【第47回日本アカデミー賞】「月」磯村勇斗に最優秀助演男優賞! 「地に足つけて、スクリーンで生きていきたい」
2024年3月8日 21:26
本作は、「舟を編む」の石井裕也監督が宮沢りえを主演に迎え、実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした辺見庸氏の同名小説を映画化したもの。磯村が演じたさとくんは、重度障がい者施設の職員で、殺傷事件の犯人となる青年。人当たりが良く、入所者への対応も丁寧な一方で、「心がない人間は生きる意味も価値もなく、排除すべき」という確固たる考えを持つ。純度の高い演技で、見る者が思考する余白を残した難役に挑んだ。伊藤健太郎(「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」)、大泉洋(「こんにちは、母さん」)、加瀬亮(「首」)、菅田将暉(「銀河鉄道の父」)らが名を連ねた優秀助演男優賞で、磯村が初受賞を果たした。
受賞前、役づくりについて問われた磯村は、「実際に障がい者施設で働いているスタッフさん(という役)なので、クランクインの数カ月前から、いろんな施設に伺いました。自分たちが手伝える範囲での介護や、一緒にお食事をとったり、お手洗いに行ったりといったことを、実際に自分も体験して、障がい者の方との距離感を、石井監督と作り上げていきました」と振り返った。
そして、昨年の第46回で最優秀助演男優賞を受賞した窪田正孝(「ある男」)からブロンズを受け取った磯村は、「ちょっとびっくり。本当に華やかなアカデミー賞で、このような賞をいただけたことを、大変嬉しく思います」と驚きの表情。「『月』は参加するにあたっても、作るにあたっても、公開するにあたっても、たくさんの壁があって。映画1本、お客様の前に届けるのがどんなに大変なのかということを、すごく痛感した作品でもあります」と、胸の内を明かす。
さらに磯村は、「自分は、スターサンズのいまは亡き河村(光庸)プロデューサーにお声をかけていただき、石井裕也監督、スタッフの皆さん、キャストの皆さんとともに、この難しい作品に挑戦して、覚悟をもって臨みました。いまいただいた賞は、自分というよりは、一緒に作り上げて、最後まで公開することができたチームの皆さんと、喜びを分かち合いたいと思っております。まだ世の中、不安定なことがたくさんありますが、自分の素足でしっかり、地に足つけて、スクリーンで生きていきたいと思っております」と決意を新たにした。