たったひとりで1年半かけて製作した長編アニメ「無名の人生」メインキャスト10人が決定【予告編あり】
2025年3月19日 22:30

コロナ禍を機に独学で制作した短編アニメーション「MAHOROBA」が、ぴあフィルムフェスティバルで審査員特別賞を受賞した鈴木竜也監督が、たったひとりで1年半を費やし描き上げた長編デビュー作「無名の人生」のメインキャスト10人が発表された。
主演のラッパー・ACE COOLに続き、今回出演が明らかになったのは、田中偉登、宇野祥平、猫背椿、鄭玲美、鎌滝恵利、西野諒太郎、中島歩、毎熊克哉、大橋未歩、津田寛治の10人。実力派俳優からフリーアナウンサー、お笑い人など、世代もフィールドも異なるキャスト陣は、そのほとんどが声優未経験ながら監督の孤高の作品づくりと唯一無⼆の作風に共鳴し、出演を決めた。
「MAHOROBA」ではブラック企業に勤める男が逃亡を図る物語、続く「無法の愛」でははみ出し者の男⼥の関係を軸に、現実社会で起きた無差別刺傷事件にも焦点を当てるなど、一貫して“不条理な世の中に生きる者たちの生き様”をシニカルな描写で描いてきた鈴木監督。「無名の人」は、仙台に暮らすいじめられっ子の孤独な少年が、⽗親の背中を追ってアイドルを⽬指すところから始まる物語。
予告編はコンクリート管の中にうずくまる主人公の姿から始まる。周囲になじめず、クラスメートから「あいつはみんなと違うんだ。しゃべらないし、動かないし、マジキモイよな」と蔑まれる様子が見てとれる。そんな主人公がテレビで見たアイドルの姿に「かっけー」と感銘を受け、アイドルになることを決意。晴れて6人グループでデビューすることが決定し、「俺はさ、たくさんの人を笑顔にできるようなアイドルになりたい」と語り、夢に向かって邁進し始めたように見えたが、一転、マイクで誰かを殴打し「くだらねぇ」と吐き捨てる不穏な場面も。そして、画面には「死ぬほど、生きろ。」というコピーが。そして「アイアンマン」を想起させるアーマーに身を包んだ人物や、本能寺の織田信長と思しき武将も登場する自由自在なアニメーションとなっている。
本作は、生まれてから死ぬまでに蔑称や源氏名などいくつもの呼称で呼ばれた主人公の波乱に満ちた100年の生涯を、高齢ドライバーの事件や芸能界の闇、若年層の不慮の死、戦争など、今まさに世界が直面する数々の社会問題を背景に全10章で描く。なお、脚本をあえて準備せず、章ごとにタッチや色彩も変化させ、観る者を飽きさせないアニメーションとなっている。
「無名の人生」は、5月16日から新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
兼光⾦太郎役を担当しました、⽥中偉登です。この作品は鈴⽊監督が⽉⽇をかけ1⼈で1枚ずつ書き上げた作品と聞き、その情熱と今までのアニメーションとはまた違った新しい世界があるのではという期待の中で製作されていました。そんな中、キンちゃんという主⼈公にとってもとても⼤切な役どころを任せていただき、監督たちの情熱をしっかり伝えられるようにと声優初挑戦ながらに⼀⽣懸命挑みました︕ ACEさんの真っ直ぐで静の中に⼒強さを感じる声を頼りに、画⾯の中に映るキンちゃんと向き合いました︕ 観る⽅によって受け取る想いが無限にあるような作品ですので、何度も何度も⾒て考えて⾃分の答えを⾒つけてみてください。
鈴⽊⻯也監督はとても柔らかい印象を受ける⼈ですが、この「無名の⼈⽣」は溜まっていたものが⼀気に湧き上がってきたような挑戦的で⼀筋縄ではいかない映画です。ぜひ劇場で観てもらえたら幸いです。
作品製作のすべてをほぼおひとりでやり遂げられた監督の偏執狂的とも思える熱意と、終盤に向けてとんでもない場所へと連れ去られる快感︕ 圧巻のエンドロールが終わったとき、⼼から「…お疲れさまでしたっ︕」と呟いていました…。仙台(監督のご実家で今作品の製作場所)から⾶び出した問題作、劇場で観ることを楽しみにしています♡
⾊々とうまくいかなかった時期に、すこし不貞腐れながら録ったボイスメモが、こんな⼤きな作品に参加させてもらえるきっかけになるとは、 、 、⼈⽣わからないものです。ふとした瞬間に感じる⾝寄りのない不安や遣りきれない憤りが、親しみのある絵と独創的な展開によって昇華されていき、エンドロールが流れる頃には、誰からも押されたことのない⽅向から背中を押された感覚でした。是⾮、出逢っていただけたら嬉しいです。どこまでも届きますように、
私は鈴⽊⻯也さんの作品が⼤好きでした。今まで作られたどの作品も、好きで仕⽅なく、これからもファンであり続けるだろうと思います。現場は短い時間でしたが声の演出も的確に、丁寧にしてくださり、何より物語や画に滲み出る監督の⼈間性が、⼼地よく信頼できました。⼈⽣で「無名の⼈⽣」に関われたこと、とても誇りに思います。⾒た事ない、が詰まったアニメーションでした。皆さんお楽しみ下さい。
僕が普段関わっている映画はいろんな⼈がいろんなこと⾔いながら作っていますが、今作は鈴⽊⻯也さんが⼀⼈で作り上げました。なんなんだこれは。この⼈は⼤丈夫なのか。そんな想いから微⼒ながら参加させていただきました。⼀⼈で作らなければ成し得ない奇抜な領域に突⼊しています。映画館ではきっと⼀⼈の⼈間の頭の中を覗くような体験になるのではないでしょうか。ぜひ劇場にお越しください。
台本と共にアテレコ前の無⾳のアニメーションが送られてきました。独特のタッチと世界観で、 この作品はいったい何を伝えようとしているのか...と興味を持ち参加させていただきました。どこかものかなしく尖った作品になっていて、インディペンデントでなければ挑めない内容かもしれません。ぜひ鈴⽊⻯也ワールドをご堪能ください。
台本を読んだ時、最後のセリフがとても好きだったので、是⾮出演したいと思いました。その後鈴⽊監督は、ご⾃⾝にもとても好きな男性アイドルがいたとお話ししてくださり、⼤切な⼈への愛に私も触れることが出来ればと。それと同時に「情報」ではなくて「⼈間の⼼の傷」を、さくらを通して体に刻みたいと思いました。グロテスクな現実を⽣きる中で、この作品が、皆様の⼀縷の光になることを願っています。
鈴⽊監督に「今まで⽣み出したキャラクターの中で⼀番嫌いなヤツですが、演じてもらえますか︖」というオファーを頂きまして、なんて光栄なんだろうと思いました。監督のラヴレターに答えられたかは分かりませんが、精いっぱい演じました。極限まで削ぎ落されたポートレートの中で紡がれる、⼈の間の永い永い時間…。映画史に名を残すかもしれない、今はまだ無名の物語。ぜひ映画館でご堪能下さい。
(C)鈴木竜也
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