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「顔を捨てた男」あらすじ・概要・評論まとめ ~外見と内面をめぐるシュールな問いかけが我々の意識に揺さぶりをかける~【おすすめの注目映画】

2025年7月10日 08:30

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「顔を捨てた男」
「顔を捨てた男」
(C)2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!

本記事では、「顔を捨てた男」(2025年7月11日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。


画像2(C)2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
【「顔を捨てた男」あらすじ・概要】

サンダーボルツ*」「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」のセバスチャン・スタンが主演を務めた不条理スリラー。

顔に特異な形態的特徴を持ちながら俳優を目指すエドワードは、劇作家を目指す隣人イングリッドにひかれながらも、自分の気持ちを閉じ込めて生きていた。ある日、彼は外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。過去を捨て、別人として順風満帆な人生を歩みだすエドワードだったが、かつての自分の顔にそっくりな男オズワルドが現れたことで、運命の歯車が狂いはじめる。

容姿が変わっていく主人公エドワードの複雑な心情をセバスチャン・スタンが特殊メイクを施して熱演し、2024年・第74回ベルリン国際映画祭で最優秀主演俳優賞(銀熊賞)、2025年・第82回ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で最優秀主演男優賞を受賞。「わたしは最悪。」のレナーテ・レインスベがイングリッド、「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」のアダム・ピアソンがオズワルドを演じた。外見やアイデンティティをテーマにした作品を手がけてきたアーロン・シンバーグが監督・脚本を手がけ、全編16ミリフィルムでの撮影による独創的な世界観を作り上げた。


【「顔を捨てた男」評論】
●外見と内面をめぐるシュールな問いかけが我々の意識に揺さぶりをかける(執筆:牛津厚信)
画像3(C)2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

今さら言うまでもないが、A24の映画はいつも観客の凝り固まった価値観を巧妙に揺さぶる。本作もこれに同じ。無二の視点とユニークな語り口を持ち、「外見とは?」「アイデンティティとは?」という直球なテーマを我々に投げかけ、体の芯を稲妻で貫く。2時間足らずの映像体験によって意識が変容するのを何よりも期待する人にとって、まさに打ってつけの一作と言えるだろう。

主演のセバスチャン・スタンといえば、片腕を失ったマーベルヒーローといい、どこぞの偉大な大統領の若かりし頃といい、”外見の変貌”を伴う役柄が多いように思えるのは私だけか。今回演じるは、顔に大きな変形があるエドワード。ニューヨークで行き交う人々の視線から目を伏せつつ、やや内向的な性格を抱えて生きる人物である。

画像4(C)2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

そんな彼は、隣室に越してきた劇作家志望のイングリッド(レナーテ・レインスヴェ)に惹かれ、それと同時期、とある治験によって自身の顔が変化を遂げるのを実感する。生々しく崩れ落ちた肌の底からは全く新しい自分の姿が。いつしか過去と決別し、ガイという別名で意欲的に生き始めるのだが、しかしある日、イングリッドとの再会によって、昔の自分へと引き戻され始め・・・。

あらかじめ言っておくと、これは「美女と野獣」的なストーリーではない。むしろここから劇作家になったイングリッドの戯曲「エドワード」を用いた劇中劇的な展開があり、さらにはかつての自分そっくりの外見を持つオズワルド(アダム・ピアソン)が目の前に現れることで更なる価値観の揺さぶりが起こる。そう、事態は刻々とチャーリー・カウフマン的なポストモダン&メタ的な流れへ突き進み、「あるべき自分とは何か」を様々なレベルで問う実験劇場と化していくのだ。

また、この映画におけるピアソン(実際に顔の変形を抱えた俳優でもある)のエンターテイナーぶりは格別で、彼の登場によって作品の第三幕が鳥のように颯爽と羽ばたき出すと言っても過言ではない。それに序盤のスタンが特殊メイク用いて表現した症状を、ピアソンは偽らざる生身で演じているという点も、観客に「どう演じるか」を巡って様々な問題意識を投げかける。

画像5(C)2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

恐らく10人いれば10人、感じることは違うはず。それでもなお「外見や内面」をめぐるひとつの意識が刻まれ、その波紋が自分の中で時間をかけて広がっていく。まずは体験してみるに越したことはない。そんな稀有な作品だ。

執筆者紹介

牛津厚信 (うしづ・あつのぶ)

X(Twitter)

映画ライター。77年長崎生まれ。明治大学を卒業後、某映画専門放送局の勤務を経てフリーに転身。クリエイティブ・マガジン「EYESCREAM」や「パーフェクトムービーガイド」などでレビュー執筆やインタビュー記事を手掛ける。またイギリス文化をこよなく愛し、その背後にある歴史や精神性を読み解くことをライフワークとしている。

Twitter:@tweeting_cows/Website:http://cows.air-nifty.com/


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