菊池日菜子、南果歩との再会に涙止まらず 「長崎 閃光の影で」東京プレミア上映で平和への思い語る
2025年7月23日 19:00

原爆投下直後の長崎を舞台に、被爆者救護にあたった若き看護学生の少女たちの“青春”を描く映画「長崎 閃光の影で」の東京プレミア上映会が7月22日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、本作で映画初主演を飾った菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、南果歩、松本准平監督が本作に込めた思いを語った。
本作は、原爆被爆者を救護した日本赤十字社の看護師たちが被爆から35年後にまとめた手記「閃光の影で 原爆被爆者救護赤十字看護婦の手記」をもとに脚本を執筆。脚色を加えて、3人の10代の少女たちを主人公に、“青春”を一瞬にして奪われ、残酷な現実にとってかわられながらも懸命に生き、命と向き合うことを諦めなかった看護学生の視点で、原爆投下当日から1カ月間の救護活動の日々を克明に描き出す。
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会空襲による休校のため、長崎に帰郷してきた看護学生のスミ(菊池)、アツ子(小野)、ミサヲ(川床)。1945年8月9日11時2分、長崎市に原爆が落とされたことで、家族や恋人と過ごす彼女たちの日常は一変する。地獄絵図と化した街で、救える命より葬る命の方が多くても、彼女たちは未熟ながら看護学生として、人として使命を全うしようとする。
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会菊池は「私たちが一生懸命1カ月、撮影期間を経て追い求めた1945年の長崎を、こうして東京の地で皆さんに観ていただけることを嬉しく思います」と感無量の面持ち。長崎県内の看護学生や市民約2000人を招待して行われたワールドプレミアのために長崎を訪れた際、被爆を経験した人々と交流したという菊池は、「想像を絶する苦しみや辛い出来事の数々を聞かせていただいた最後に、必ず皆さんが『頑張ってね!』と声をかけてくださったのが心に染み入るように残っています。その一言に皆さんの平和に対する願いを託してもらったような実感があったので、『頑張ってね!』に込められたエールを少しも薄めることなく平和に対する祈りや願いを強く持って生きていかなければという強い決意に繋がりました」と平和への想いを改めて誓った。
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会本作の主題歌「クスノキ 閃光の影で」のモチーフにもなっている長崎市・山王神社にある被爆クスノキを見学したという小野と川床は、「被爆してから2カ月で芽が生えたそうで、それは物凄いパワーで科学的にはありえないそうです。ありえないことを実現した木々の生命力を感じました」(小野)、「被爆クスノキの下にいるだけで守られているかのような感覚がありました。これまで長崎という地を見守ってくれたんだなと感じて、これからも見守り続けて欲しいと思いました」(川床)と、それぞれ実感を込めて語った。
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会スミと運命的な出会いをする南原令子役を担った南は、長崎に原爆が落ちる前日を描いた黒木和雄監督の「TOMORROW 明日」では看護師を演じたが、同作について「シナリオを読んで、演技をして、内容も知っているんだけれども、完成作を観た時に一瞬で奪われてしまった命を映画で体験した気がした。自分が出演しているのにしていないかのような状態で観れた初めての作品でした」と当時受けた衝撃を述懐する。
同作と同じ鍋島壽夫氏がプロデュースを手掛けた本作で、今度は原爆投下後の長崎と映画を通じて向き合ったが、「日菜子ちゃん、花梨ちゃん、明日香ちゃん3人の姿を見ていると、胸が締め付けられる思いになりました。3人の懸命に生きる姿はこの映画の中では希望としか言いようがない。私はこの3人の姿に何度も涙腺が崩壊しました。本作を通して長崎と再び出合えたのは運命的なものを感じますし、戦後80年目の夏にこそ観て欲しい作品です」と想いを込めて語った。
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会そんな南の言葉に菊池の涙腺が崩壊し、「私はいまだにこの作品から抜け出せていなくて、南さんを見ると令子さんと重なる部分があるんです。スミにとっても私自身にとっても令子さんは救いの存在だったので、今日来てくださったことを感謝します」と涙ながらに語った。これに南が「現場では戦時下に生きたスミという少女そのものだったので、今日、久々に日菜子ちゃんとお会いして『元気になったね!』と声をかけてしまったくらい。それくらい役に入られていました」と称賛すると、菊池は「はい!元気になりました!」と笑顔を見せた。
(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会最後は、長崎出身で被爆三世というバックボーンを持つ松本監督が、平和活動をする人から教えてもらった「原爆は広島人と長崎人の話ではない。日本に落とされた。日本人の話だ」という言葉を紹介。「日本人だからこそ発信できるものがあると思うので、今作品を観て響くものがあったら、それぞれの立場で平和への想いを広げて行ってもらえたら」と真摯にメッセージを送った。
映画は、7月25日から長崎先行公開、8月1日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
(C)2025「長崎 閃光の影で」製作委員会
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