情事の後の密かな語らい…田中麗奈が娼婦役で新境地 綾野剛主演「星と月は天の穴」新場面写真
2025年11月7日 17:00
(C)2025「星と月は天の穴」製作委員会日本を代表する脚本家・荒井晴彦の監督最新作で、吉行淳之介の同名小説を綾野剛主演で映画化した「星と月は天の穴」。主人公矢添のなじみの娼婦・千枝子役を演じる田中麗奈の新境地に息を呑む、新たな場面写真が公開された。
荒井監督の長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常が、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴られている。
小説家の矢添は、妻に逃げられ結婚に失敗して以来、独身のまま40代を迎えていた。心に空いた穴を埋めるように 娼婦・千枝子と時折り体を交え、捨てられた過去を引きずりながらやり過ごしていた。そして彼には恋愛に尻込みするもう一つの理由があった。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えているからだ。そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を自問するように探求するのが日課だった。ところがある日、画廊で偶然出会った大学生の瀬川紀子と彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始める。
(C)2025「星と月は天の穴」製作委員会荒井と「花腐し」(23)でもタッグを組んだ綾野が矢添克二を演じ、過去のトラウマから、女を愛することを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ないキャラクターを体現する。そして、女子大生の紀子を演じるのは、咲耶。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れる。矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じるのは、荒井作品3作目の出演となる田中麗奈。さらには、柄本佑、岬あかり、MINAMO、 宮下順子らが脇を固める。
田中は1998年の映画「がんばっていきまっしょい」(磯村一路監督)で爽やかで快活な主人公を演じ、数々の映画賞を受賞。その後もコンスタントに活躍の幅を広げ、本作で田中は、これまで見せたことのない表情や佇まいを見せている。
千枝子は矢添を憎からず思っており、彼に対し他の客以上の“情”はある。しかし関係は進展することなく、時だけが流れ、女として自身の人生の選択をする時であることを自覚している女性だ。愛をこじらせている矢添に決して踏み込むことなく淡々と寄り添う一方で、矢添の一番の理解者であることも見受けられる。さらには、己の幸せのために大きな決断を下していく千枝子の姿は切なくも軽やかで、咲耶演じる紀子とある種対照的な人物像となっている。
(C)2025「星と月は天の穴」製作委員会ままならなさ、どうしようもなさを抱える心の内が全身から溢れ出る色香となって、役柄への説得力が増している。田中自身も「今でも千枝子を思うと胸がキュッとします」と語る通り、千枝子が持つ矢添へのある種の愛と諦念、複雑な女心の内は観る者の共感を呼ぶことだろう。
田中と荒井監督の出会いは2017年、三島有紀子監督による「幼な子われらに生まれ」。荒井が脚本を務めた同作で田中は浅野忠信とともにバツイチ同士で結婚した夫婦を演じ、血のつながらない家族に対する葛藤、再生を描いたこの作品で第91回キネマ旬報ベスト・テン 助演女優賞、第72回毎日映画コンクール 女優助演賞ほか、作品としても第41回モントリオール世界映画祭審査員特別大賞など数々の賞に輝いた。
(C)2025「星と月は天の穴」製作委員会次いで、荒井が脚本を務めた「福田村事件」(2023年/森達也監督)にも出演した。田中は、荒井が監督を務めた「火口のふたり」(19)、「花腐し」(23)にも惹かれていたとコメントしており、今回の作品の出演には「お話をいただいた時はびっくりしましたが、お声がけいただき大変嬉しかったです」と語っている。一方荒井も「まさか出演してくれるとは思わなかった」と田中の参加に望外の喜び、さらには「ここまでやってくれるとは思わなかった」と期待を大きく上回る田中の演技に感嘆の声を寄せている。制作陣を唸らせたという、公園のブランコのシーンは必見だ。10代での鮮烈なデビューから20年以上の時を経て、スクリーンに圧倒的な存在感を刻む、田中の新境地から目が離せない。
「星と月は天の穴」は、12月19日から東京・テアトル新宿ほかで公開。
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