ナレーション、照明なし 伝説の修道院を映した異色ドキュメンタリーの監督に聞く
2014年6月6日 16:10

[映画.com ニュース] 世界で最も厳格な修道院として知られ、修道士以外立ち入り禁止、内部の秘密が長年守られてきた、フランスアルプス山脈に建つ修道院の日々に密着したドキュメンタリー「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」が、7月12日に公開される。構想から21年を費やして製作したフィリップ・グレーニング監督が作品を語った。
キリスト教をベースとしたヨーロッパ文化の起源とも言える修道士たちの暮らしに興味を持ったことが本作製作のきっかけだ。しかし、撮影はおろか、一般の人に内見すらさせてこなかった修道院の撮影許可を取るまでに16年の年月がかかった。撮影の条件としてナレーションなし、自然音以外の効果音、音楽の使用なし、照明機材、照明効果の使用禁止、監督1人で撮影する事が義務づけられた。
グレーニング監督はカメラを携え、6カ月間修道士と共に暮らした。「断片化した修道院の映像をかき集め、そのパーツをつなぎ、修道院のありのままの姿を再現させ、観客が修道院の内部に入った体験をさせる映像制作を目指す事が最も難しかったです」ととりわけ編集に力を入れたことを明かす。
しかし実は、監督以外にも修道院の内部に1日だけ撮影で入った人物がいた。それは、ラース・フォン・トリアー監督作品「ドッグヴィル」「ダンサーインザダーク」「アンチクライスト」の撮影監督を務めたアンソニー・ドッド・マントルだった。近年ではダニー・ボイル監督と組み、「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー賞撮影賞を受賞した、名実共に映画界トップクラスのカメラマンだ。
本作で使用されたカメラは「SONY HDW-F900」。このカメラは、ジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」で使用し、映画のデジタル化を加速させたことでも知られている。このカメラによって、監督やマントルが、修道院内部と修道士たちの日常とありのままの姿を芸術的に切り取ることが可能となった。

グレーニング監督は修道院での生活を「まったく孤独ではありません。映画にもその感じが出ていれば良いのですが、修道院の中にはきちとしたコミュニティーがあり、独房に住み言葉こそしゃべりませんが、人々は助け合い共同生活を送っているのです」と述懐。そして、「言葉を捨てた私は、これまで感じられなかった事や見られなかった事、身の回りに起こる些細な変化などに気づく様になりました。そして、時間の経過や時の流れについて繊細に考える様にもなったのです。私の中に生まれたそのような感受性が作品に入っていれば幸いです」と沈黙の生活の中で起こった変化を語る。
これから映画を見る人に向けての見どころを問うと「この映画はどんなに説明しても、この映画以上になる事は無いと思います。言葉を一切しゃべらない修道士が映っている映画なのです。それ以上でもそれ以下でもない作品なのです」と潔く答えた。
「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」は7月12日から岩波ホールほか全国順次公開。
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