松村北斗“キネ旬”表紙は「ただの表紙ではない」 主演作「夜明けのすべて」が4冠【第98回キネマ旬報ベスト・テン】
2025年2月20日 23:05
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キネマ旬報社が選出する「2024年 第98回キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が2月20日、東京・渋谷のBunkamura オーチャードホールで行われた。日本映画ベスト・テンの第1位に輝いたのは、瀬尾まいこ氏の小説を映画化した「夜明けのすべて」。パニック障害とPMS(月経前症候群)を抱え、生きづらさを感じる男女が特別な絆を築いていく姿を描いた。同作はメガホンをとった三宅唱監督が、日本映画監督賞と読者選出日本映画監督賞も受賞。さらに主演を務めたアイドルグループ「SixTONES」の松村北斗が主演男優賞を手にし、堂々4冠を達成した。
現在、出演作「ファーストキス 1ST KISS」が大ヒット中の松村が、「夜明けのすべて」での演技が高く評価され、主演男優賞を受賞した。同作では、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた“山添くん”役を務め、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた上白石萌音と再共演した。
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トロフィーを受け取った松村は「歴史ある賞をいただき、心の底からうれしいです」と喜びの声。「話すことをいくつか考えてきたんですが、いざ(トロフィーを)手にすると、どれもしっくりこない」と心境を明かし、溢れる感謝が止まらない様子だ。「これからも、お世話になった方々に感謝の気持ちを持ちつつ、返せるときに恩を返しつつ、そして、またそういう方々と出会えるワクワクを胸に日々精進していけたらと思います」と決意表明した。
主演男優賞の受賞者として、「キネマ旬報」2025年2月号増刊号の表紙も飾り「ここまで歴史がある雑誌だと、ただの表紙ではない」と神妙な面持ち。グループ活動との両立については「映画はやはり作品が主軸。みんなで自分の要素を渡し合って、ひとつの貯金箱を貯めていくような。そこに(グループ活動との)大きな違いを感じながら活動しています」と話していた。
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日本映画監督賞と読者選出日本映画監督賞のトロフィーを抱えた三宅監督は、「自分に関しては反省ばかり」と恐縮しきり。「監督の立ち振舞いで、現場の空気は左右される。ほかの現場を知らないので、自分がやれることはやらなきゃなと思っていますが、撮影現場で天気が悪いと、駄々をこねて、すねてしまうことも(笑)」と笑いを誘い、「そういうときは、松村さんがいい天気になるようにお祈りしてくれて、すごく雰囲気を作ってくれた」と感謝の言葉。さらに「昨日『ファーストキス 1ST KISS』を見たばかり。すばらしい映画。見た直後に主演に会えるのは役得」と明かし、会場を盛り上げていた。
主演女優賞を受賞したのは、「あんのこと」(入江悠監督)と「ナミビアの砂漠」(山中瑶子監督)の2作品でまったく異なるヒロインを熱演した河合優実。前者で日常的に親から虐待を受け、薬物中毒に陥る主人公・杏を、後者では世の中も人生も全部つまらないーー。そんなやり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている21歳のカナを演じた。
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「自分にとって大切な2本の映画で、『キネマ旬報』の歴史に名前を残せることをうれしく思っています」とトロフィーの重みを噛みしめる河合は、「どちらの経験も自分の勇気になっていて。熱い気持ちだけでは、映画は作れないと思っていますが、作り手が諦めずにしぶとく高みを目指そうと思えば、強い力が宿ると確信させてくれた2本でした」と強い思い入れを示した。
そして、「世の中が混沌としていて、表現という自分の仕事が、どういう働きかけになっているのか迷うこともありますが、もらった勇気を胸にこれからも諦めずに光を探していけたら」とスピーチを締めくくっていた。
きこえない母ときこえる息子が織りなす物語を繊細なタッチで描く「ぼくが生きてる、ふたつの世界」で、忍足亜希子が生まれつき耳のきこえない、ろう者俳優として初の受賞を果たした。トロフィー授与の際には、登壇者はもちろん、観客も両手を上げてひらひらさせる手話で“祝福の拍手”を届けていた。また、メガホンをとった呉美保監督が駆け付け、花束をプレゼントしていた。
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忍足は「皆様方の丁寧な作品づくりの結果だと思っております」と感無量の面持ち。「私はろう者のひとりとして、これからのろう者、次世代のろうの子どもたちへ伝えていけるような活動を、これからしたいと思っております。私は映画が大好きなので、もっと多くの皆さんに楽しんでもらえるように努力したいと思っております」と、さらなる活躍を誓った。
助演男優賞は、「ぼくのお日さま」「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」の池松壮亮。池松の受賞は、2014年度助演男優賞 (「ぼくたちの家族」ほか)、2019年度主演男優賞(「宮本から君へ」)に続き5年ぶり3度目となる。
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池松は「この2作品は全然ジャンルが違うんですが、どちらも若き20代の監督が作っている。作品への愛情深さ、視点の高さに大きな感銘を受けた。誠実で勇敢な人たちに感謝申し上げます」と奥山大史・阪元裕吾の両監督に謝意。「手探りのプロセスに携われるのは、自分にとっても大きなやりがいで、幸せを感じる」と話していた。
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奥山監督による「ぼくのお日さま」で池松と共演した中西希亜良と越山敬達が、揃って新人賞に輝いた。同作は、雪の降る田舎町を舞台に、吃音をもつホッケー少年のタクヤ(越山)と、フィギュアスケートを学ぶ少女さくら(中西)、夢に敗れた元フィギュアスケート選手でさくらのコーチ荒川(池松)の3人の視点で、雪が降り降り始めてから、解けるまでの、淡くて切ない恋の物語を描く。
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「これからも自分を過信せず、この賞に恥じないように、この場所に何度でも戻ってこられたら」(越山)、「皆さんのおかげで、さくらとして喜んだり、悲しんだり、傷ついたり、初めての景色に感動したりできた」(中西)と両名は緊張しつつも、受賞の喜びをコメント。そんなふたりについて、池松は「無垢な才能といいますか、未来の宝物。ふたりともキラキラしている」と期待を寄せ、共演者として距離を縮めるために「お寿司を何回も食べさせました(笑)」と振り返っていた。この日は、奥山監督が駆け付け、池松らの受賞を祝していた。
第98回キネマ旬報ベスト・テンの結果は以下の通り。
斎藤環「映画のまなざし転移」
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