エステや骨格矯正にも通い、キュートなミニスカート姿を披露! ハイヒールも履きこなし、女子顔負けの脚線美で目をくぎ付けにしました。
菅田扮する蔵之助はファッション好きが高じて、女装姿で街を歩くようになった究極のおしゃれ男子。能年演じるクラゲオタクの月海と出会い、男子禁制のアパート「天水館」で暮らすオタク女子集団“尼~ず”たちと交流を深めていきます。世間の常識にとらわれない蔵之助は、柔軟でありながら、芯の通った性格の持ち主。可愛らしさとかっこよさ、柔らかさと逞しさを兼ね備えた難易度の高いキャラクターを、菅田は見事に体現し、原作ファンをも唸らせました。コメディタッチのポップな作品ですが、菅田の役者魂が感じられる一作です。
「溺れるナイフ」(2016)
昨年公開された「糸」で壮大な愛の物語を紡いだ菅田と小松菜奈が、「ディストラクション・ベイビーズ」に続いて共演し、強烈に惹かれ合う10代のカップルを演じた青春ラブストーリー。「ピース オブ ケイク」でも知られる人気漫画家・ジョージ朝倉の同名少女コミックを、山戸結希監督が美しい映像と独自の世界観で実写映画化し、話題を呼びました。
菅田はまぶしい金髪姿で、神主一族の跡取り息子コウを熱演。自由奔放な少年をカリスマ性たっぷりに演じ、その危うい美しさで観客を魅了しました。“一生に一度の恋”をヒリヒリと焼け付くような痛みとともに描いた本作は、ラブシーンも衝撃的。海に飛び込むのは序の口で、首元にこぼれたジュースを舌で舐めとったり、首を押さえつけながら唾を吐きかけたり…! 菅田と小松の透き通るような美しさと、体当たりの演技が脳裏に刻まれる、異色の純愛映画です。
新型コロナの影響で新作映画の公開延期が続いていますが、今年は山田洋次監督作「キネマの神様」(4月16日公開)、「キャラクター」(6月公開)に続いて、大ヒット密室スリラーの日本版リメイク「CUBE」(10月22日公開)の公開も決定した菅田。28歳の誕生日である2月21日には、初のオンラインライブの開催も決定しています。多彩な才能を持つ菅田が、次はどんな分野でどんな新しい魅力を見せてくれるのか。21年も彼の動向から目が離せません!