服部樹咲、初主演作封切りに感無量 「ミッドナイトスワン」から成長して「10センチ背が伸びた」
2024年10月11日 21:49
「ミッドナイトスワン」で注目を集めた服部樹咲の長編映画初主演となる「BISHU 世界でいちばん優しい服」の初日舞台挨拶が東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、服部とともに岡崎紗絵、長澤樹、黒川想矢、田中俊介、吉田栄作、西川達郎監督が出席した。
愛知県尾張西部から岐阜県西濃にまたがり、世界三大毛織物の産地として世界的に注目を集める尾州地域を舞台にした本作は、尾州ウールの織物工場を営む家族の物語を描いたドラマ。服部演じる史織には発達障害があり、明るく誰に対してもフレンドリーな反面、生活習慣へのこだわりが強く苦手なことも多い、という役柄だ。
大勢の観客が集まった客席を見渡した服部は「本日はわたしの長編映画の初主演作品なんですが、観に来てくださってありがとうございます」と感慨深い様子で挨拶。さらに初日を迎えた思いを「準備段階から撮影中も、今までも、ずっと主人公の史織のことをすごく大切に思い続けてきたので、こうして皆さんにお届けできて、どんな世代の方たちが見に来てくださって、どういうご感想をいただけるのかがものすごく気になって仕方がなくて……、今はすごくワクワクしています。監督と、共演者の皆さんと、心を込めて大切に作った優しい映画なので、皆さんがニコニコしながら帰ってもらえるような。癒やされて帰っていただきたいなと思っています」と呼びかけた。
本作で印象的なシーンについて「機織り工場のシーン」と明かした服部。「機織り工場には本当にたくさんの機械があって。手順を覚えたり、細かい手作業を覚えたりと、することが多くて。なかなか難しくてできなかった。あらためて職人さんがどれだけ素晴らしいのか、すごいのかと知る機会となりました」と語ると、「それと糸の結び目をなるべく目立たないようにする結び方があって。それが劇中にも出てくるんですが、それがとても難しくて。お父さん役の吉田さんとずっと一緒に練習していたのがすごく思い出に残っています。わたしは本当に不器用で」と照れ笑いを浮かべた。
だが西川監督は、「そうはおっしゃいますが、本当に難しい作業なんですよ。それをあっという間に覚えて、簡単にやられていたんで絶対に手先は器用だと思いますよ。でも不器用だと言い張るんですよね」と笑いながら反論。吉田も「僕は覚える時間がなかったので、(服部と)競争しても勝てないんですよ。だから手先は器用だと思いますよ」と太鼓判を押したが、それでも服部は「わたしは不器用だと思っていますが、がんばりました」と返した。
是枝裕和監督の「怪物」で数々の賞を受賞した黒川は、史織と同じくコミュニケーションが得意ではないが、そんな中で史織と心を通わせていく少年を演じている。「撮影の前にハンディキャップを持った人との交流会に行かせてもらったんですが、ものすごく共感できる部分がたくさんあって勉強になりましたし、いい経験になったなと思います」と述懐。服部も「わたしも一緒に行ったんですけど、本当にいろんなお話が聞けて。それこそ史織の動きなども、そこでいろいろとお話を聞いて監督と一緒につくりました」と続け、さらに西川監督も「当事者のお話もそうですし、医療監修に入っていただいた方にお話を聞いたりとか、実際に美咲ちゃんにも歩いてもらって。こういう動きをするんですけど、どう見えますかと聞いたり。そのあたりは本当に丁寧につくっていきました」と付け加えた。
そんな中、「ミッドナイトスワン」で共演した田中は、服部の成長ぶりに驚きを隠せなかったという。「『ミッドナイトスワン』から4年ぶりの再会だったんですけど、めちゃくちゃ大きくなっていてビックリしました。当時は何歳だったの?」と田中が尋ねると、「13歳でしたね。今より、身長が10センチ低かった」と返答し、会場もビックリ。「でも本当に背丈だけでなく、現場に入ったら史織がいたので。ものすごくカッコいいなと思って。僕はそこで、親戚のおじちゃんじゃないけど、泣きそうになってうれしい。がんばって樹咲ちゃんという思いになりました。今日は家に帰ったら、おいしいお酒が飲めます」としみじみ喜びをかみ締めている様子の田中に、「わたしも成長したねと言っていただけてうれしかったです」と服部も笑顔をのぞかせていた。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。