「女鹿」「不貞の女」「肉屋」官能的で濃密な映像世界「クロード・シャブロル傑作選」開催
2025年12月17日 18:00

サスペンスやミステリーの巨匠として、半世紀にわたりフランス映画界をけん引してきた映画監督クロード・シャブロルの傑作3本をラインナップした「クロード・シャブロル傑作選」が、2月13日から開催される。本企画に先立ち、1月16日からは東京日仏学院エスパス・イマージュにて「クロード・シャブロル特集2026 女性形のサスペンス」と題した特集上映も行われる。
ヌーベルバーグの幕開けを告げた「美しきセルジュ」(58)以降、長きにわたってフランス映画を代表する映画監督として一線で活動したクロード・シャブロル。長編だけで54本を監督、人間存在への皮肉めいた眼差し、恐怖とユーモアの絶妙なバランス、モラルや常識を飛び越えた作風が特徴だ。

「クロード・シャブロル傑作選」で上映されるのは「女鹿」「不貞の女」「肉屋」の3本。いずれも長いキャリアの中でも黄金期と言って過言ではない、1960年代後半から70年に発表された、当時シャブロルの妻だったステファーヌ・オードラン主演によるサスペンスの極上作ばかり。しかも「不貞の女」「肉屋」は特集上映を除き日本初の劇場公開となる。2026年の幕開けにふさわしいシャブロルの官能的で濃密な映像世界を体験できる貴重な機会となる。
「クロード・シャブロル傑作選」は、2月13日からシネマリス、Morc阿佐ヶ谷ほかで開催。

ヌーヴェル・ヴァーグはクロード・シャブロルとともにはじまったのだという神話など今となっては生まれる前に消え去っていたようなものだから、あえて思い出そうとしたりすることもないくらいだ。どんな映画も臆することなく不敵な面構えで勢力的に撮りつづけてきた怪力のシネアストだ。
「女鹿」「不貞の女」「肉屋」はクロード・シャブロルの一九六〇年代から七〇年代にかけての“ブルジョワ・シリーズ”の代表的な三作である。当時シャブロル夫人で最も美しく官能的な女優だった、ステファーヌ・オードランがヒロインを演じる三部作と言ってもいいかもしれない。
クロード・シャブロルにとってブルジョワとは何か?──それは「資本主義社会の寄生虫」で、「嘘と美食と姦通と殺人にしか生き甲斐を見出せない」男と女である。金には困らないが、欲望と狂気は抑え切れないという厄介な存在だ。ブルジョワ出身のクロード・シャブロルがいわば近親憎悪をむきだしにして執拗に描きつづけたブルジョワジー破局の密かな黙示録的三部作とも言うべき作品群なのである。
舗道に鹿の絵を描いていた美少女(ジャクリーヌ・ササール)を誘惑したブルジョワ女が逆に身も心も男(ジャン=ルイ・トランティニャン)も奪われてしまう「女鹿」。自己の心の問題を嘘で表現しつつ、互いに助け合って危機を克服するブルジョワ夫婦を静かに描く「不貞の女」。夫(ミシェル・ブーケ)にとって、殺人はブルジョワ的鬱屈の爆発にすぎないのだ。肉切り包丁ならぬ飛び出しナイフで女たちを血祭りに上げる肉屋(ジャン・ヤンヌ)に愛された美貌の女教師は……と戦慄のシャブロル的サイコドラマは果てしなくつづくかのようである。

会期:2026年1/16(金)、17(土)、18(日)、23(金)、24(土)、30(金)、31(土)、2/1(日)
会場:東京日仏学院エスパス・イマージュ
主催・会場:東京日仏学院 特別協力:マーメイドフィルム、アニエスベー
詳細は公式HPで告知(https://culture.institutfrancais.jp/event/cinema202601160201)
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