「ブルーロック」を知らない状態で「劇場版ブルーロック EPISODE 凪」の興行収入を考えてみた【コラム/細野真宏の試写室日記】
2024年4月21日 09:00

®映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
今週末2024年4月19日(金)から「劇場版ブルーロック EPISODE 凪」が公開されました。
鑑賞時点の私は「ブルーロック」の知識が何もない状態。ところが、予備知識が無くても理解できる仕組みになっていました。
では、そもそも「ブルーロック」とは、どのような作品なのでしょうか?
「ブルーロック」は、2018年8月から「週刊少年マガジン」(講談社)で連載がスタート。高校生が主人公となる、サッカーを題材にしたマンガです。
マンガの舞台は、現実とリンクしていて、日本代表がサッカーW杯2010年大会に続き、8年ぶりに「ベスト16」となった2018年から描いています。
ただ、ベースの仕組みが本作ならでは、日本を「W杯優勝」に導くために、日本フットボール連合が特殊なプロジェクトを作るという設定になっています。
その特殊なプロジェクトというのは、世界一のストライカーを養成するための「青い監獄プロジェクト」という特殊な訓練を行なう「ブルーロック」と呼ばれる施設を作り、独自の超実践的な英才教育をするものです。
「ブルーロック」は現在も「週刊少年マガジン」で連載されていて、2022年10月9日~2023年3月26日までテレビ朝日系列でアニメーション作品が放送もされています。


それでは、本作「劇場版ブルーロック EPISODE 凪」の位置付けはどのようになっているのでしょうか?
実は、「別冊少年マガジン」という月刊少年漫画誌に、2022年7月号から「ブルーロック」のスピンオフ作品として、「ブルーロック EPISODE 凪」という作品が連載されているのです!
本体の「ブルーロック」では、潔世一(いさぎ・よいち)という高校生が主人公ですが、「ブルーロック EPISODE 凪」では、凪誠士郎(なぎ・せいしろう)という高校生が主人公となっているのです。
そして、本作は、この「ブルーロック」のスピンオフ作品「ブルーロック EPISODE 凪」を映画化したものとなっています。
そのため、テレビアニメ版を見てなくても、最初から理解することができるようになっているわけです。
さらに、本作の主人公の凪は、極度の面倒くさがりやで、「ゲームと睡眠」にしか興味がないようなタイプ。サッカーとは縁遠い存在からのスタートなので、サッカーのルールなどを知らなくても理解できるのです。


では、大型連休のGW作品として期待されている本作の興行収入はどのようになるのでしょうか?
まず、本作は、配給会社が「バンダイナムコフィルムワークス」になっています。
そして、制作会社が「エイトビット」。(ちなみに、まさに2024年4月1日付で「バンダイナムコフィルムワークスの完全子会社」となりました!)
さらに、出版社は「講談社」となっています。

この3つの会社のロゴを映画の冒頭で見た時に、「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」(2022年)を思い出しました。
「転生したらスライムだった件」も原作が有名な作品で、テレビアニメ化もされていて、内容や題材などは異なりますが、作画のクオリティーなどで似た物を感じたからです。
「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」の入場者特典は、第5弾まであり、第1弾は映画の前日譚を描く、漫画原作者描き下ろし漫画などを収録した「紅蓮の絆編 0巻」(80万部)となっていました。

一方の本作では、現時点では、週ごとの入場者特典が2週分公表されています。
1週目は原作漫画を手がける三宮宏太氏の描き下ろし漫画「ANOTHERブルーロック EPISODE原宿」(全64ページ)。
2週目は原作漫画キャラクターデザインを担当するノ村優介氏の描き下ろし漫画「ANOTHERブルーロック EPISODE表参道」(全64ページ)。
このように“週ごと”にしているのは、公開1週目から4週目で、本編上映後に週替わりでミニアニメ「あでぃしょなる・たいむ!」が上映されることが決定しているからでしょう。
そのため、入場者特典は、少なくとも4週ぶんは用意されているように思われます。
このように考えると、公開時期も良く、「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」の興行収入15億円と同レベルは達成できそうな雰囲気です。

ただ、ここに来ての不確定要素として、「スポーツ物のアニメーション映画」というのがあります。
というのも、現在公開中の「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」が想定以上の強さを見せていて、映画業界にとって嬉しい誤算が生まれる可能性もあるのです。
「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」については、私は「週刊少年ジャンプ」の作品では「僕のヒーローアカデミア」と同程度といったイメージを持っていました。
ところが、最速上映の埋まり具合のスピードが凄まじく早く、「劇場版 呪術廻戦0」と似た雰囲気を感じました。
とは言え、「劇場版 呪術廻戦0」の138.0億円まで行けるかというと、そこまでは期待し過ぎか、と考えました。
直近の「週刊少年ジャンプ」系での新規のヒット作品に「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」(「SPY×FAMILY」は少年ジャンプ+で連載中)があります。「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」はその辺りまでいければ十分過ぎる成功と考え、公開当初は「興行収入65億円くらい行けるか?」と、期待を込めて敢えて高めの想定をしていました。
ところが、製作委員会の想定さえも大きく上回ったようで、入場者特典を配る回数が当初より増えたりするなど、興行収入100億円を超えるような大ヒットとなっています!
「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」は上映時間が85分と短めな作品なので映画館にとっては回転率が上げやすい理想的な作品でしたが、一見さんが見ると、尺が短いぶん説明も少なくなっていて入り込みにくい面はありました。
ところが、「ファンには濃すぎる85分」という状況になっているようで、回転率が良く、そのうえ観客も多い、というお手本のような作品になっているのです。


このようにスポーツ関連の作品では、ファンと一見さんの感覚が大きくズレる可能性が出るようで、本作ではどのようになるのか注目が集まります。
とは言え、なかなか「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」のように確変する作品が少ないのも事実なので、「劇場版ブルーロック EPISODE 凪」は興行収入30億円辺りを目標にして映画業界を盛り上げてほしいところです。

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