愛の讃歌(1967)

劇場公開日:

解説

「なつかしい風来坊」の山田洋次と森崎東が共同でシナリオを執筆し、山田洋次が監督した人情喜劇。撮影はコンビの高羽哲夫。

1967年製作/94分/日本
原題または英題:Song of Love
配給:松竹
劇場公開日:1967年4月29日

あらすじ

瀬戸内海に浮ぶ日永島の波止場に、倉堂と連絡船の切符売場を兼ねている待帆亭がある。主人の千造と息子の竜太、そして竜太の恋人春子がそこで働いていたが、待帆亭は診療所の医師でクリスチャンの伊作、マッサージ師五平、旅館備後屋の主人、それに連絡船の船長が毎日、世間話をしに集ってくる場所でもあった。ある日工業学校を出た竜太が南米の新天地に憧れてこの島を出ていった。千造は怒り、春子は泣いたが、若者竜太の夢は大きかった。既に竜太の子を宿していた春子は半ば竜太を諦めながらも、伊作の診療所で男児を出産した。子供は竜介と名付けられたが、竜介の境遇に同情した伊作は自分の子として籍に入れ、春子や彼女の二人の妹をひきとった。一方、千造は竜太に去られた春子に同情し、息子の便りを一日千秋の思いで待っていたのだが、心配のあまり病床に伏してしまった。そんな出来事の中で春子は千造の世話をし、竜太を想いながらも、竜介を中心に伊作と楽しく暮していた。待帆亭に相も変らず集ってくる人たちの話題は春子と竜太のことだった。そんなある日、南米での夢破れた竜太が春子を忘れることができずに、突然島へ帰ってきた。しかし、伊作と楽しそうに暮している春子を見た竜太は、再び、一人で大阪に去っていった。一方、秘かに春子を愛し、竜介を自分で育てたいと思っていた伊作は悩んだが、千造が死んだ時、意を決して春子と竜介を竜太の許にやる決心をした。春子はいまも竜太を愛していたが、伊作の恩との板ばさみで最も苦しんでいたのだった。春子が大阪に去る日、島の人たちは明るい顔で見送った。遠い回り道だったが、ようやく春子と竜太が結ばれようとしていたからであった。

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映画レビュー

4.0寅さんシリーズファンなら大いに楽しめます 男はつらいよの原形は本作にあると思います

2025年3月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

愛の讃歌(1967)

大仰なタイトルですが、ご安心下さい
肩の凝らない人情喜劇です
男女の愛、親子の愛の深さが示され少しホロリとさせられます

男はつらいよの原形は本作にあると思います

監督
山田洋次
脚本
山田洋次
森崎東
撮影
高羽哲夫
音楽
山本直純
製作
松竹

出演者
倍賞千恵子
伴淳三郎
他に
太宰久雄
小沢沢昭一
などなど

ここまでは男はつらいよと同じ布陣です
男はつらいよの第1作はこの2年後の事になります
特に太宰久雄はタコ社長をすでに彷彿とさせています
倍賞千恵子は、直情径行な彼が勝手に島を出てて行ってしまい心配
しながら小さな食堂を切り盛りする島の娘で、さくらの原形です
ただ恋人役が中2枚目の山仁なので哀れさがでてしまいます
これを兄にして三枚目を配役すれば寅さんシリーズがの大枠はほぼ完成です
伴淳三郎の演じた思ったことがそのまま口に出るキャラクター造形は寅さんの出発点に感じます

舞台は山口県柳井市すぐ沖の小島物語は倍賞千恵子の演じるヒロインと相手役の中山仁との恋愛を軸に倍賞千恵子が働く連絡船波止場の小さな食堂に出入りする島の住民達との織り成す人情喜劇です
この食堂が寅さんシリーズのとらやの原形になっていることがはっきりわとかります

寅さんシリーズのファンなら大いに楽しめます
そして寅さんシリーズが突然生まれた金字塔などではなく、急行列車シリーズや本作などのこうした土台があって打ち立てられたからこそあのような偉大な成功になったのだと理解することができます

お勧め作品です

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