人間国宝の狂言師・野村万作親子三代、犬童一心監督が「六つの顔」舞台挨拶に登壇
2025年7月25日 16:00

人間国宝の狂言師・野村万作を追った、犬童一心監督のドキュメンタリー映画「六つの顔」が、8月22日よりシネスイッチ銀座、テアトル新宿、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開される。公開に先立ち、7月24日に舞台挨拶付き完成披露試写会が早稲田大学大隈記念講堂大講堂で開催され、犬童監督、万作に加え、野村萬斎、野村裕基の親子三世代が登壇した。
650年以上にわたり、生きとし生ける者の喜怒哀楽を笑いとともに表現し、人々の心を魅了し続けてきた「狂言」。その第一人者であり、今なお現役で舞台に立ち続ける人間国宝の狂言師・野村万作は今年6月22日に94歳を迎えた。3歳で初舞台を踏んでから、長きにわたり狂言と向き合ってきた万作は、2023年に文化勲章を受章している。

映画「六つの顔」は、受章記念公演が行われた特別な1日に寄り添いながら、万作の過去と現在の姿を浮かび上がらせる。万作が公演で演じるのは、近年、ライフワークとして取り組み、磨き上げてきた夫婦愛を描く珠玉の狂言「川上」。映画では、物語の舞台である奈良の川上村・金剛寺の荘厳な原風景も贅沢に収録。万作が長年追求してきた世界観をその至芸とともにスクリーンに刻む。
犬童監督は、「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」など数々の名作を手掛け、近年は田中泯を追ったドキュメンタリー「名付けようのない踊り」でも高い評価を受けている。狂言に造詣の深い監督ならではの、大胆かつ繊細なアプローチで万作の人生と芸境に迫る。さらに、万作が語る“過去”と“現在”をアニメーションで繋ぐのは、「頭山」で米アカデミー賞にノミネートされた山村浩二。ナレーションを俳優のオダギリジョーが務めるなど日本映画界を代表する製作陣が集結した。

上映後にステージに登壇した万作は、母校での上映に「わたしの学生時代、しょっちゅうここに来ておりました。早稲田祭というところでお能や狂言が行われていました。そういう意味では非常に懐かしく、そしてこの場所で映画が上映されるということはとても嬉しいことです」と感激の思いを述べた。続く萬斎が「映画では、父の90年の足跡を監督に撮っていただきました。ご覧になった皆さま、いかがでしたか?」と尋ねると場内から大きな拍手が起こり、さらに裕基は「わたしは早稲田大学卒業ではなく、慶應を卒業した者ですが、慶應の講堂より早稲田の講堂に立たせていただくことの方が多いんです。この映画が、まさか全国津々浦々の劇場で上映されることになったというものも、その規模感がすごく驚きであるとともに、ありがたいことだなと思っております」と挨拶した。

犬童監督は、この映画を撮ることになった当時を振り返り「最初に思ったのは、しめたなということ。前から映画的に万作先生を撮りたいと思っていたし、能楽堂も撮ってみたかった。その両方を兼ねられるから、この話をいただけて、すごくしめたなと思った。なんといっても万作先生の映画を撮る仕事を頼まれた、ということがものすごい名誉。大事にやらなきゃいけないと思いました」と感慨深げに語った。

本作の製作は、万作自身の希望でもあったという。そんな父の思いを代弁するように萬斎は、「われわれは無形文化財です。隣にいる父は人間国宝ですから。父の代弁をするならば、おそらく自分の芸を形に残したいという想いはあったと思います」と語り、万作は映画の中にも丸々収められている演目「川上」に言及して、「UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で狂言のシンポジウムを行った際、野外で上演した『川上』でものすごい拍手をいただきました。ミラノでは、ある老夫婦が、舞台で手を取り合って立ち去る夫婦の姿を見て、自分たちも一緒になって手を取り合って帰っていったと通訳の方から聞いて嬉しいなあと思いました」と振り返ると、「私が好きなのは、静かな狂言。もちろんゲラゲラ笑うのも悪くはありませんけれども、それ以上に和というものがある、柔らかい狂言。柔らかい人と人との交流というものが、『川上』にもある。そのような狂言を少しでも色濃く演じていけていければなと思います」とその想いを述べた。
また、本作を撮るにあたり、「万作先生の狂言の考えとして、まず美しくなければいけないということをよくインタビューでおっしゃっているんです」と切り出した犬童監督は、「やはり万作先生は普段、座っていても立っていても、シルエットや佇まいがすごく綺麗。だから、本作はドキュメンタリーなんですけど、その佇まいやシルエットをとにかく綺麗に撮る。そうすることで万作先生が普段言ってらっしゃる狂言に、映画が近づけるんじゃないかと思いました」と明かすと、萬斎も「われわれは全身で表現しているという思いがあるので、そういう意味でもシルエットにこだわっていただいたというのは、本当にその通りだなと思いました」と深くうなずいた。

この後、人間国宝・野村万作を、息子と孫という関係でもある萬斎と裕基がどのように捉えているかについても語られ、大盛り上がりのトークショーの終盤、最後のコメントを求められた万作は「(映画が)当たるといいですね!」とひとこと呼びかけて、会場に集まった人々を華やかな笑顔に包み込んだ。
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