【世界の映画館めぐり】予算5万円で3日間満喫 映画もグルメも街歩きも楽しい!釜山国際映画祭を体験(前編・旅の準備)
2025年10月12日 11:00

映画.comスタッフが訪れた日本&世界各地の映画館や上映施設を紹介する「世界の映画館めぐり」。9月に開催されたアジア最大級の映画祭、釜山国際映画祭を体験してきました。
今回は、媒体としての取材ではなく休暇を使って一般客として参加。渡航や宿泊、チケット購入、現地での過ごし方を報告します。まず、結論だけ申し上げますと、世界で話題・注目の映画鑑賞、異国の文化、特色あるグルメ体験が、“安・近・楽”(安く、安全、近く、楽しく、楽!)でエンジョイでき、海外映画祭初心者の方のデビューにもおススメの映画祭でした。
もちろん、お金はかければかけるだけ快適な旅ができるものです。しかし、リッチでなくても、スマホで情報を得るだけでは味わえない、リアルな自分だけの非日常を体験することは可能です。円安だし海外旅行なんて自分にはハードルが高いかも…、ひとりでも大丈夫かな? そんな不安を持つ方、収入の少ない若い世代や学生さんでもお小遣いを貯めれば行けそうな、航空券と宿泊で予算5万円以内を目安に、ゆるめのバックパッカー歴20年超の筆者が旅程を組んでみました。

今年2025年で第30回を迎えた釜山国際映画祭は、韓国・釜山で1996年にスタートし、毎年開催されるアジア最大級の映画祭です。開催期間は9月17日から9月26日、公式上映作品は241本、日本からは今年新設されたコンペティション部門に選出された「愚か者の身分」(永田琴監督)、「旅と日々」(三宅唱監督)のほか、様々な非コンペティション部門で「国宝」(李相日監督)、「秒速5センチメートル」(奥山由之監督)などの話題作、日本での劇場公開待機作を含め24作品が出品されました。そのほか、カンヌ、ベネチア、ベルリンをはじめとした世界を代表する映画祭での話題作、本映画祭での上映がワールドプレミアとなる韓国映画や世界各国の新作映画がお披露目されました。
コンペティション部門「Busan Awards」では、「チェイサー」「哭声 コクソン」などで知られる鬼才ナ・ホンジン監督が審査委員長を務め、日本作品「愚か者の身分」の北村匠海、林裕太、綾野剛が最優秀俳優賞といううれしいニュースもありました。

今年の開催期間は9月17日(水)~9月26日(金)。23日が秋分の日で日本は祝日だったので、筆者は24日~26日の3日間に遅めの夏季休暇をとり、23日夕方に釜山到着のスケジュールを組みました。日本と韓国の間は、LCC(格安航空会社)がたくさん飛んでいますので、大体の滞在スケジュールを決めたら、航空券比較サイトでチケット料金をチェックします。ただ、LCCは遅延や欠航の際の保証がないので、なるべく余裕を持ったスケジュール&予算設定がおススメです。
・帰り 釜山→清州(高速バス)約3400円、清州→東京(Aero K)約7000円
筆者は東京在住ですが、23日に関西で別の予定があったため、まずは片道で大阪→釜山のチケットを検索しました。7月の時点で、LCCは1万2000円台と、東京―大阪間の新幹線並みのプライスがずらりで、時間の合う便を見つけ次第即決です。帰路を検索したところ、釜山→東京は軒並み2万円台~。韓国のLCCは便が多く各社競争熾烈、これより安くなるタイミングもしょっちゅうあるので、この時には買わずにしばらく放置していました。が、8月に入ってもなかなか価格は下がらずで。では、今回は2万円台で買おうかしら…と、思ったときにひらめきが。

過去にソウル訪問などで利用したことのあるAero KというLCCです。こちらは清州という韓国の中央部に位置する地方都市を拠点とする航空会社で、清州国際空港はアジアを代表するハブ空港としても知られる仁川国際空港に比べとても小さく、利用者数もほどほどなので、出入国関連の待ち時間が少なくスムーズなのです。そして、希望日はなんと清州→東京6980円(成田着/受託荷物料金は別)という衝撃プライスでした。釜山から別途鉄道や高速バスで2~3時間と移動はかかりますが、それでも清州空港を使う利点はレポート後編に記したいと思います。
と、イレギュラーが重なりましたが、バス、鉄道など数百円単位の市内移動を除く主な交通費は約2万2200円。再度9月に入ったところで航空券価格をチェックしたところ、釜山→東京も1万3000~8000円台のチケットが出ていました。筆者のように複雑な取り方をしなくても、タイミングをみてLCCを購入すれば往復3万円台で釜山行きは可能です。関空発着の場合はもう少しお手頃でしょう。

清州高速バスターミナルビル至近で便利なモーテル 1泊約5000円
釜山は韓国第2の大都市ですので、海外のホテル予約サイトを検索すると、民泊から高級ホテルまで何百件も候補が出てきます。今回の釜山滞在は3日間。日中は街に出て映画を見て、観光をするのでのんびりホテルで過ごす時間はありません。それでも、なるべく快適で安全な宿を選びたいもの。まずは、宿泊地域として映画祭メイン会場の地下鉄最寄り駅(センタムシティ)から2駅の、海雲台(ヘウンデ)を選択しました。
ひとり旅ユーザーからの評価が高い宿泊施設を発見し、4ベッドのドミトリーの女性専用フロアを選択しました。宿泊費は諸税込みでなんと1泊2000円台(予約時期によって価格変動アリ)。共同のシャワールームやトイレも清掃が行き届いており、ベッドには着替え時など、プライバシーも守れるロールカーテンも完備。筆者は日本と比べて物価の安いインドから高すぎるスイスまで世界20カ国ちかく、ひとり旅向けの宿を経験していますが、こちらは清潔&快適度と価格のバランスがトップクラスでした。

宿では韓国や中国をはじめとしたアジア各国の若者たちや、旅慣れていそうな年配の欧米人ツーリストも見かけました。日本人女性もきっと安心して過ごせる施設だと思いますし、ちなみに筆者は映画祭に参加している韓国人のボランティアスタッフさんが同室でした。こちらの滞在中は共有スペースでの挨拶くらいしか交わしていませんが、宿泊者同士積極的に交流したい、プライバシーなどはあまり気にしないのでもっと安いところでいい、そんな方向けのカジュアルな宿も釜山にはたくさんあるようですし、海外のドミトリーが不安な方、個室にこだわりたい方には日系ビジネスホテルの代表格、東横インも2軒あります。
ということで、渡航前に加入した海外旅行保険(約4000円)を含めても、釜山滞在の交通&宿泊費は3万円台で済みました! 帰りは清州で1泊。そして次は旅のメイン、映画祭のチケット購入です。

今年は例年以上に日本作品の出品が多く、人気俳優たちが釜山を訪問したトークの模様がレポートされていましたよね。会期前のチケット一般発売は9月9日の14時からスタートでした。取材参加の際はプレスチケット鑑賞の特権を与えられますが、今回は一般向けチケット発売日から購入にチャレンジです。筆者は映画祭で見たい作品の基準がありまして、映画祭開催国の最新映画で日本の劇場公開が決まっていない作品、日本では劇場公開されるかどうかはわからないが、海外の映画祭で高く評価された映画、そして日本映画という優先順位をつけていました。

会期前の前売りチケットは映画祭公式HPで販売されます。HPはハングルと英語の表記ですが、今はブラウザで(必ずしも正確ではないものの)日本語翻訳もできるので、ハングルが分からなくても見たい映画の上映日と時間さえわかれば購入できるはずです。前売りのオンラインチケットは10000ウォン(約1100円)と、何本も見れそうなうれしい価格でした。希望の作品の予約ができた時点でクレジットカードで支払い、現地での上映開始までに指定座席のチケットと引き換える必要があります。

ちなみに邦画では「国宝」を見るつもりでした。この日は監督や俳優の登壇もないので、チケットは取れるだろう……と高をくくっていたところ、発売日当日にアクセスが集中していたようで、なかなか購入画面に遷移しないのです。リロードを繰り返していた数十分のうちに、完売となっていました(泣)。ということで、日程の都合上残念ながら今回の日本作品のチケットは1本も購入できませんでしたが、日本映画の人気と注目度の高さを実感できたのがうれしいです。これから日本公開を控える「愚か者の身分」は、「Baka's Identity」という英題になっている驚きも、実際に映画祭HPを訪れたからこそ知ることができた発見です。


このようにチケット争奪戦を体験し、発売日のアクセス集中が解消されてから販売中の作品の中から、3日間で5作品のチケットをゲット。明日配信のレポート後半では、映画祭会場や上映の模様、現地の観光情報をお届けします。
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