妻夫木聡&広瀬すず&大友啓史監督、那覇中学校をサプライズ訪問 生徒32人と“沖縄の平和と未来”について語り尽くす
2025年6月9日 12:30

大友啓史監督(「るろうに剣心」シリーズ、「レジェンド&バタフライ」)がメガホンをとった映画「宝島」の特別交流会が6月8日、那覇市立那覇中学校で行われ、大友監督のほか、妻夫木聡、広瀬すずが出席した。
原作は、戦後沖縄を舞台に、史実に記されない真実を描き切った真藤順丈氏による同名小説。妻夫木、広瀬のほか、窪田正孝、永山瑛太らが共演し、アメリカ統治下の沖縄を舞台に、混沌とした時代を全力で駆け抜けた若者たちの姿を圧倒的熱量と壮大なスケールで描き出す。

“宝島宣伝アンバサダー”として全国行脚することを宣言している主演の妻夫木。前日7日には、那覇市の劇場・シネマQで行われた沖縄プレミア試写会舞台挨拶に、広瀬&大友監督とともに登壇し、沖縄への愛と本作に懸ける想いを語っていた。そして8日には、一同が那覇市立那覇中学校を訪問。“沖縄の平和と未来”をテーマに、32人の生徒たち(中学2年生17人、中学3年生15人)と熱いトークを交わし、子どもたちの素直な言葉に、勇気をもらう時間となった。
テレビの取材と聞いて集まった子どもたちだったが、MCの呼び込みで妻夫木たちがサプライズで登壇すると、驚きを隠せず、思わず声を上げる。子どもたちと話すことを楽しみにしていた大友監督、妻夫木、広瀬も、生徒たちを前に笑顔を見せながら登壇していた。
MCの「映画見た人、手をあげてください」という問いかけに、昨日のプレミア試写に招待された約20人が挙手。さらに「映画が面白かった人は?」という問いには、鑑賞した生徒全員が力強く手を上げる。その光景を見た妻夫木らは嬉しそうな表情で互いに顔を見合わせた。そんな中、妻夫木は「今日サプライズってことすっかり忘れてて、昨日のプレミア会場で名刺を渡した際に那覇中の子どもだとわかったから、『明日ねー』と言ってしまった」と冒頭からお詫びし、場を和ませた。


さらにMCから「アメリカ統治下、戦果アギヤーなどについて聞いたことがある人」という質問も。子どもたちは、両親や祖父母から聞いていたアメリカ統治下への思い、映画を見るまで知らなかった戦果アギヤーという存在について語るだけでなく、“話だけでしか聞いていなかった”歴史的事実が映画になることで“極限状態の中でそうせざるを得なかった理不尽な思いや感情まで受け取れた”“ただの事件ではなく日本にとっても大きな事件である”ことを認識したそう。
今の恵まれた立場から“知ること”の大切さや、“伝えること”の重要さについて語る子どもたち。妻夫木らは尊敬と驚きの眼差しで、子どもたちが堂々と答える姿をあたかかい目で見つめていた。
やがて、妻夫木は子どもたちに「知らない時代を描いた作品だが、時代の変化をどう感じましたか? 自分達の未来がどうあるべきか?」という質問を投げかけた。
それに対して、生徒から「自分達は生まれた時から当たり前に米軍基地があって、映画の中では当たり前ではなく、米軍に反発していたことを知り、戦争の憎しみとか悲しみが風化しつつあることを知り、これからの未来を作る若い世代がこういうことを知り、映画を見て実際にどんなことがあったかを知り、これからどうするべきかを考えることが大事だと思う」という回答。また東京から移住してきたという生徒は「引っ越してきて沖縄の人たちの熱い思いに触れていたが、その理由がこういう背景があったからだと知ることができ、こういう先人たちの大切な想いをどうやって次につないでいくかも考えていかなければいけない」と、しっかりと思いを語っていた。

妻夫木は、「映画に出てきた人と私たちを比べると、どちらが幸せか?」と少し難しい質問を問いかける。しかし、積極的に手があがり「今の時代の方がもちろん資源も豊かで幸せだと思うが、過去にあった大切な思いを残していくことも大切」「大変な状況ではあったと思うが、アメリカに負けないという一致団結する強い気持ちを持った当時の熱い思いを考えると、単純にどっちが幸せなのか? 簡単には判断できない」など、さまざまな意見が飛び出した。
それを受けて妻夫木は「基地があるから生きていけた人もいる。ただの憎しみだけじゃないと思う」と、当時のことを取材した経験を語る。「実際当時を知る人は、怒りだけじゃなかったと言っていた。アメリカに対して怒りを持った人もいたけど、アメリカがいるからこそ生きれた人もいたと思う、幸せの価値観はとても難しい。何が正義なのかわからない時代なので、私たちは先人たちの思いを胸に生きていかなければならない。過去に戦った人がいたからこそ、今がある。そういう思いが届いていたら嬉しいなと思って、あえて難しい質問させてもらった」と質問の意図を明かしていた。

また、生徒たちから登壇した3人への質問タイムも。大友監督には「沖縄の忘れてはいけない大切な物語はなんだと思いますか?」という質問が投げかけられ、「ちゅらさん」から長く沖縄のことを考えてきた話や、ひとりひとり価値観が違うことを話した後、「映画としてメッセージを押し付けるようなことはしたくないと思った。『宝の島』の、この宝は何なのか?ということを皆さんの言葉で考えてもらいたいと思って作った」「この時代の人たちが、何を大切にしてきたのかを知ることは、何か参考になると思ったし、考えるきっかけになったら良いと思った。一人一人の宝が何なのか?を考えるきっかけになったら良いな」など、「宝島」製作への思いへと結びつけた。
広瀬には「演技力について。どうやってそこまで入り込める演技ができるのか?」という質問があがった。
広瀬は「こんな大先輩の前で語ることは難しい」と恥ずかしそうに妻夫木を見ながらも、「役を演じるにあたり知らなかったことが多く、これが受け継がれていくために、映画というコンテンツを使って伝えていきたいと思いながら演じた。そして、また、その中で自分の中で生まれたものを大切に演じた」と真摯に答えた。
続いて「さまざまな方言が出てきますが、難しかった言葉、残したいなと思った言葉は?」という質問に対して、妻夫木は、感情を入れていくとアクセントが変わってしまうことがある難しさを語りつつ、一番心に響いたセリフとして「打ち返したら戦争じゃあらに」(永山瑛太が演じたオンのセリフ)をあげる。

あっという間に時間が過ぎ、締めの挨拶の時間へ――。広瀬は「皆さんの素敵な言葉とまっすぐな目で見た作品の感想や、疑問を生の声で聞けたことに、今までの苦労が報われた」とお礼の気持ちを伝えた。続いて妻夫木は、「地元の子どもたちと議論できるのがすごく楽しいし、素直な気持ちに触れて本当に嬉しかった。過去を描くことが未来への問いかけになる、と思って作ってきた。そして死は終わりではなく、先人たちの想いは胸に刻まれている。僕たちはその想いを受けて精一杯生きていかなくてはいけないし、これからどう生きるべきなのか、お互いに手と手を取り合って考えていくきっかけになるような映画になったら嬉しい」と、熱い想いを改めて伝えていた。
最後に大友監督はこんな言葉を投げかけた。
参加した生徒全員と並んで記念撮影をし特別交流会は終了――と思われたが、さらにサプライズが用意されており、“宣伝アンバサダー”妻夫木による名刺配布会を急遽実施。名刺を渡し握手を交わすなどして、さらに子どもたちからエネルギーを受け取った様子の妻夫木。生徒たちとハグも交わすなど最後まで名残惜しそうに、熱い交流を行っていた。
「宝島」は、9月19日から全国公開。
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