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「ローズ家 崖っぷちの夫婦」あらすじ・概要・評論まとめ ~英国を代表する二人が挑む、ウィットと皮肉に満ちた容赦なき愛憎劇~【おすすめの注目映画】

2025年10月23日 10:00

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「ローズ家 崖っぷちの夫婦」
「ローズ家 崖っぷちの夫婦」
(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!

本記事では、「ローズ家 崖っぷちの夫婦」(2025年10月24日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。


画像2(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
【「ローズ家 崖っぷちの夫婦」あらすじ・概要】

1989年製作の「ローズ家の戦争」を、「女王陛下のお気に入り」「ロスト・ドーター」のオリビア・コールマンと「ドクター・ストレンジ」「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のベネディクト・カンバーバッチの主演でリメイクしたブラックコメディ。「オースティン・パワーズ」や「ミート・ザ・ペアレンツ」で知られるコメディの名匠ジェイ・ローチがメガホンをとり、ある夫婦の離婚を巡る争いを、痛快なユーモアや風刺、緻密な心理描写を織り交ぜて描いた。

建築家のテオと料理家のアイヴィは、順調なキャリアやかわいらしい子どもたち、完璧な家庭生活に彩られ、誰もがうらやむ理想的な夫婦だった。ところがある時、テオの事業が破綻したことをきっかけに、2人の関係は音を立てて崩れ始める。心の奥底に秘めていた競争心や不満が火を噴き、最初は嫌味を言い合う程度だった応酬が、次第に口論、罵り合い、つかみ合い、やがては銃まで持ち出す事態へと発展する。一度は愛を誓い合った夫婦でありながら、互いに一歩も引かず、ありとあらゆる手段で攻撃し合うことになった2人は、文字通りの命懸けの夫婦ゲンカを繰り広げていく。

脚本は「女王陛下のお気に入り」や「哀れなるものたち」でアカデミー賞にノミネートされたトニー・マクナマラが担当。共演にはアンディ・サムバーグアリソン・ジャネイケイト・マッキノンらが名を連ねる。


●英国を代表する二人が挑む、ウィットと皮肉に満ちた容赦なき愛憎劇(執筆:牛津厚信)
画像3(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

表向きは絵に描いたようなコメディ。しかしこちらが気を緩めると、途端に夫婦の心理劇とも取れる“沼”に足を持っていかれる異色作だ。彼らはどこで道を誤ったのか。そして私の表情はいつ笑みから唖然としたものへと変わったのか。その境界線を曖昧にさせながら観客をグイグイ引き込むところにカンバーバッチ&コールマンの巧さがある。

始まりはロンドン。建築家のテオ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、シェフのアイビー(オリビア・コールマン)と速攻で恋に落ち、それから10年後、二人はカリフォルニアで双子に恵まれた幸せな家庭を築いている。夫は建築家として順風満帆。一方、子育てに専念してきた妻は念願叶ってようやくレストランを開店させるのだが、そんなある日、予期せぬ嵐が吹き荒れ、二人の家庭内での役回りがまるっきり逆転する事態に―。

画像4(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

マイケル・ダグラスキャスリーン・ターナー主演で話題を呼んだ「ローズ家の戦争」(1989)のリメイクながら、その設定と構造は現代版としてガラリと刷新されている。脚本を手がけるのがトニー・マクナマラ(「哀れなるものたち」)なのも特筆すべきポイントで、主演二人の英国人的特質でもあるウィットや皮肉や“本音の見えなさ”を際立たせつつ、さらにアドリブを得意とするアメリカ人コメディ俳優らが脇を固めることで、夫妻が織りなす心理迷宮はなお一層、いびつで予測不能なものに仕上がっている。

建築家やシェフという、高い職能と個性を要する職種を扱っている点も面白く、一旦は成功を掴み爆上がりした自尊心があらぬ方向へ逆噴射していく主人公の姿は鮮烈だ。誰がどの時点でどうあるべきだったのかとケーススタディ的に鑑賞するのも楽しい。が、何よりも仕事上の信頼が失墜して大ピンチに陥っていくカンバーバッチと、にこやかさと辛辣さの両面をナチュラルに醸し出すコールマンの振り切れた演技を見ているだけで満ち足りた気持ちになれる。

画像5(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

きっと長年の友人同士による念願の初タッグ作だからこそ、容赦なく刺激しあいながら、相手のまだ見ぬ側面や表情をこれほどヴィヴィッドに引き出せたのだろう。共に同世代で、親として子を育てる身。ある意味、彼ら二人の“等身大の今”を繊細かつ過激に反映させた作品とも言えるのかもしれない。

執筆者紹介

牛津厚信 (うしづ・あつのぶ)

X(Twitter)

映画ライター。77年長崎生まれ。明治大学を卒業後、某映画専門放送局の勤務を経てフリーに転身。クリエイティブ・マガジン「EYESCREAM」や「パーフェクトムービーガイド」などでレビュー執筆やインタビュー記事を手掛ける。またイギリス文化をこよなく愛し、その背後にある歴史や精神性を読み解くことをライフワークとしている。

Twitter:@tweeting_cows/Website:http://cows.air-nifty.com/


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