脳裏に焼き付いて離れない映像、知られざる孤高の女性監督ニナ・メンケス3作品が日本初公開
2024年4月11日 18:00

自らプロデューサーや撮影を務め、その研ぎ澄まされた映像世界によって、多様なアメリカ映画界の中でも唯一無二の存在として1980年代初頭から現在まで活動を続けてきた女性監督、ニナ・メンケス監督の3作品が5月10日から日本劇場初公開される。このほど予告編(https://youtu.be/NB3hKHW3vtM)と明治学院大学教授の斉藤綾子氏からのコメントが披露された。
近年、初期作品がレストアされるなど評価の機運が高まり、日本でも昨年国立映画アーカイブで開催された特集「アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション」にて代表作「クイーン・オブ・ダイヤモンド」が上映され、その圧倒的な映像に観客は度肝を抜いた。
このほど公開されるのは、初の長編「マグダレーナ・ヴィラガ」と代表作「クイーン・オブ・ダイヤモンド」の劇映画2本、そしてドキュメンタリー「ブレインウォッシュ」の計3作品。
初期の劇映画での主演はどちらもメンケス監督の最大の協力者にして実の妹、ティンカ・メンケス。「マグダレーナ・ヴィラガ」では社会から隔絶された娼婦の役を、「クイーン・オブ・ダイヤモンド」ではラスベガスのディーラーの役を演じ、どちらも孤独なキャラクターながら力強くもある女性像を類まれな存在感で圧倒する。真紅のネイルや指輪にウエディングドレス、ネオンの煌めきからターコイズブルーのプールサイドと、メンケス自身のキャメラがとらえる詩的な映像美も魅力だ。また、一本の木が燃え盛るさまを映した「クイーン・オブ・ダイヤモンド」での驚異のロングショットのシーンも予告編で確認することができる。
「ブレインウォッシュ」は現時点での最新作で、現在に至るまで映画がいかに「Male Gaze=男性のまなざし」に満ち、その描写がいかに我々の実生活にも影響をもたらしているか、多くの映画のクリップを用いて解き明かしていくドキュメンタリー。予告でもアルフレッド・ヒッチコック「めまい」、クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」、ポール・トーマス・アンダーソン「ファントム・スレッド」などのクリップが登場。映画という視覚言語がもつパワーについて、そして男性中心の社会に溢れる問題をめぐって投げかけるメンケスの問いと対話は、我々の意識とまなざしを振り返る絶好の機会となるはずだ。
5月10日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
公開から30年。私たちはやっとニナ・メンケスのイメージに出会える幸運を味わえる。
スロット・マシーンの音が鳴り響くラスヴェガスのカジノ。真っ赤な爪が光り、黙々とカードを配るディーラーをじっと見つめるカメラ。色鮮やかなウィール・オブ・フォーチュンの前にじっと立つ監督の妹、ティンカ・メンケス。バーバラ・ローデン、シャンタル・アケルマン、ウルリケ・オッティンガー、アニエス・ヴァルダ、ジェーン・カンピオンの孤独なヒロインたちと同じく、ティンカは寡黙だ。内なる抵抗を、怒りを表す女たちの沈黙。ネヴァダの砂漠、ロサンジェルスのモーテル。
メンケスが描く荒涼としたアメリカ西部にジョン・ウェインはいない。
そのカラフルでミニマルな映像を一度目にしたら、決して脳裏に焼き付いて離れない。
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