スーチー女史の激動の半生を映画化 リュック・ベッソン&ミシェル・ヨーに聞く
2012年7月20日 20:00

[映画.com ニュース] リュック・ベッソン監督が、ビルマ(ミャンマー)の民主化運動指導者で、ノーベル平和賞受賞者であるアウンサンスーチー女史の激動の半生を映画化した「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」。主演を務めるマレーシア出身の女優ミシェル・ヨーが並々ならぬ努力で、スーチー女史の生きざまを見事に体現し、夫と家族の愛に支えられながら軍事政権と闘う姿を描いた本作は、ヨーとベッソン監督の情熱の結晶だ。
英国人女性作家が執筆した脚本にヨーがほれ込み、国際的に活躍するベッソン監督に映画化のアドバイスを求めたことが本作製作のきっかけだ。
「ベッソン監督にメガホンをとってもらえたらという気持ちはもちろんありましたが、今回の監督については、スケジュールが空いているからということではなく、自分と同じように愛情と情熱をもってこの作品をつくらなければいけないと感じてくださるような方が必要だったのです」と語るヨー。彼女の強い思いと女史の悲しい真実について書かれた脚本は、ベッソン監督の心を大きく揺さぶった。
ベッソン監督は涙を流し、自ら監督を務めることを申し出たという。「物語に心を揺さぶられたのです。女史についてそこまで知識があったわけではないので、彼女の真実の人生や悪夢に触れてしまったのです。政府の子どもと呼べる国民の1人である女史のことをここまで苦しめる軍事政権に非人間的なものを感じました」

ヨーは女史の外見のみならず志をも完璧に演じるために、女史の著書はもちろん愛読書まですべて読破。記録されていた映像から、しぐさや訛りを完璧に身に付け、ビルマ語も半年間かけて習得した。また軍事政権の暴力的な政策に反抗するハンストを行った女史に限りなく近づくため、もともとスリムなヨーではあるが、さらに10キロを落とすという過酷なダイエットにも挑戦した。
役作りに集中するあまり、役が体から抜けなくなることがあっても「殺人鬼じゃなくて良かったわ(笑)。いつも善の行動をとって、すごく思いやりがあって、優しい方なので、(役が抜けなくても)問題ではなかったの」と穏やかにほほ笑む。
同じアジアの一員として、日本人もこれからのミャンマー情勢に無関心ではいられない。今後この国はどう進んでいくべきか、そして我々は何ができるだろうか。
「女史もおっしゃるように、まず国内の問題を解決しなければならない。ある意味で後進的な部分がまだ多く、職や技能、教育レベルもまだまだこれから。それはすべて政府の問題であり、彼らが変わらなければ始まらないのです。そのためにはわれわれも(ミャンマー)政府に訴えるべき。民主化が一方方向に、逆戻りしないよう、そしてより良い国になる手助けをすべきだと思っています」とヨーは力強く訴えた。
「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」は7月21日全国で公開。
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