アカデミー賞ノミネート「あめだま」西尾大介監督「いろんな国の人に認めてもらったのがすごく嬉しい」【上映館一覧あり】
2025年3月10日 19:00

東映アニメーションとして初めてアカデミー賞にノミネート(短編アニメーション部門)された「あめだま」の西尾大介監督が3月9日、都内で舞台挨拶を行った。この日は、主人公ドンドンの声を担当した嶋陽大、佐藤直紀(音楽)、西川和宏(アニメーションプロデューサー)、鷲尾天(プロデューサー)、原作者のペク・ヒナも登壇した。

西尾監督は、アカデミー賞にノミネートされた際の心境を「最初に報告いただいた時は現実味がなかった。ダンデライオンスタジオの会議室で各セクションのチーフやみんなが集合して生配信を見ていたんです。そうしたら、『Magic Candies』って言われて、僕はタイトルの説明だと思ったんです。この作品を制作した時点では(アカデミー賞なんて)考えてなく、名前を呼ばれてもまるっきり現実味がありませんでした」と述懐。ノミネート発表当日には大阪在住の嶋、韓国のペク氏とリモートでつなぎ、共に喜んだという。

そして、ノミネート発表を一緒に見ていた原作者のペク氏は「アカデミー賞のノミネートまでは期待していませんでした。最初に、鷲尾さんがアニメーションを作りたいと言ってくださったのが約9年前でしたでしょうか。そこから長い期間かけて、スタッフのみなさんが頑張って作ってくださった」と謝意。「(ノミネートの発表時に)久しぶりに、オンラインでしたが日本チームと韓国チームが顔合わせできたので楽しく思っていました。ドキドキしながら見ていました。ノミネートされたことは本当に嬉しい。私としては原作者の役割は果たした、と思いました(笑)」と笑顔をのぞかせた。

なお、今回のアカデミー賞授賞式には、西尾監督、原作のペク、鷲尾プロデューサーに加え、嶋、佐藤、西川プロデューサーも現地入り。これまで「ALWAYS 三丁目の夕日」「ゴジラ-1.0」などの音楽を手掛けてきた佐藤は、「非常に格式高く、荘厳な雰囲気がありました。アカデミー賞はエンタメをよく知る人たちが作る最高峰の式典だと思いました。短編アニメーション部門として5作品の中の1作としてノミネートされましたが、受賞関係なくノミネートされるということ自体が素晴らしいこと。乱暴な言い方ですがオスカーを獲れるのは時の運だと思う。『あめだま』はオスカーに左右されることなく素晴らしい作品であることは変わらない」と、初参加となった授賞式を振り返りつつ、作品への自信を見せた。
一方、ダンデライオンスタジオの西川プロデューサーは、韓国のロケハンに思いを馳せ「公園やアパートの造りとかを見に行き、写真を撮ったりしました。その際に初めてペク先生とお会いして、絵コンテのフィードバックをいただいたり、お話をおうかがいすることができました」とペク氏とのエピソードを披露したかと思いきや、「ロケハンは朝から晩までやっていて、夜暗くなっても公園にいたんです。そうしたら、監督が犬のうんこを踏んでたんですよ」と暴露。これに対し西尾監督は「なんで言っちゃうんだよ、俺が言うことなくなっちゃうじゃん」と会場の笑いを誘いつつ、「あの時、俺はみんなで車に乗り込んだ時に言おうと思ってたのに、みんな知ってるんだもん。それが悔しかったんだよ」とスタッフのチームワークの良さを垣間見せた。

また、西尾監督は、制作を振り返り、「ペク先生とお会いしたりやりとりをする中で密度の濃さを久々に体験しました。とっても、よかったと思っています。確実に絵にフィードバックされてますし、僕たちは、自信を持って(ペク先生に)提出できました。各セクションのひとりずつの担当者の粘り強さに感服しました。緻密に繊細にやっていたと思う。ダンデライオンスタジオのスタッフに感謝してます」と改めてスタッフの緻密で丁寧な仕事ぶりに感謝を伝えた。
これを受けペク氏は、「絵本を書いていた時は、手作りで粘土で人形を作ってました。しかし、アニメ化するにあたり、鷲尾さんから3DCGでやりたいと言われて、このアナログな感じを上手く表現できるのかと思ってました。すると鷲尾さんは『実際に作ってきますから、それから決めてください』とおっしゃってくださいました。制作が始まり映像を見せていただいた時に、かなり細かいディテールやフィードバックも反映してくださってました」と当時を振り返り、完成した映画で一番感動したのは、愛犬のグスリとドンドンのシーンだと明かした。「この場面は長い時間議論をしたのを覚えています。このように映像化された作品をみると、絵本にはないシーンが描かれていますが、主人公たちがまるで絵本から飛び出た感じで、魔法が起きたと思いましたが、さらにアカデミー賞でアメリカにも行き、今こうして日本にも来て、本当に魔法が起きた、という感覚です」と本作とスタッフを絶賛した。
最後にペク氏が、「『あめだま』は子どもだけでなく大人でも感動できる作品だと思っています。より多くの方に愛されることを祈っております」と挨拶。嶋は「僕は、思ってることを話したり伝えたりすることが得意ではないのですが、この作品の中で話す勇気を学びました。みなさんも何かに進めるきっかけになれば」とメッセージを送った。また、プロデューサーの鷲尾は「海外原作を作るのは初めて。ロサンゼルスについたときさまざまな言語が飛び交う中、スタッフのみなさんが楽しそうにしている姿を見て、嬉しく思いました。またこうしてみなさんと向き合う機会を作っていきたい」と今後も海外原作作品制作へ意欲を見せた。そして、西尾監督が「いろんな人にいろんな場所で観てもらいたい。そのきっかけがこのノミネートで知ってもらうことができた。賞をもらったということではなく、いろんな国のいろんな人に認めてもらった、というのがすごく嬉しい。作ってよかった」と各国で評価されたことを素直に喜び、舞台挨拶を結んだ。
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