ホテル・ムンバイのレビュー・感想・評価
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サスペンスだけではない人間讃歌
テロリストに襲撃されたムンバイのホテル従業員達が、滞在客を必死に逃がそうとする実話ものです。まず、なによりもリアリティが凄いです。画面がほとんどホテル内部ばかりなので、観ている方も人質になったような閉塞感と緊張感が途切れることなく続きます。ホテル従業員達の活躍は素晴らしいけど、いわゆるヒーローは全く不在であり、テロリスト達の捨て駒の苦悩も描くなど、単純な善悪論にしていないのが好感が持てます。反テロでなく人間同士の絆が感じられる、ラストの実際の記録映像は感動的です。
ジョン・マクレーンの出てこない『ダイ・ハード』みたいなバイオレント極まりないアクションスリラー
2008年11月、ムンバイの海岸に小型ボートから降り立った10人の少年達。イスラム原理主義者のテロリストである彼らは市街各所で銃を乱射、街中がパニックに陥る。様々なVIPをもてなすための準備が進められていたムンバイの一流ホテル、タージマハル・パレス・ホテルに銃撃から逃れた民衆が押し寄せ、非常事態を察したスタッフは中に招き入れるが、その中にテロリストも混じっていた。
実話ということは知っていましたし、主演がデヴ・パテルでポスタービジュアルも地味なドラマっぽいので完全に油断してましたが、これは超リアルでグロテスクなサバイバルアクション。言い換えればジョン・マクレーンの出てこない『ダイ・ハード』。どこのシネコンでも一日一回くらいしか上映がしないのが不思議だったんですがそれも当然でレイティングがR15+とかなりハード。ということでテロ描写に忖度が一切ないので善良な人やそうでもない人が容赦なく命乞いも虚しくあっさり殺されまくります。この辺りは正直エゲツないにも程があるので鑑賞前に余裕を持って食事を済ませておく必要があります。ジョン・マクレーンがいない一方でデリーから派遣された特殊部隊が到着するまで待てずにホテルに突入する勇敢な警官達がいるのですが、ジョン・マクレーンではないのでマガジンが空っぽになるまで撃ってもテロリストを一人辛うじて負傷させるだけという劣勢ぶりに観客のストレスは一切解消されません。ジョン・マクレーンがいないのでドラマが濃厚、まさしくグランドホテル方式で幾重にもドラマが重ねられます。うっかり靴を自宅に忘れたことから運命が大きく変わってしまった主人公のシーク教徒のウェイターのアルジュン、突然の事態にもかかわらずあくまで冷静にお客様は神様という三波春夫イズムを発揮する総料理長オペロイ、何やら怪しいパーティを主催する謎のロシア人ワシリー他様々な登場人物を立体的に描写、実話と言いつつかなり大胆な脚色を施していると思われ、至る所に含蓄のあるセリフが吐き捨てられていて、世界中で起こっているテロ行為の背景にあるもの、テロ行為の後に遺るものが何かを流血とともにスクリーンに投げつけてくるバイオレント極まりない作品でした。
重苦しくショッキングな作品
ホテルでのテロに対し身を呈して宿泊客の命を守ったホテルマンたちのストーリー。
ショッキングで臨場感・緊張感のあるストーリーが続く。
単なるパニック映画にせず、異民族間でのポジティブな触れ合い、実行犯の少年の葛藤など描かれていて見応え十分。
容赦ない
全くこの事件を知らずに映画を観た。「ダイハード」とは違い、宗教が絡むテロは容赦ないんだなと感じる。その後、この事件をWikipediaで調べると日本人も亡くなっていることを知る。ハラハラしたが、残酷なシーンが無いので最後まで観られた。
克明
12年前の出来事らしい。
作中で語られるエピソードの真偽は定かではない。ほぼ創作なのかもしれないし、入念に取材した賜物なのかもしれない。
ただ…テロという未曾有の暴力に蹂躙されていく様には背筋が凍りつく。
あまりに理不尽な銃口から逃れる術がない。
たったの4人。
もしくは6人。
思想を刷り込まれ、銃という殺戮兵器をもたされた駒たちに、いとも容易く平和は破壊されていく…指先一つ、数秒引くだけで。
どれほどの恐怖に耐えたのだろうか?
物語は一切緩む事なく、猛獣と対峙する檻の中を描き続けているようだった。
硬直、緊張、どの言葉を使っても足りないように思う。制作サイドの断固たる決意の上にこの作品は成り立ってるように思う。
残さねばならない。
過去にしてはいけない。
ムンバイに降りかかった狂気は、今も尚、その火種はあちこちにあるのだと。
そんな事を思う。
インドでは絶大なる支持を受けた作品なのではなかろうかと思う。
直面してるからこそ、組織の構造にまで言及するのだろう…。実行犯は皆若く、等しく貧困で極端な思想に管理されてる。
親に愛され、自身も家族をあいしているようだ。とある地域では思想による統制でもなされているかのようで、親の世代にも「聖戦」としての正義が植え付けられているようだった。この作品では、その実行犯を被害者とも描いている。
もっと根深い。彼らの世界を狂わされた狂人がいるのだと。この事件の主犯は不明のままだそうだ。
作品としては若干長い。
途切れぬ緊張感故の演出もあるのだろうが、俺はそう感じた。
ただ、その執拗な、地を這うような重い空気感が、作品におけるリアリズムの要と言えなくもない。
印象的だったのは、エンディングだ。
再建し式典までやってるそうだ。
日本だと壊して数年空き地とかになりそうだと思うのだが、恐れ入る。
何人も人が死に、夥しい量の血が流れた場所だ。曰く付きの事故物件だ。誰がそんなとこに泊まろうと思うのだろうか?
ところがどっこい今もホテルとして営業を続けてる。いつの映像か誰かも分からないんだが、風船と紙吹雪の中で、満面の笑顔で万歳するおじさんがいる。
日本では不謹慎とか、叩かれまくりそうだが、それを甘んじて受けてでもやらねばならぬ事がある。
俺には強さに見えた。
テロには屈しない。
俺たちはこのホテルで戦った。
このホテルこそが、その象徴である、と。
強い。
なんと強靭な民族であろうか…。
そして、映画館を出た時の平和が…なんの疑念も躊躇いもなく満喫している平和が…その違和感が猛烈で…垂れ流される安寧な時間が哀れで…若干、行き場を失う。
日本はマヌケなぐらい平和だな。
それを国家として維持してくのは、きっと想像を絶するのだろうし、奇跡の産物なのかもしれない。
テロの背景にあるもの
確かに手に汗握る、息もつかせぬ、なんですが、実話に基づく、というのであれぼ、もう少し、事件の背景なり、テロリストを生む社会構造なりを、みせてくれてもよかったのに。助かってよかった、従業員は素晴らしかった、だけでは物足りなかったです。
目を覆いたくなる展開
実際に起きたインドのテロを生々しく描いた力強い作品。劇中で描かれてる犠牲者の数を考えても、主人公や赤ちゃんが無事助かったからといって決して感動話ではない。運良く助かった人はいても、見終わったあと後味が悪かった。
現場描写はリアルなのだが、終始敵から見つからないよう逃げるサバイバルゲームのような展開で、苦しかった。誰も正解はわからず、とりあえずできることが何かを必死に考え、命がけで実行に移す。実にリアルだった
新婚夫婦がハンバーガーを注文するシーンだったり、敵が近くにいるかもしれないのに音声通話をしたり、家族家族といって他人の命をも巻き込む無茶な行動をしたり、銃口押し付けられて最後の最後にコーランを口にしたり、ちょっと納得いかないところもあった。
一番驚いたのはこのような痛ましすぎる惨劇があったにもかかわらず、まだホテルが営業されてることかもしれない…。
酷い現実
本作主演のデブ・パテルは「ライオン 25年目のただいま」「チャッピー」を見ているが、優しい感じでいながら、真っ直ぐな眼差しが印象的ですね。あまり目立つ特徴はないので、どこにでもいそうな気もするのに、結構独特の雰囲気を持ってて、他であまり見ないタイプなのかと。
4人の少年テロリストに占拠されたホテルで、献身的に宿泊客を守ろうとする話。「お客様は神様です」というホテルの精神を守って、必死に行動する"仕事の流儀"的な側面も。
それにしても、人が簡単に撃たれて殺されていく。戦争ものやアクション映画で、敵を撃つのではなく、丸腰の一般人だ。見ていてあまり気持ち良いものではない。撃ってるのは、洗脳されてテロを仕掛ける若者だ。R15+だけある。実際にあった話とのことで、監督は誠実に客を守った従業員という単なる美談で終わらせるのではなく、そのひどい現実を出来る限り伝えたかったのだろう。映画としての完成度は別として、目論見は成功していると思う。
観るべき一作。ホテル・ムンバイ 2008年11月26日に起きたこと。
ホテルムンバイ。
2008年11月26日〜29日にインドのタージマハルパレスホテルで実際に起きたテロを描いた映画。
平和や無事を祈るマリーゴールドの花があふれる建築も素晴らしい本当に宮殿のような5つ星ホテル。
“お客さまは神様“最高のホスピタリティで接客をするホテルマンたち。
泊まる顧客も世界のVIPが多く、誰もが憧れるホテル。テロリストのイムランが無邪気に素敵だと思うぐらいのそんな素敵な場所。
夫婦や恋人や家族で過ごす楽しい食事の時間から一転、突然銃声が鳴り響いて。。。
とてもショッキングで、、息もつけなくて。繰り返される惨劇に目を背けたくなりました。でも、これが現実にあったこと。
銃撃戦や爆発音にまるでその場にいるような感覚になりました。
お客様を守るために行動した従業員の方々の純真な姿に心も打たれて、、テロを起こした理由を考えるとどうしようもないやりきれない気持ちになって。。 もし、巻き込まれてしまったら
どうしたらいいのだろうとかいろいろ考えさせられる映画でした。
旅する中で、食事をしてるときに、何気ない日常の中で、突然起こる惨劇は悲劇でしかなくて。
大切なひとが突然隣で銃に倒れたら、自分に銃口が向けられたら。。どうしたらいいのでしょう。
こんなことが日本で起きたら、どう対処するのだろうととても不安にもなりました。
亡くなった方も宿泊者より、従業員の方が多かったそうで、なんて勇気のある行動なんだろうと胸が熱くなりました。
ラストは安堵なのか 悲しいのかわからないけれど、涙が止まらなくて。。
そして、ベビーシッターの方の赤ちゃんの命を守る行動もママであるザーラやパパであるアメリカ人建築家デヴィッドの家族を守るための命がけの行動にもすごく胸を打たれました。
そして、愛する人が目の前で射殺されることは本当に想像を絶して、残されたザーラと赤ちゃんは今は大丈夫なのか、とても心配になりました。
テロリストのイムランも貧しい生活の中で、家族のためにと感情もなくして、人を次々と殺めるけれど、ザーラの祈りに同じムスリムで女性で自分と同じ人間、、と負傷した脚の痛さを抱え、上の指示に従うことが正しいのか心の迷いが見えて、本当に辛くなりました。
どうか良心が戻りますようにと祈らずにいられませんでした。
日本に住むわたしにはわからないコーランやイスラムの世界。宗教戦争。
貧富の差が生んでしまった憎悪や悲しみの感情。
見終わったあとの疲労感は凄かったけれど、、現場は本当に壮絶だったと思うので、すごくやりきれない気持ちになりました。
平和な日本も今は貧富の差もでてきています。でも、まだ守られていて、平和な世の中にもみえます。これから先、どんなときにも自分を自分の良心を見失わないようにと改めて考えました。
そして、今日もほぼ満員の客席でしたが、たくさんの方に観て欲しいと思いました。
伝えなければいけない実話。
貧しさや痛みの矛先は外に向けられる。
テロは絶対にあってはならないもの。
この映画の本当の悲しみは、
テロの実行犯であるまだ十代らしい子供たちの
表情、家族への愛も描いているところ。
ホテルの従業員の方々の勇敢な姿には心から敬意を表する。豊かな私たちの生活の裏側に存在する事実を知るのはとても大切なことと、あらためて感じました。
普通に「面白い」だけでなく…
緊張感がずっと続くので、集中して観終わると本当に疲れるし、ラストの安堵感への感情移入度が凄いことになる。登場人物のキャラクターは創作なんだろうけど、劇映画としての要請とそこそこのリアリティを両立したバランスになっており、普通に「面白い」。そしてテロ実行犯の少年たちへの眼差しも丁寧。主人公がイギリス婦人に対してパグリーについて語り掛ける件とか、テロリストに対するメッセージとしても素晴らしい。この手の映画は、エンタメとして消費するだけではなく、いろんなレイヤーで自分に引き付けて消化したい。
インドで起きた衝撃テロ事件の実話
2008年11月インドムンバイで起きた同時多発テロが題材。
五ツ星ホテル(タージマハル・ホテル)のホテルマンのおもてなしの心が、突然のイスラム過激派組織によるテロ銃撃の中で、奇跡的にお客様を脱出させ多くの命を救った、衝撃的だが感動の実話。
真心、ゲストファースト(お客様は神様)というおもてなしの考え方は万国共通だった。
貧しいのは裕福層が悪いと貧困を楯にし、未成年の少年達を洗脳し、自分たち以外の人を人と思わず、皆殺しという任務を果すためだけに、無慈悲で残虐な殺戮を行った。
恐怖と緊張と怒り、そして勇気と感動の作品だった。
その首謀者は今も捕まっていないという。いつ自分の身に起きてもおかしくないテロの恐怖に脅えてしまう。テロは決して許してはいけない!同感です。
「愛」とはなにかに気付かされる
この映画の主題は、「愛」であると思った。
テロリストに襲撃され、極限状態に陥った状況では、人としての本質というのが浮き彫りになる。そういった状況で、顧客の人々は「愛」する家族を守るために、自分を犠牲にし、従業員は「愛」する顧客のために、自らの命を顧みず、危険を犯す。また、テロリストであっても、故郷にいる「愛」する家族のために、否応なくテロの決行を指示され、従う。まさに、さまざまな人物の「愛」が交錯した映画である。
最近、「愛」を感じていない人、「愛」とはなにかわからなくなっている人には、おすすめである。
What 's your name?
2008年にインドのムンバイで実際に起こったホテル襲撃テロ事件をベースにした話。
宿泊客、ホテルマン、テログループの3方向の視点で描かれる話は休み処がないまま一気に見せる。
ホテルマンの靴が合わないくだりはダイハードオマージュかな?思わずニヤリ。
ホテルマンは髭と帽子がテロリストを想像させると怖がる客に、「自分にも家族がいて帽子は誇りだ」と語り、理解を得ようとする。
一方、テロリストはまだ少年で「異教徒は敵だ」とのみ指導者に信じ込まされ、相手を理解するための初歩の手段すら教えられていないという対比が痛々しい。
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