花腐し

劇場公開日:

花腐し

解説

「火口のふたり」の荒井晴彦監督が綾野剛を主演に迎え、芥川賞を受賞した松浦寿輝の同名小説を実写映画化。原作に“ピンク映画へのレクイエム”という荒井監督ならではのモチーフを取り込んで大胆に脚色し、ふたりの男とひとりの女が織りなす切なくも純粋な愛を描く。

廃れつつあるピンク映画業界で生きる監督の栩谷は、もう5年も映画を撮れずにいた。梅雨のある日、栩谷は大家からアパート住人に対する立ち退き交渉を頼まれる。その男・伊関はかつて脚本家を目指していた。栩谷と伊関は会話を重ねるうちに、自分たちが過去に本気で愛した女が同じ女優・祥子であることに気づく。3人がしがみついてきた映画への夢が崩れはじめる中、それぞれの人生が交錯していく。

綾野が栩谷を演じ、「火口のふたり」にも出演した柄本佑が伊関役、「愛なのに」のさとうほなみが祥子役で共演。

2023年製作/137分/R18+/日本
配給:東映ビデオ
劇場公開日:2023年11月10日

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(C)2023「花腐し」製作委員会

映画レビュー

4.0「火口のふたり」とは比較にならないほどに進化した荒井晴彦監督の最新作!

2023年11月16日
PCから投稿

「火口のふたり」という「R18+映画」が2019年に公開され、映画業界の一部で話題となりました。
私は正直なところ「火口のふたり」の良さを理解できず、という感じでした。
その「火口のふたり」で脚本と監督を務めた荒井晴彦監督が前作の柄本佑に加えて、綾野剛を主演に迎えるというスケール感が増した本作。
そして原作は2000年に芥川賞を受賞した「花腐し」で、それに“ピンク映画へのレクイエム”という大胆なスパイスを配合し作られたのです。
ヒロインはバンド「ゲスの極み乙女」のメンバーの「さとうほなみ」で、このところ映画業界での活躍が目覚ましい旬な人選です。
しかも、宣伝サイドもいつになく力が入っていたので、見てみました。
いわゆる「ピンク映画」というのはいろんな種類があるのでしょうが、私の評価軸は「映画としてキチンと成立しているのかどうか」です。
その意味では本作は十分に「映画」として成立していたと思います。
まず、白黒とカラーのシーンに分かれていますが、これは観客が時間軸の把握に役立ち効果的です。
また、終盤の展開も原作の良さが反映されたのか、とても「映画」らしく深みを増しています。
私は137分の間、集中力が途切れず鑑賞できました。
とは言え「R18+映画」なので、向き不向きがあるのでしょう。
特に偏見を持たずに、「映画」であれば何でも見てみたいというスタンスの人にはお勧めできる作品です。

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共感した! 9件)
細野真宏

3.5ピンク映画への郷愁と惜別と、生まれるかもしれない新しい何か

2023年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

男と心中した女優・祥子(さとうほなみ)が海辺に打ち上げられているところから映画は始まる。祥子が命を絶つ少し前まで同棲していたピンク映画監督の栩谷(綾野剛)。かつて脚本家志望で祥子が駆け出しの頃に出会った伊関(柄本佑)。アパートから立ち退きを迫られている伊関と、交渉役として訪れた栩谷が意気投合し、同じ女性を別の時期に愛していたことにお互い気づかぬまま、それぞれが祥子と過ごした頃を述懐する。

松浦寿輝が芥川賞を受賞した原作小説に、荒井晴彦監督がピンク映画の要素を加えて脚色。R18+の指定からも分かるように、主要人物らの性行為が生々しくも時に物悲しく、また時に滑稽に描写されている。カラーとモノクロを時代で使い分ける場合、現在を原色、回想パートをモノクロでというのが定石だが、本作では逆になっている。伊関や栩谷が祥子と過ごした愛の日々が鮮やかで夢や希望もあったのに対し、祥子を喪失した現在では人生が味気なくなっていることを表しているのだろう。

さらに、祥子というキャラクターがピンク映画の隠喩だとすれば、劇場公開作品の一ジャンルとして活況を呈したかつての時期がカラフルで、パッケージやオンラインのアダルトコンテンツに押されて死に体の現在が色を失っているのも理にかなっている。

ピンク映画に思い入れがあるシニア層ならおそらくノスタルジーを感じるだろう。それ以外の世代にはアナクロニズムに映るか、それとも逆に新鮮だろうか。祥子と二人の男の愛は実を結ばなかったが、レトロスペクティブな企てがくち果てて養分となり、新たな胎動につながるのかもしれない。

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共感した! 7件)
高森 郁哉

2.5東日本大震災から半年余りの冬。 都内では多くのピンク映画専門館が閉...

2024年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 0件)
りゃんひさ

3.5過去がカラー映像で、現在がモノクロ映像

2024年3月24日
PCから投稿

『思い出はモノクローム』って好きな歌だけど、
この映画の思い出はカラーなんですね。
ピンク映画業界の裏話的な人間模様のスケッチ。

友達のピンク映画監督と心中した6年間暮らした女。
その彼女を悼む男の話し。
そして男(綾野剛)がボロアパートに住み着いてる男(柄本佑)を
家主から頼まれて追い出しに行って、なぜか長い身の上話をすることになる。
そして死んだ女の思い出を語り、
居座ってる男も初体験からずうっと付き合つてた女の話をする。
そして最後に愛した女が同じ女・・・だと気づく。

主演女優の“さとうほなみ“の熱唱は彼女へのお礼?!
山口百恵の『さよならの向こう側』
明るく終わって良かった。
でないとじめじめして暗いもの。

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琥珀糖
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