前田敦子&廣木隆一監督、11年ぶりタッグでも揺るがぬ信頼関係【「恋に至る病」インタビュー】
2025年10月24日 11:00

長尾謙杜と山田杏奈が主演する「恋に至る病」が、10月24日から全国で封切られる。今作に刑事役で出演する前田敦子は、「さよなら歌舞伎町」以来、実に11年ぶりの廣木隆一監督作への出演。久々にタッグを組んだ前田と廣木監督がこれまでのこと、そしてこれからのことを語り合った。

廣木監督(以下廣木)「今回、本当に難しい刑事役だったので、本人がおそらく“嫌だ”と言うと思っていたんですね。刑事って日常から離れているとまでは言わないけど、ちょっと変わった役。普段は柔らかい感じだけれど、前田さんが持っている突き進む感じとか、芯が通っている感じのあっちゃんが出たらいいなと思ったのが大きかった。でも撮影中は、全然一言も口をきいてくれなかったけど(笑)」
前田「違いますよ! 撮影日数がすごく短かったので、コミュニケーションを取る時間も全然なく、内容が内容なので、みんなやっぱりちょっとだけ暗くて。主演の長尾さんとのシーンも、すごくシビアなタイミングだったのかなと思って、気を遣って何もしゃべらずにいたら撮影が終わってしまったんです」
廣木「そうなんだ」
前田「本当に短期間でしたので、みなさんが今どこを撮っているか分かっていないのに、ぺらぺらしゃべるのも違うのかなと思って。どういうタイミングか分からなかったので、周囲の様子をじっと観察していたら撮影が終わりました」
廣木「そんなシリアスで暗い感じではなかったですよ、全然」
前田「現場は和気あいあいとしていましたか?」
廣木「朗らかな現場でしたよ。でも、恋だけでなく闇の部分も描かれている物語なので、静かだし、みんなそれぞれに、何かを持ってるし、という感じはありましたね。そこにいきなり入ってくるあっちゃんもすごいと思います。でも、『やってくれー』みたいな気持ちでしたね」
(C)2025「恋に至る病」製作委員会前田「廣木さんは、いつお会いしても忙しいですし、今日の取材前にお話しした時もさっきまでロケハンに行っていたとおっしゃっていましたし、いつ聞いても、本当に映画にずーっと入っている方。映画の世界で生きている方だなと(笑)」
廣木「(笑)」
前田「普段は柔らかく、こうやって冗談混じりにおしゃべりしてくださるんですけど、現場になると、鋭い視線と佇まいになるので、やっぱり緊張感はありますね」
前田「今回は特に規模も大きな作品だったのですが、廣木さんの作品の世界観は、いつ携わらせていただいても、生ぬるい気持ちじゃ入れないというか、いつでも緊張感はすごくあります」
前田「今回の役は背景があまりない役でしたので、現場の空気感を感じないとわからないなと思って入ったところがありますね。みんながどんな風に撮影しているのか、対峙しないといけない長尾さん含めて、どういう色なんだろうっていうのは、あまり想像しないまま現場に入った部分はあるかもしれないですね」
前田「そうですね。そんな時間もあったのかなっていうぐらい、あっという間ではあったんですけど」
廣木「『さよなら歌舞伎町』の時は、撮影の前に別の作品をやってたんですよね。それを無理にお願いして出てもらっていて。2日ぐらい?」
前田「そうですね」
廣木「その間に髪の毛も染めてもらったりして。現場に来た時には本当に新宿にいるようなミュージシャンになっていた。あっちゃんが自分の中で、役をどんどん作っていってくれたんだなと思いました。それはもうAKB48とはまた異なる、役柄としての一人のミュージシャンという感じがすごい出てました。その時、あっちゃんは肌感で作り上げていく人なんだなって感じましたね」

廣木「今の高校生と僕らの時の高校生って絶対違うじゃないですか? ぶっちゃけ自分で大丈夫なのかな?って(笑)」
前田「えー! でもキラキラ映画もたくさん撮ってるじゃないですか! どういう経緯で映画化になったんですか?」
廣木「企画をいただいて、面白そうだと思って引き受けました。今の現代の若者をキラキラとは違うストーリーでやりたかったんだよね」
前田「今回の作品は、かなり芯を食っていますよね。現代の若者たちの心の中を映したような印象を受けました。世の中、どんどん生きていくのが大変になっていると感じるじゃないですか。こういう刺激ってみんなにとっては娯楽になっているというか、こういうものも必要なんだよなあと思いました。私たちが若いころよりも結構ハードな内容が若者向けに描かれているんだなと思って、ちょっと私は衝撃でしたね」
前田「年齢が分からない感じが、ふたりともすごく似てるなと思いました。いったいいくつなんだろうって」
廣木「あ~、そうですね。まだ20歳前半とかだよね」
前田「すごい幼くも見えるし、でもすごい凛としている感じがふたりともすごく似ていて、なんか全然私たちの時代とは違う、軸の通ったおふたりだなと思いました」

廣木「目の前で?」
前田「恥ずかしい…」
廣木「もう、映画を観てもらえれば分かります!」
前田「それが一番いいですね」
廣木「みなさんがイメージしているあっちゃんとは違うあっちゃんが見れると思いますし、作ろうとしているわけではなく、ふたりにぶつける演技を自然にやってくれているので、映画としてとても助かりました」
前田「嬉しいです」
前田「内容的にはすごく、若い子たちの生死のあり方、生き方のような、結構センシティブな話ではあると思うんですけど、廣木さんの世界観・色に染まった作品になっているので、心にスーッと入ってくる作品になっているのではないかなと思います。怖くておどろおどろしいということではなく、ちゃんと青春を感じられると思いますし、監督のスパイスが入ることによって、すごく見やすくなっているのではないかなと思います」
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