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「グラン・ブルー 完全版」あらすじ・概要・評論まとめ ~まさに波乱の日々。映画「グラン・ブルー」にまつわる数奇な出来事~【おすすめの注目映画】

2025年8月28日 09:30

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「グラン・ブルー 完全版」
「グラン・ブルー 完全版」
(C)1988 GAUMONT

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!

本記事では、「グラン・ブルー 完全版」(2025年8月29日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。


画像2(C)1988 GAUMONT
【「グラン・ブルー 完全版」あらすじ・概要】

レオン」「フィフス・エレメント」のリュック・ベッソン監督の出世作で、素潜りの深度を競うフリーダイビングに情熱をささげる男たちの姿を描いた「グレート・ブルー」に、49分の未公開シーンを追加した完全版。

幼い頃に海辺で出会い、潜水の腕を競い合っていたジャックとエンゾ。成長したエンゾは、フリーダイビングの大会にジャックを誘う。勝負に燃える情熱的なエンゾと、イルカと心を通わせるように海に潜る孤高のジャック。2人は競い合いながらも、互いに影響を与え合っていく。一方で、ジャックは彼に思いを寄せる女性ジョアンナとひかれ合いながらも、海への憧れと人間世界との狭間で揺れ動く。そんなある日、ジャックは人間の限界に迫るような記録を打ち立てる。負けず嫌いなエンゾは、その記録を超えようとさらなる挑戦に身を投じていくが……。
「グラン・ブルー グレート・ブルー完全版」の邦題で1992年に日本公開された。2010年には、デジタル処理によってフィルムの傷や汚れを修復した「グラン・ブルー完全版 デジタル・レストア・バージョン」としてリバイバル公開。2025年には、4Kリマスター版の「グラン・ブルー 完全版 4K」として再上映される。

●まさに波乱の日々。映画「グラン・ブルー」にまつわる数奇な出来事(執筆:本田敬)
画像3(C)1988 GAUMONT

リュック・ベッソン3本目の長編にして、一躍その名を世界に広めた代表作。フリーダイビング競技に挑む男と、それを見守る女を描いたドラマで、日本では1988年に「グレート・ブルー」として上映、92年には36分長い本作が「グラン・ブルー グレート・ブルー完全版」として公開された。

すでに企画段階からベッソンはトラブルに見舞われていた。知人に紹介された俳優のウォーレン・ベイティに本作の構想を話したところ、プロデュースを買って出た彼は無断で20世紀フォックスに権利を売却、製作費の前払いとして50万ドルを受け取っていた。結局ベッソンはゴーモン社から50万ドルを前借りしフォックスから権利を買い戻したが、ベイティからは手付金として支払われた2万五千ドル以外は戻ってこなかった(実際はもう少し複雑だが結果は同じ)。

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本作のモデルであるジャック・マイヨール本人にも面会し契約を結び、雑誌を見て一目で気に入ったロザンナ・アークエットの起用も決まったが、肝心のマイヨール役の俳優が見つからない。ロケハンにも同行したクリストファー・ランバートには土壇場で断られ、メル・ギブソンミッキー・ロークなども候補に上がったが、使用言語がフランス語であることから見送られた。ベッソンは自分で演じることも考えたが(なお監督は競技会選手の1人としてカメオ出演)、最終オーディションでライフガード経験があり、仏語も堪能なジャン=マルク・バールと運命的な出会いを果たした。

撮影直前にジャン・レノが重圧から一時離脱したり、モニター無しの水中で上下のアングルが定まらず撮り直しが頻発(ベッソン作品は全てシネマスコープサイズ)、想定外の赤潮で撮影が中断するなど、トラブルは日々発生し予算は超過していった。さらに監督の第一子に重い心臓疾患が見つかり、その手術日程(計3回)とも重なった(ベッソン降板の場合、代役はジャン=ジャック・ベネックスだった)。

画像5(C)1988 GAUMONT

完成しカンヌ映画祭でお披露目となったが、メディアの評価は散々だった。だが一般公開が始まると、監督のファンと、その口コミに触発された若い観客(後に彼らは「グラン・ブルー世代」と呼ばれる)が劇場に詰めかけ、記録的な大ヒットとなった。だが問題はまだ続いた。マイヨールからの不当な追加ギャラ要求は序章に過ぎず(もちろん監督は却下、これにより2人の関係は崩れ、映画のイメージは生涯マイヨールを苦しめた)、もう1人のモデル、エンゾ・マイオルカからは上映の差し止め請求が入る。イタリア人の描き方が陳腐で、そもそも契約もしていない、というのが理由だった。この件は名誉毀損裁判にまで発展し、原告側が勝訴する。マイオルカは競技引退後、極右政党から立候補し国会議員になっていた。イタリアでの公開はいくつかのシーンを変更することで、製作から14年後の02年にようやく実現した。

後世に多大な影響を及ぼした本作、陸に上がらず海を選んだジャックの生き方は、当時のベッソンの夢そのものだ。その輝きは40年近く経った今も変わることなくスクリーンの中で生き続け、我々を魅了している。

参考資料
「ジャック・マイヨール、イルカと海へ還る」(講談社)
「潜る人: ジャック・マイヨールと大崎映晋」(文藝春秋)
「海の人々からの遺産」(翔泳社)
「恐るべき子ども リュック・ベッソン『グラン・ブルー』までの物語」(辰巳出版)
「フィルムメーカーズ 1 リュック・ベッソン」(キネマ旬報社)
「イルカと、海へ還る日」 (講談社)

執筆者紹介

本田敬 (ほんだ・けい)

映画.com外部スタッフ。映像宣伝会社エクラン代表。監督は成瀬巳喜男とドゥニ、ビルヌーブ、女優は高峰秀子とブリット・マーリングが好み。落語好きで古典も新作も好きな爆笑派。


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