元阪神・横田慎太郎さんの人生を描く「栄光のバックホーム」 平田監督「あのバックホームは努力の結晶や」 鈴木京香らが涙ながらに語る特別座談会映像
2025年10月15日 08:00

28歳の若さで逝去した元阪神タイガースの横田慎太郎さんの人生を描いたノンフィクションを映画化する「栄光のバックホーム」から、入団時から横田さんを指導した阪神タイガース二軍監督の平田勝男、横田慎太郎役の松谷鷹也、母・横田まなみ役の鈴木京香、本作のメガホンを取った秋山純監督の特別座談会映像(https://youtu.be/RGDvvcvDSdQ)が披露された。
2013年に阪神タイガースにドラフト2位で指名された横田さんは、将来を嘱望されるが、21歳で脳腫瘍を発症。引退を余儀なくされた彼が最後の試合で魅せた感動のラストプレーは、多くの人々の心にいまなお深く刻まれている。
本作は、その一球に込められたドラマを描いた横田さんの自著「奇跡のバックホーム」と、彼が23年に28歳で生涯を閉じるまで、母・まなみさんら家族とともに闘い続けた人生の軌跡を描いたノンフィクション「栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24」を原作に、「栄光のバックホーム」として映画化するもの。「20歳のソウル」の秋山純が企画・監督・プロデュース、「栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24」の著者・中井由梨子が脚本を担う。
主人公・横田慎太郎を演じるのは、元高校球児でもある新人・松谷鷹也。そして、慎太郎の母・まなみ役を演じる鈴木京香がともに主演を務める。阪神タイガースの先輩選手・北條史也役に前田拳太郎、慎太郎の思い人・小笠原千沙役に伊原六花、慎太郎の姉・真子役に山崎紘菜、スポーツ紙の野球担当記者・遠藤礼役に草川拓弥が扮する。その脇を、萩原聖人、上地雄輔、古田新太、加藤雅也、小澤征悦、平泉成、田中健、佐藤浩市、大森南朋、柄本明、高橋克典らが固めている。

特別座談会の映像は、本作の秋山監督、松谷、鈴木がそれぞれ挨拶した後、平田氏が「ファーム監督の大森南朋です」と映画のキャスティングに準えたジョークを飛ばしてスタート。平田氏は横田さんとの出会いをについて「鹿児島実業から入ってきて、僕も長崎出身だから訛りも似てた。最初は緊張しすぎて挨拶もできないぐらい純粋な子でね。だけど野球が大好きで、練習を誰よりも頑張っていた」「体つきも松谷さんと似ていて、まさに大型外野手。足も速くて肩も強かった。バッティングをやらせると、ガンガン柵越えしてましたので、将来はタイガースの中心選手になる逸材と確信していた」と当時を振り返った。
また秋山選手の人柄を問われ、「みんなから愛される男だった」と即答。「野球馬鹿というか、本当に野球が大好きで。先輩から食事に誘われた時に『監督が練習しろと言ってる』と言って、断ってもいいですか?」と真面目な顔をして聞いてくるんですよ。だから、『うん、いいぞ。その代わり、部屋で腹筋とか背筋やるのか?』って聞くと、『やります!』って。それぐらい野球に対する情熱があったからこそ、こうやって皆から愛されたんだと思います」と横田さんとのエピソードを披露した。
また、病気発覚の瞬間を振り返り、「キャンプ中にフライを落としたり空振りばっかりしたりおかしいと思って検査を勧めたら、ちょうど金本知憲監督の元レギュラーを掴みかけている時で本人は行きたくないと。それでも絶対行ってこいと言ったら、翌日『脳腫瘍と診断されました』と。本当に限界だったと思うけど、それだけ我慢強かった」と当時の様子を語った。
病気が寛解して、育成選手として背番号124番で戻ってきてからも孤独なトレーニングが続いた横田選手。「そこはもう映画の通りですよ」と平田は話し、「もう見えてないんですよ。だから、必死になってボールを探すんです。バッティングでも、皆は当てさせようとして軽く投げるんですけど、僕は空振りしても、普通の選手と同じように投げました」と涙をこらえきれず、「思い出すとダメだね」と苦笑いする場面も。これに耳を傾けていた松谷も両頬を濡らしていた。
そんな平田の言葉を受けて秋山監督が、「彼の頑張りは、とんでもないことだと思うので、1人でも多くの人に知ってほしいというのが僕らの願いです」と作品に込めた思いを明かすと、平田は「この映画を見て、横田という人間の生き様もそうですが、お母さんや周りで支えた人たちの愛情を感じてほしい、こういう時代にすごくいいタイミングで素晴らしい映画ができたなと僕は思うんです」と映画を称えた。
さらに、横田さんの引退試合の際、平田監督が横田さんに「センターに入れ」と言ったことを秋山が明かすと、平田は「『どこを守りたいんや』って聞いたら、気を遣って『ライト』って言ったんです。センターはボールが見えなかったら迷惑かけると思ったんでしょうね。『ライトを守らせてください』って言うから、『バカたれ!お前はセンターやろ!』って。そこから2、3日しかなかったけど、『センターで練習しとけ。センター以外のポジションはせんでいい!』と言った」と引退試合の裏側を明かした。
また、本作劇中でも再現される“奇跡のバックホーム”について、平田監督は「『奇跡のバックホーム』が横田の本のタイトルになってますが、あれは奇跡じゃないんです。彼は毎日練習してましたから、彼の努力の結晶なんです。奇跡でもなんでもない。バックホームの前に、左中間に飛んだボールを、カットマンにバチっと投げたんです。しっかり投げられるし、ボールが見えてるんかと思って。2対2に追いつかれた後に、センター前に打たれて、それをヨコがとって、ノーバウンドのバックホームですよ。未だに、あの時いた選手たちの目に焼き付いてます。ベンチの前に出て、全員号泣ですよ」と、あのバックホームは横田さんの努力の証だと熱弁した。
そして2023年の阪神優勝を振り返り、平田監督は「横田が勝たせてくれた優勝」と語る。「亡くなったことを7月のオールスター休みの時に聞いて、涙が止まりませんでしたけど、その年に優勝できて、日本一になって。皆で横田のユニホームを掲げて。あんなことないよね…。横田が勝たせてくれた優勝じゃないですかね」と思い出し、涙がこらえきれなくなる場面も。その言葉を受けて秋山監督が「岩崎さんがマウンドに上がる時の甲子園の空気はすごかったです」と振り返ると、平田監督も「『栄光の架橋』は、僕らは涙が止まりませんでした」と思い返し、「チーム全体が慎太郎に届けと思ってたからだと思います。日本シリーズでも横田のユニホームを飾ってくれてましたから」と裏話を明かした。
そのシーンをテレビで見ていたという鈴木は、秋山監督から母親役での出演を打診された際、「あまり健康状態に自信がない時だったので、できないかもしれないと思いながらも、あのシーンを見ていたものですから、監督にお会いしてお話を伺ってるうちに、『私の体調も万全じゃないんだけれど、ぜひやらせていただきます』とお返事したんです。やらせていただかなきゃいけないと思うぐらい胸を打つシーンでした」と本作への出演秘話を明かした。
「栄光のバックホーム」は、11月28日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。
(C)2025「栄光のバックホーム」製作委員会
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

この絶品、まだ観てないの!?
【コンプラ?知らん知らん!】中毒者、大量発生中!! 超爆裂ヒット&世界記録樹立の“極大刺激作”
提供:JCOM株式会社

死霊館 最後の儀式
【今年のホラーを締める“頂上決戦”】怖い!楽しい!観たことない!! “すんごい”ラスボスを祓え!!
提供:ワーナー・ブラザース映画

愚か者の身分
【好きで好きで、たまらない一作に出合いました】北村匠海×林裕太×綾野剛の絆が、愛おしくて狂いそう
提供:THE SEVEN、ショウゲート

人生を心から楽しむ、生きる力をくれる映画
【映画出演124本目の最新作】きっと、あなたの人生の“大切な1本”になる――
提供:キノフィルムズ

なんだこの映画は…!!
【いやめちゃくちゃ面白かった!!!】音、物語、ビジュアル、全て高品質の“強”推奨作!!
提供:ディズニー

この衝撃作を知ってるか?
“大注目ドキュメンタリー”の魅力を語ってきた!
提供:ラビットハウス、ミュート