コラム:シネマ映画.comコラム - 第20回

2022年11月1日更新

シネマ映画.comコラム

「TBS DOCS ニュースの真実に迫る映画祭」開催!

本コラムの第20回目は、11月1日から30日までシネマ映画.comでオンライン開催中の「TBS DOCS ニュースの真実に迫る映画祭」(https://cinema.eiga.com/tbsdocs/)の配信6作品をピックアップし、同映画祭について紹介します。映画.comの駒井尚文編集長、編集部&スタッフの今田カミーユ、岡田寛司、飛松優歩、蛯谷朋実、和田隆にそれぞれの視点から配信作品の見どころやポイントなどをあげてもらいました。

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1955年の開局以来、日々のニュースやドキュメンタリー番組を放送してきたTBSが立ち上げたドキュメンタリー映画の新ブランドが「TBS DOCS」。DOCSとは、“DOCUMENTARY FILMS”のこと。「TBS DOCS ニュースの真実に迫る映画祭」は、「テレビでは伝えきれない、真実や生き様をドキュメンタリー映画として発信する」というプロジェクトのもと、シネマ映画.comでオンライン開催するものです。

今年3月に開催された「TBSドキュメンタリー映画祭2022」で上映された作品の中から、「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」「完黙 中村喜四郎 逮捕と選挙」「池袋母子死亡事故 『約束』から3年」に加え、「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」「生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事」「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」と、映画祭でしか公開されなかった貴重なドキュメンタリーを含む6作品を配信しています。

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「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」
「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」

■「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」

2022年製作/73分/G/日本
監督:中島哲平

“永遠の総理候補”石破茂。国民からの人気が高く、“次期総理・総裁 ”と期待の声も上がるが、総裁選では4戦全敗。石破は語る「政治家が保身に走ったら国は誤る」時に正論が嫌われ、党内でハグレ者ともなっている石破茂とはどんな人物なのか、そして、なぜ“永遠の総理候補”のままなのか、10人の証言から真相に迫る。

▼蛯谷朋実

「永遠の総理候補」といわれ、過去4度の総裁選には敗れてもなお幾度となく総理大臣への期待を持たれている石破茂はいったいどんな人物なのか。彼を知らないという人はなかなかいないと思いますが、彼の政治信条を知っている人はどれほどいるでしょうか? 36年間議員を続けて今思うことを問われた時、彼はこう答えます。

「長いこと議員をやり、多く役職を重ねて、日本はどれだけよくなったかというとすごく自分の中で疑問符がつく」

29歳で史上最年少議員となった当時の彼の姿も作中出てきますが、その目に宿る強い思い、日本を変えたいという決心は、今もなお彼の目に宿っているというのを強く感じました。まだまだ自分にはやるべきことがある、その強い思いからあふれ出る言葉の数々には嘘偽りなんて何もなく、「嫌われた正論」とともに真っ向から政治に挑む姿に、彼が今後何をしていくのかを期待せずにはいられません。

一方で、正しいことを正しいといえず、間違っていることは間違っているときちんと言えない、そんな病的な組織を治せるのは、その中にいる彼ら政治家であるとともに、日本の主権たる国民としての私たちであるというのを胸に刻まなければと思わされる映画です。

>>【「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」を今すぐ見る!】


「完黙 中村喜四郎 逮捕と選挙」
「完黙 中村喜四郎 逮捕と選挙」

■「完黙 中村喜四郎 逮捕と選挙」

2022年製作/75分/G/日本
監督:武田一顕、松原由昌

昨年の衆院選、「無敗の男」と呼ばれた男が初めて敗れた。初出馬から40年以上、斡旋収賄罪で逮捕、起訴中の選挙でも当選。その男がなぜ負けたのか…。そして、総理候補を奈落の底に突き落とした“あの事件”とは。逮捕後140日間にも及ぶ拘留中、“完全黙秘”を貫き通した真意とは…。不屈の政治家・中村喜四郎の生き様に迫る。

▼今田カミーユ

ゼネコン汚職事件で実刑判決を受け、逮捕。その後出所してからも14回の当選を重ね、無敗の議員人生を歩んでいた中村喜四郎氏。しかし、昨年衆議院選小選挙区で立憲民主党から出馬し初めて落選(のちに比例で復活)、「党より人」がスローガンだった。保守王国茨城で根強い支持を得てきた中村氏の人生を振り返るドキュメントだ。

1994年、筆者は当時中学生だった。事件の背景をすべて理解はしていなかったが、ブラウン管のテレビのニュースが映す、検察庁に出頭する中村氏の姿が堂々としていて、悪いことをして逮捕される人のようには見えないな、と子ども心に強く思ったことを今でも覚えており、その理由が今作を見てわかった。

2世議員であるが、スマートさよりも、有権者との信頼関係を大事に、自ら泥臭く動く中村氏の姿には、支持政党や政策とは関係なしに心を動かされる。私人としていられるはずの家庭では、どのようだったのかを赤裸々に語る家族の証言、逮捕後の取り調べで“140日間完全黙秘”を貫き、そして獄中で何をしていたのか――本人が語るそのリアル、波乱万丈の議員人生がフィクションのドラマ以上に面白い。

>>【「完黙 中村喜四郎 逮捕と選挙」を今すぐ見る!】


「池袋母子死亡事故 『約束』から3年」
「池袋母子死亡事故 『約束』から3年」

■「池袋母子死亡事故 『約束』から3年」

2022年製作/78分/G/日本
監督:守田哲

禁錮5年の判決を受け、高齢者向けの刑務所で服役している飯塚幸三受刑者。最愛の家族を失った松永拓也さんの「罪と向き合って欲しい」という思いは、衰えゆく90歳の高齢ドライバーに届くのか。“上級国民”への誹謗中傷、遺族の再発防止への願い、すれ違い続ける両者。社会に衝撃を与えた暴走事故を、3年にわたり追い続けた記録。

▼飛松優歩

2019年4月19日、元キャリア官僚が運転する車が暴走し、母と幼い娘の命を奪った池袋母子死亡事故。この悲痛な事故はいまもなお、多くの人々の記憶に、衝撃とともに刻まれています。遺品を整理しながら、堪えきれず嗚咽をもらす遺族の松永拓也さんは、「彼が刑務所に入ったって、謝罪のコメントを出したって、何も変わらない。ふたりが戻ってくるわけじゃない。絶対こういう風に空しくなるのは分かっていましたけど……」と、声をつまらせます。例え裁判が終わっても終わることのない松永さんの苦悩の日々を、カメラは葛藤し、迷いながらも、追いかけていきます。

事故のあと、“上級国民”と呼ばれた飯塚受刑者、その家族への誹謗中傷が多数発生し、社会の在り方は、遺族の願いとはかけ離れていきました。「憎しみで心を満たしてはいけない」と、再発防止に向けて前を向き続けた松永さんの姿を見て、私たちはどう行動するべきなのか。誰もが突然、被害者にも加害者にもなりうる交通事故を防ぐために、誰もがいま一度、自分の心に問いかけなければならないのです。

>>【「池袋母子死亡事故 『約束』から3年」を今すぐ見る!】


「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」

■「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」

2020年製作/108分/G/日本
監督: 豊島圭介 ナレーション:東出昌大

TBSのみが保管する禁断のスクープ映像。稀代の天才作家・三島由紀夫と東大全共闘のスリリングな直接対決の全貌。元東大全共闘、楯の会メンバー、三島と交流のあった著名人、三島文学やその時代を知る文化人ら、合計13人の証言者が“伝説の討論会”を紐解く。本気で生きる者の“圧倒的熱量”が鮮烈に蘇る。

駒井尚文編集長

三島由紀夫が割腹自殺したとき、私は小学生でしたから、現役時代の三島に関する記憶はまったくありません。しかし、割腹自殺はもの凄い衝撃を世間にもたらし、新聞、テレビなど各メディアは大騒ぎになったのを覚えています。

私はこの映画で初めて、動く三島、喋る三島をちゃんと見ました。その姿は新鮮ですが、一方、相当にレトロでもあります。「論壇」とか「言霊」とか、今のネットメディアには登場しなくなった単語が頻出で、「そんな時代もあったのね」と不思議な感慨が湧いてきます。

それにしても、三島由紀夫も東大生もガチで討論していますけど、正直、今見るとアツいしウザい。画面からは、もの凄い熱量のエネルギーが伝わってきます。「安保」って何? 「民青」って何? 「革命」って何? 50年で時代はこんなに変わるんですね。戦後昭和の重要なキーワードに遭遇できる貴重な映画だと思います。若い世代が、この映画を見てどんな感想を持つのか、とても気になります。

>>【「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」を今すぐ見る!】


「生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事」
「生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事」

■「生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事」

2021年製作/118分/G/日本
監督: 佐古忠彦 語り:山根基世 津嘉山正種 佐々木蔵之介

すでに日本の敗色濃厚だった 1945年1月31日、一人の男が沖縄の地を踏んだ。戦中最後の沖縄県知事となった島田叡である。沖縄戦を生き延びた住民とその遺族への取材を通じ、これまで多くを語られることのなかった島田叡という人物の生涯と、語り継ぐべき沖縄戦の全貌に迫る。

▼岡田寛司

“ありったけの地獄を集めた”と称された1945年・沖縄戦。「俺は死にとうないから誰かが行って死んでくれとは、よう言わん」。家族からの承諾も得ず、死を覚悟して、沖縄県知事に着任した島田叡(しまだ・あきら)。本作ではわずか5カ月の在任期間で、彼が何を成し得、そして何を成し得なかったのかという点を、語りと数々の証言で浮き彫りにしている。

注目すべきは、その身に宿した「矛盾」。周囲の人々には生き長らえることを是と説きながらも、自らは死に近づいていく。時代と国家に忠実な官僚としての姿と、不遇の県民に寄り添い続ける人間らしい姿。島田の映像、音声は存在していない。しかし、沖縄戦の証言者たちの“生々しい言葉”を通じて、「美徳(=自決・玉砕)」に抗うことの苦悩、二律背反に陥ったことで生じる心の揺らぎがまざまざと伝わってくるはずだ。

>>【「生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事」を今すぐ見る!】


「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」
「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」

■「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」

2019年製作/128分/G/日本
監督:佐古忠彦

第二次大戦後、米軍統治下の沖縄で弾圧を恐れず「不屈」の精神で立ち向かった沖縄のヒーロー瀬長亀次郎。演説会を開けば毎回何万人も集め、人々を熱狂させた。彼を恐れた米軍は、様々な策略を巡らし、投獄までするが、民衆に支えられて闘い続けた。カメジローの生涯と沖縄の知られざる熱気ある戦後史を深く描いている。

和田隆

こんなにも強い志を持った政治家が日本にいたことを改めて知り、その活動によって今の沖縄、日本があることを思い知らされます。恨みをのんで殺された仲間たちの魂に報いるために、沖縄への揺るぎない思いを持った政治家の激動の戦いと、そんな中でも家族を大切にした一人の男の記録です。戦後、占領下の沖縄でアメリカ軍の圧政に立ち向かった政治家・瀬長亀次郎の生き様に胸を打たれることでしょう。

沖縄の本土復帰を訴える彼の演説と人柄は民衆を鼓舞し熱狂させ、その人気と意志を恐れたアメリカ軍は様々な策略を巡らせ執拗にカメジローを弾圧。理不尽な理由で逮捕・投獄され、旅券申請拒否、被選挙権を奪われて、身の危険も感じたであろうに、それでもなお恐れずに不屈の精神で戦い、那覇市長から、衆議院議員を務めるまでに至ります。

そして1971年12月4日の衆議院沖縄・北方問題特別委員会で、アメリカン軍の基地を沖縄に残したままの返還であってはならない、再び戦場の地となることを拒否するという、当時の首相・佐藤栄作と繰り広げた激論の記録映像は必見です。佐藤首相に敬意を示しながらの熱弁は、本来あるべき政治家のあり方を示しています。現代へと続く沖縄の解決されない問題が浮き彫りとなり、沖縄に強烈な自治意識を残したカメジローの人生から、日本人としての生き方を考えさせられる作品です。

>>【「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」を今すぐ見る!】


お得な3本セット
お得な3本セット

なお、作品ごとにチケットの購入が可能で、PCやスマートフォンで鑑賞できます。本映画祭では、「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」「完黙 中村喜四郎~逮捕と選挙」「池袋母子死亡事故 『約束』から3年」を特別価格の1500円でセット販売(通常料金1650円)しています。

また購入者特典として、11月25日から劇場公開される新作「人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版」の特別壁紙を配布。さらに、12月16日公開から劇場公開される新作「戦場記者」の特別映像も公開します。
※作品を視聴するには「シネマ映画.com」の会員登録が必要です。

>>【「TBS DOCS ニュースの真実に迫る映画祭」はこちら!】

筆者紹介

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