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【「テリファー 聖夜の悪夢」評論】新たなホラー・アイコン、アート・ザ・クラウンが暴れまくる全米首位の残虐ホラー第3弾

2024年12月1日 08:00

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「テリファー 聖夜の悪夢」(公開中)
「テリファー 聖夜の悪夢」(公開中)
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白黒のピエロ姿でホラー映画に新風を呼んだアート・ザ・クラウン、その彼を生み出したダミアン・レオーネが監督するシリーズ第3弾。ハロウィン・シーズンに全米で公開され、初登場第1位を獲得した話題作。前作に引き続き、ファイナル・ガールのシエナにローレン・ラベラ、その弟ジョナサンにエリオット・フラム、クラウンにデビッド・ハワード・ソーントン、そのパートナーのヴィクトリアにサマンサ・スカフィディがそれぞれ扮している。

ハロウィンの虐殺を生き延びたシエナとジョナサンだったが、未だ心の傷に苦しんでいた。事件から5年目のクリスマス、クラウンとヴィクトリアが復活を果たし、彼らはシエナが身を寄せる家に住む叔母と幼い姪ギャビーに魔の手を伸ばす。シエナは彼らを守るため、クラウンたちに再び闘いを挑む。

前作「テリファー 終わらない惨劇」は25万ドルの製作費で全世界興収1574万ドルを稼ぎ出したが、本作は200万ドルの予算で8684万ドル(全世界)を記録。米では「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」と1週違いで公開、「ピエロ対決」として話題になり2700スクリーンの拡大興行が実現、ジャンル映画として異例の快挙を成し遂げた。(ちなみに「1」は853スクリーン、「2」は1550スクリーン)。これは本作のような審査を受けていない「NR作品」(Not Rated=非審査、「2」も同じ。「1」はUnrated=未審査)としては前例のない規模となる。

お得意のゴア表現はさらにパワーアップ。「1」の人間吊るし切りを凌ぐ「人間大名おろし」というべき衝撃的なシーンを始め、血飛沫の量もシリーズ最多と思えるほど。クラウンが拷問の末に切り刻むのは定番だが、時には銃、時には薬品を使うなど、手口が一定でないのは、監督がパターンに陥らず、意図的にリズムを変える狙いがあるからだと言う。

監督は「テリファー」を全4作、または5部作と想定しており、今回のラストを見ても収束の気配は見られない。また、過去作と比較しても「シャイニング」「サイコ」「ポルターガイスト」「ローズマリーの赤ちゃん」といった名作への明確なオマージュが多く見られ、これらの作品に共通する「強いヒロイン」「母性」と言ったテーマが、シエナのキャラクターを通して押し出されている。

2008年の短編「The 9th Circle」(ダンテ「神曲」にある地獄の第九圏に由来)で登場して以来、6本の映画と14年間を経て商品化にも成功し、今やペニー・ワイズやマイケル・マイヤーズに次ぐ新たなサイコ・キラーへと成長したアート・ザ・クラウン。本作のヒットでポップ・アイコンとしても一般層にまで認識された。小説やゲームのリリースも控えており、ユニバース化によってメジャー路線へと舵を切ったと思われる。今後の展開が見ものだ。

(本田敬)

執筆者紹介

本田敬 (ほんだ・けい)

映画.com外部スタッフ。映像宣伝会社エクラン代表。監督は成瀬巳喜男とドゥニ、ビルヌーブ、女優は高峰秀子とブリット・マーリングが好み。落語好きで古典も新作も好きな爆笑派。


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