第2回サステナブル未来映画祭 : 特集
映画を通して世界を知る。そして未来を想い、行動するとき。
「第2回サステナブル未来映画祭」開催への思いとこだわりを語る
映画祭公式ページをチェック 「第2回サステナブル未来映画祭」が9月22日から10月10日までの19日間、オンライン配信プラットフォーム「シネマ映画.com」で開催され、全9作品を配信します。
「サステナブル未来映画祭」は、“「映画」を通して、世界を知る。そして未来を想い、行動するとき。”と掲げ、持続可能な地球環境と子どもたちの豊かな未来のために、環境問題や社会課題をテーマにした新たな映画祭。今年1月28日から2月10日まで開催され、大きな反響を呼び、好評を得ました。第1回は、スウェーデンの若き環境活動家として有名なグレタ・トゥーンベリの素顔に迫ったドキュメンタリー「グレタ ひとりぼっちの挑戦」ほか、地球温暖化、フードロス、プラスチック削減、Z世代の社会起業家たちなどをテーマにした全8作品を配信しました。
第2回は、オスカー3部門ノミネートの快挙を成し遂げた「FLEE フリー」(※9月23日配信開始)をはじめ、本映画祭先行独占配信となったドキュメンタリー「ベルベット・クイーン ユキヒョウを探して」ほか、日本における難民申請の課題や、途上国を舞台に成長し続ける貧困産業、ファッション産業やシーフード産業が抱える問題などをテーマにした全9作品を配信します。第1回に続き、気鋭の映画作家たちが、世界に渦巻くさまざまな社会課題などに鋭く切り込み、人々に問いかける優れた作品が集結しました。主催の株式会社ガイエの近藤雅一取締役に第2回開催への思いやこだわりなどについて聞きました。
▼「第2回サステナブル未来映画祭」開催への思い近藤 第2回の開催理由ですが、今回は、国連本部で行われる総会でSDGsが採択された9月25日(GLOBAL GOALS DAY)を含む毎年9月末の約1週間、「SDGs週間(GLOBAL GOALS WEEK|グローバル・ゴールズ・ウィーク)」と呼ばれるこの期間に、持続可能な開発目標(SDGs)の推進と達成に向けて世界中で様々なイベントなどが実施される予定の中で、映画にふれることで、意識を高め、行動を起こすきっかけになってほしいという願いから、本映画祭もこのタイミングでの開催にこだわりました。
正直言って「映画を通して世界を知る。そして未来を想い、行動するとき。」という映画祭のテーマがしっかりと伝わるのかが少し不安を抱えながら開催した第1回ですが、鑑賞した方のアンケートのコメントを見ると「自分自身が社会課題解決に関わっていきたいが、何をしたら良いか見えない中で、今回の映画祭に触れることで、自分もやれる、やるぞ、そんな想いになることができました」や「テーマが明確なので、普通は選ばないであろうものも見てみようかなと背中を押された感じでした。いろいろ考えるきっかけになり見てよかったと思いました。視野が拡がりました」という趣旨のコメントが多かったので、開催して良かったと実感しました。
▼さらに踏み込んだ難民問題について描いた作品をラインナップ近藤 第1回映画祭終了日が2月10日。その2週間後の2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が起きました。ニュースで連日ウクライナから隣国に避難する人たちの映像を見て心が痛みました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の発表によると、ロシアの侵攻を受けてから2月24日以降ウクライナから国外へ逃げた難民は8月2日時点で1000万人を超えたと言われています。もちろん今回のウクライナ侵攻だけではなく、そもそも紛争や迫害により故郷を追われた人の数は2021年の時点で8930万人となっていて、そして今やウクライナをはじめ世界各地で起こっている人道危機により、その数は1億人を超えています。
そもそもSDGsのコアな部分として人権があります。その前文で、「誰も置き去りにしない(Leave No One Behind)」と謳っていることからも明らかで、前文には、「(目標とターゲットは)すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化を達成することを目指す」とも述べていて、人権とジェンダー・女性の視点が明確に提示されています。
「サステナブル未来映画祭」の役割は、地球・世界・そして私たちがサステナブルな未来にしていくために、今何を行動していかなければいけないかを感じてもらう映画祭として考えると、SDGsの核となる人権を考えたとき、第2回開催では難民問題をテーマにした作品をラインナップしたいと思いました。今回は、アカデミー賞で史上初めて国際長編映画賞、長編 ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門にノミネートを果たした作品でアフガニスタンから脱出を図る青年の姿を描いた「FLEE フリー」、そして日本の難民申請の問題を捉えた「マイスモールランド」2作品を選定しました。
▼少し捉え方の振り幅を広げた作品もラインナップ「FLEE フリー」 ※9月23日配信開始
「マイスモールランド」
「ポバティー・インク あなたの寄付の不都合な真実」
「1日1ドルで生活」
「ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇」
「グリーン・ライ エコの嘘」
「ザ・トゥルー・コスト/ファストファッション 真の代償」
「私は白鳥」
「ベルベット・クイーン ユキヒョウを探して」
近藤 今回は前回に比べて、さまざまなテーマを扱った作品がラインナップされました。 第1回目は、地球温暖化、フードロス、プラスチック削減など、サステナブルな未来、つまり次世代以降も豊かな地球にしていこうという時に、まずは避けては通れないテーマのある作品を中心に選定しました。第2回目は映画祭のテーマは同じだけど、少し捉え方の振り幅を広げた作品も入れてみようと考えました。先述した難民問題をテーマにした作品。まだ手つかずの自然の中で生き続ける動物たちの姿を描いた作品については、本映画祭の視点で見てみると、映像を通して実は気候変動によって豊かな自然が朽ちていく状況が目前に迫っていることに気がつく。また今回も社会課題をテーマにした作品を数多くお持ちのユナイテッドピープルさんから5作品を出品していただきました。どれも本映画祭のテーマに合致した秀作です。
▼善意が新たな社会問題を引き起こしてしまう近藤 善意として行う寄付が途上国の自活力を妨げることになると訴える「ポバティー・インク あなたの寄付の不都合な真実」や「グリーン・ライ エコの嘘」では、熱帯雨林だった土地がパーム油農園拡大のために企業によって不法に焼き尽くされたてしまったりと、企業の経済価値の追求によって、新たな社会問題を引き起こしてしまう。逆に例えば途上国の農家で不法な児童労働がわかると、企業がその農家との取引をやめてしまう。それによって農家の経済的困窮を招き、さらに貧困に陥ってしまうなど、このような状況をトレードオフと言い、どちらか一方を優先することで新たな問題を生んでしまうこと。SDGsが大切にしている考え方は、「誰も置き去りにしない」「誰ひとり取り残さない」ということなので、このトレードオフをトレードオンにする。つまり経済価値と社会価値を両立させるアイデアと行動が企業に必要で、SDGs実現には欠かせないものと言え、サステナブルな未来を描く上で大事なポイントです。
▼世界に渦巻く社会課題を映画という世界で体験してほしい近藤 今回はさまざまなテーマを扱った作品をラインナップしました。世界に渦巻く社会課題を映画という世界で体験してもらう。そして身近なところから少し行動してみる。これが本映画祭開催の目的です。私たちは、気候変動の影響によって世界中で起こる災害をニュースで頻繁に聞いています。大丈夫かな、不安だな、と子供たちの未来を一瞬でも憂えている方々にぜひ観て頂きたいと思います。
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