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「劇場版モノノ怪 火鼠」堀内賢雄×チョー×堀川りょうが作品の魅力を語る鼎談が到着

2025年3月22日 09:00

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同世代の3人によるスペシャル鼎談が到着
同世代の3人によるスペシャル鼎談が到着
(C) ツインエンジン

公開中の劇場アニメ「劇場版モノノ怪 第二章 火鼠」で男性キャラクターを演じる堀内賢雄チョー堀川りょうによるスペシャル鼎談が到着した。

堀内はボタンの父であり幕府の実権を握る老中大友役、チョーは元町民ながら娘のフキが天子に気に入られたことから武士となった時田良路役、堀川は幕府と大奥の調整を担う老中の藤巻役を担当。同世代でもある3人の話は弾み、「ただの悪役にはしたくなかった」(堀内)、「あなたがこの作品の解説者になってください」(チョー)、「自分を信じてやり続けるしかない」(堀川)など、同作の魅力や演じ手と考えたことが、たっぷりと語られている。

3人の公式インタビューは以下の通り。作品内容に深く触れられているため、鑑賞後に読むことをお勧めする。

老中大友(CV:堀内賢雄)
老中大友(CV:堀内賢雄)
(C) ツインエンジン
──「モノノ怪」シリーズに初出演の皆さんですが、「モノノ怪」という作品や演じた役についてどう感じられましたか?
堀川:僕らの世代は「妖(あやかし)」というと、「妖怪大戦争」や「東海道お化け道中」といった作品が思い浮かびますが、「モノノ怪」はカラフルでおしゃれですね。シーンの切り替わりに襖がパンと開け閉めするのもかっこいい。これは時代劇でもありますが、時代劇ってセリフ回しや所作が大事なので、久しぶりに演じられて楽しいなと思いました。
堀内:りょうは子役のときから時代劇もやってるんだよね。そこから数えると大ベテラン。
堀川:だから今回、時代劇っぽい言い回しに変えさせてもらったんですよ。
チョー:そうだったんだ!?
堀内:この3人だと、アフレコはりょう、僕、チョーさんの順に録ったんですよ。僕のアフレコのときにりょうのお芝居を聞いたんだけど、台本とセリフが少し違っていたから驚いた。
堀川:たとえば、天子の正室である御台所を老中が「御台所」「御台」なんて呼び捨てにするのはありえない。そんなことしたら切腹もの(笑)。なので「御台所様」「御台様」と変えさせてもらいました。僕が演じた藤巻は、何人かいる老中のひとり。大友が筆頭老中だとしたら、その次ぐらいの位ですよね。物語の中では、運命に翻弄されている人。訳がわからずウロウロしているうちに、最後は漁夫の利を得る。けれど結局はまた潰されてしまうんだろうなという気もしましたね。
チョー:僕は「モノノ怪」というタイトルを聞いて、「ゲゲゲの鬼太郎」みたいな妖怪ものなのかなと思ったんですが、台本を読んで、「ああ時代劇なんだな」と思いました。僕が演じた時田良路は悪役ではないんです。現場に行って、音響監督の長崎行男さんから「本当に普通のお父さんです」と言われたので、ごく普通の父親として演じさせていただきました。僕が収録したときは、りょうさん、賢雄さんの声が聞けたので、存在感のあるお二人の声を聞きながら、「うわー!すっげぇー!」と思いつつアフレコしましたね(笑)
堀内:僕は、「モノノ怪」のテレビシリーズを見たことがあったので、劇場版のオファーをいただいたときは驚きました。今回は誰がモノノ怪になるのかなと思いつつ台本を読みました。僕が演じる老中の大友は、大奥を牛耳っている人物。しかも思っていることを言葉にせず周りを動かしていくんですよね。彼の狡猾(こうかつ)さはしきたりを重んじ、大奥がちゃんと機能するためのもの。正義と思ってやっているので、いかにも悪人のようにしないほうがいいのかなと思い、少しコミカルなニュアンスも入れて演じてみました。冒頭から出てくるので、見る人に「この人が悪の権化だろう」といきなり思われてしまうと面白くない。悪とユーモアの中間ぐらいを目指しました。
チョー:いやいや、大友はどう見ても悪でしたよ!(笑) それに藤巻も悪い人なのかなってちょっと思ってました。
堀内:俺も、俺も。藤巻は悪いんじゃないかなーって思ってた。
堀川:僕は悪人じゃないでしょう! 運命に翻弄されつつ、あっちにフラフラ、こっちにフラフラしているだけなんだから。
チョー:このお二人に比べたら、僕はただの気弱なおじさんですよ(笑)
時田良路(CV:チョー)
時田良路(CV:チョー)
(C) ツインエンジン
──おっしゃる通り、人物の立場によって見え方が変わってくるのが大奥という場所ですが、本作のストーリーをどうご覧になりましたか?
堀川:正室との間に男の子がないので、側室が産んだ子が次の天子様になるという、時代劇によくある世襲争いの話ではありますが、「劇場版モノノ怪」ならではの絵と雰囲気で表現すると違う魅力が出てくるなと感じました。実写と比べるとすごくファンタジーに見えますよね。おどろおどろしさを感じない、魅力的な大奥の物語だと思いました。
堀内:それぞれの人物に思惑があって、一人ずつの思いをひも解いていくと、ちょっとわかるな、なんて思うわけです。忖度(そんたく)しなければ今の生活を維持できないなら、忖度するのも仕方ないよなって。一方で、「四谷怪談」などで育っている自分としては、このタッチで時代劇をやると、新たな怪談になるんだな、これはホラーだなとも感じていましたね。
チョー:僕は1回ではわからなくて、全部で3回観たんですよ。最初は、あれよあれよで終わった。後半なんてすごいテンポだし、原色が次から次へとやってくるので、目がショボショボしちゃって(笑)
堀内:おじさんだからね(笑)
チョー:音もすっごく面白い。女性の叫び声に和楽器を重ねたり、音の使い方もすごくよくて。それに翻弄されちゃって、観終わった後は「何だったんだ」と呆然となりました。ストーリーはもちろんわかります。けど1回だけじゃ細かい部分がわからなくて、2回、3回と観るとわかることがありましたから。冒頭のシーンで将棋を打っているのは、大友と藤巻ではなく……。
堀内:あそこで大友の相手をしているのは、歌山ですね。
チョー:そうでした。歌山と打っていて、大友が「詰みだ」って言う。
堀内:そう。歌山に向かって、「お前はもう終わりだ」って言ってるんですよね。僕も3回観たからわかった(笑)。
チョー:1回目は、これは大友が勝つんだなと思ったんだけど、3回も観たら混乱してしまった(笑)。
堀内:観れば観るほど細かい部分が気になってくるからね。
チョー:これって原作のないオリジナル作品なんですよね。中村健治総監督の頭の中はいったいどうなっているんだろうと驚愕しました。
藤巻(CV:堀川りょう)
藤巻(CV:堀川りょう)
(C) ツインエンジン
──演じたキャラクターの胸中も感じられましたか?
堀川:藤巻は、権力に言われるがままの人。こうでしょと言われたら、「さようでございます」としか返さないんですよね。最初からずっとそんな感じだったけれど、ラストで「あれ? 変わったな」と思いました。任命権を持って、権力のそばではなく、もはや権力の中枢になっている。その過程は描かれていないので詳細はわからないですが、時代劇の定説からすると、藤巻もいずれは潰されるのかもしれません。
堀内:でもそれってすごい技術を持ってるってことだよね。
堀川:普段の堀川りょうみたいなことかな。相手の顔を見て右往左往して、「はいっ!」って(笑)。己を見る思いでしたね。
チョー:僕も藤巻はすごいと思う。忖度を考えながらも、今の自分はどうしたらいいか、最適な道を選ぶわけだから。しっかりとノウハウを持ってるすごい官僚だと思いますね。時田は本当に庶民なんです。娘のフキが天子様に気に入られて、そのおかげで成り上がっただけの家ですから。今の自分の立場にもまだ戸惑っていますよね。大友の将棋の相手をしているのも、言われるがままにやっているだけ。
堀内:大友は小狡(ずる)いですよね。自分で動くこともできるのに、動かない。殺せとも言わず、勝手に動くように仕向ける人。ただ彼の心の奥底にあるのは、大奥の歴史を守っていかなきゃいけないという思い。そういう思いを抱く人はどの世界にもいますよね。最後に大友が死んでいくとき、弱い彼の本音が出ている。「俺だって」みたいな気持ちもわかるし、自分がもし大友の立場だったら同じようにしていたかもしれない。だからただの悪役にはしたくありませんでした。
チョー:「劇場版モノノ怪」って次の第三章もあるんですよね。藤巻と良路はまた出るのかなぁ。
堀内:大友はさすがに死んじゃったから。もし次も出たらそれこそモノノ怪になっちゃう(笑)
チョー:僕は最初、大友がモノノ怪だと思っていました。この人の顔って何かに取り憑かれているのかなと思ったから。
堀内:この作品は女性陣もいいんです。僕はおスズ(西条スズ)が出てくるとすぐ泣きそうになっちゃうんですよ。切なさ、悔しさ、いろんな思いを感じた。許せなかったときの顔と声もよかったですね。特におフキとオーバーラップする場面は心情を感じて、泣きました。
チョー:おスズは大友のことが許せないのかと思ってたけど、自分のことが許せないっていうね。そうだよな、そこだよなって思った。
堀内:おフキの口だけ動いているカットがあって、何を言ったんだろうと思っていたけど、完成した作品を観たら、ああそういうことかと。最後まですごい作品です。
──実力のあるキャストさんたちによる競演も見どころです。みなさんがお仕事をしていてやりがいを感じる瞬間を教えてください。
堀川:僕は、作品を観た方から「よかったよ」って言われることが一番ですね。仕事をしていて大変なことってあまりないけど、仮に、ちょっと勘弁してくれよと思うときがあったとしても、最後に「あれよかったよ」って言われたら、単純だけどまだ続けようかなって思うでしょうから。あとはもう、自分を信じてやり続けるしかないとも思う。どんな評価を受けるかは最後までわからないし、そこを期待しても仕方ない。終わったら逃げるんじゃなく、堂々と責任を取る。役者をはじめいろんな部署の方たちが力を合わせて作るものだけに、登り口は違うけれどいいものを作ろうと気持ちをひとつにしているんだということは、これからも忘れずにいたいですよね。
堀内:僕は映画って監督のものだと思っているんですが、「この役を頼みますよ」と言われるとやっぱり怖さはあります。自分なりにやってみても、「全然違うよ」と言われることはいっぱいある。そう言われたら、今度は違う引き出しを使ってやってみる。それでOKをもらうとすごく嬉しいですよね。けっこう長くやってきたけれど、開けられる引き出しがちょっとは増えたかなと思える。キャリアがあれば上手いってわけでもないし、口も回らなくなってきているけど、それでも出したものがいい味わいになっていたらいいなと思います。若いときは、自分がこうだと思って持っていったものにNGを出されると、代替案が出せなかったんですよね。ハンドルの遊びのように、余白を持って臨むとなんとかできるんだなと思うようになりました。昔はセリフにも自信がなくて、ふわっと出していたんです。けどそれだと人を説得できないなと思ってからは、自信を持ってやるようにしています。こういった考えも、経験を積んできたから言えることですけどね。
チョー:僕もりょうさん、賢雄さんと同じ考えです。僕は自己中心的な所が強いのでつい自分が思うようにやってしまうんです。別のパターンも考えてはいるけれど、なかなかその場ですぐに変えられないこともよくあります。でも最終的にやってよかったなって思うのは、りょうさんが言った通り、他の人に「よかったよ」って言われることが一番かな。演じているときは自分しか頼れるものがないし、監督にOKと言われてもまだ自信がない。それが作品となった時に第三者が見て「あの作品よかったです」って言われたら、参加してよかったなぁと思います。お客さんと監督を頼りにしていますよ。
──素敵なお話をありがとうございました。最後に、本作をこれから観ようと思っている方、一度観たけどまた行こうかなと思っている方たちにメッセージをお願いします。
堀川:1回よりは2回、2回よりは3回、5回とリピートしていただくのがいい作品だと思います。というのも、今話していたように1回、2回では気づかない部分がたくさんあるんです。僕は映画を気に入ると2、3回は観るんですよ。数年後にテレビなどでまた観たときに、新たな発見をするのも楽しい。新たな発見ってのは絶対に面白いので、この映画も5回、10回とご覧いただけたら幸いです。
チョー:ぜひあなたがこの作品の解説者になってください! 「僕はこの作品のこういうところがいいと思うんだよね」って語れるところを見つけてください。そのぐらい何度も観ていただけると嬉しいです。
堀内:初回は衝撃がすごいと思います。こんな映像があるのかって思うでしょうし、何回か観たらもっと映像の奥深さに気づける。できあがったものを観て思ったのは、役者さんたちもみんなすごい。それぞれが自分のキャラクターの思いまでしっかりと演じています。音楽も含め、トータルですごい作品。観ないとダメだと思いますよ(笑)

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