日本巡回にも期待したい! 世界初、ウェス・アンダーソン展がパリで開幕【パリ発コラム】
2025年3月27日 19:00

パリのシネマテーク(映画博物館)で、3月からウェス・アンダーソン展が開催になった。彼がキュレーションを務める展覧会などはこれまでにもあったものの、彼自身のキャリアを包括する展覧会は、意外にもこれが世界初である。
本展は7月27日までで、その後11月14日から2026年の7月26日までロンドンのザ・デザイン・ミュージアムで開催される予定で、両館のコラボレーションによるもの。ただし美術館の広さや設計が異なるため、まったく同じ内容ではないという。

今回の展示は初長編の「アンソニーのハッピー・モーテル」(1996)から最新作の「アステロイド・シティ」(2023)まで、11本の長編と短編作品を網羅し、各作品で使用されたコスチューム、小道具はもとより、アンダーソンが書き記したノート(全部本人が保管しているものとか)、素描、ストーリーボードなど詳細な資料も展示されている。さすがはアンダーソン、とにかく律儀で細かい彼のこだわりが伝わってくる。
さらにキュレーションを担当したシネマテークのマチュー・オルレアン氏によれば、デビューから年代順に展示しつつも、たとえば「旅」というテーマで「ダージリン急行」(2007)と「ムーンライズ・キングダム」(2012)を対比させたり、「ストップモーション・アニメ」という括りで「ファンタスティック Mr.Fox」(2009)と「犬ヶ島」(2018)を比べられるような会場設計を心がけたそうだ。

とくに本展でぜったいに見逃せないのが、VR短編ビデオ。これは「犬ヶ島」制作時における、ストップモーション・アニメや舞台美術の制作プロセスなどの舞台裏を紹介するもので、目の前に迫ってくる犬たちが語りかけてくるのを聞きながら、ぐるぐる頭を回転させるとスタッフたちのさまざまな制作風景が早回しで展開しているという仕掛けで、楽しい。ユニークなウェス・ワールドの片鱗を体験できる。

また展覧会と同時に、彼の全作品のレトロスペクティブが開催される他、アンダーソンをはじめ撮影監督のロバート・D・イェーマン、作曲家のアレクサンドル・デスプラらのマスタークラスも順次開催。さらにブティックでは関連グッズが多数販売され、シネマテークがカラフルなウェス色に染まっている。ロンドンに巡回した後は、詳細はまだ未定ながら世界各地を回る意向があるそうで、いつか日本でも観られる日が来るかもしれない。詳細はシネマテークの公式サイト(https://www.cinematheque.fr/)にて。
フォトギャラリー
関連ニュース





「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」あらすじ・概要・評論まとめ ~無駄を優雅に、エレガントに、ゴージャスに作り込む美学の粋~【おすすめの注目映画】
2025年9月18日 08:30

映画.com注目特集をチェック

ファンファーレ!ふたつの音
【本作、良い映画ではないです。最高に良い映画です】“ほっこり系”と油断してた…感情が持ってかれた
提供:松竹

宝島
【超異例の「宝島」現象】こんなにも早く、心の底から“観てほしい”と感じた映画は初めてかもしれない。
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

これ観てない人、マジもったいない!!
【夏に観逃したという人へ…】まだ間に合う!むしろ今こそ映画館へ【知れば絶対に観たくなる7の事実】
提供:東宝東和

4歳の息子が誘拐された。
【しかし、誘拐犯が死体で見つかった】警察は息子に疑いを向ける…衝撃の極限ヒューマンサスペンス
提供:東映

これ絶対に観ると決めてます
【個人的・下半期で観たい映画No.1】なんだこれ!?!? ディカプリオが異常者に追われます…
提供:ワーナー・ブラザース映画