バス・ドゥボス監督「ゴースト・トロピック」予告編公開 ブリュッセルに暮らす女性の肖像画のような作品
2024年1月17日 21:00
2014年に長編第1作を発表して以来、わずか数年でベルリン、カンヌをはじめとする映画祭から熱い注目を集めているベルギーのバス・ドゥボス監督の長編第3作「ゴースト・トロピック」の予告編が公開された。
1983年生まれのドゥボス監督は、これまでに長編4作品を監督。2019年にカンヌ国際映画祭監督週間に正式出品された「ゴースト・トロピック」は、長い一日の仕事終わりに最終電車で眠りに落ちてしまった掃除婦のハディージャが、寒風吹きすさぶ真夜中のブリュッセルを徒歩でさまよい、予期せぬ人々との出会いを通して家に戻ろうとする--という物語。スタッフは最新作「Here」とほとんど変わらず、「Here」でも静謐で温かみのある楽曲を提供したブレヒト・アミールのギターの旋律が予告編でも印象的に使われている。
全編を通して夜が舞台となっているが、撮影では光感度の高いデジタルカメラを使用せず、粒子の荒い16mmカメラを使用し、暗闇の中にも柔らかさと温かみをもたらすことに成功している。撮影監督を務めたのは、「Here」同様にグリム・バンデケルクホフで、昨年末にロッテルダム映画祭から第5回ロビー・ミュラー賞を授与された。予告編では、濱口竜介監督の「偶然と想像」で撮影監督を務めた飯岡幸子氏からも「今夜はこの人の傍にいてみましょう、とでもいうように夜を渡るカメラは、誰も見ることが出来るはずのない横顔を、それは美しかったと静かに教えてくれる」という推薦文が寄せられている。
また、予告編冒頭には「シャンタル・アケルマンのように人間の生の儚さを小さな行いから描き出す」というオランダの新聞・NRC紙のレビューも引用されている。ブリュッセル出身のアケルマン監督が「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」などで、それまで描かれなかった女性の時間や空間を捉え、観客にそれまでとは異なる「世界の見方」を見せようとした点では、アケルマン監督とドゥボス監督作品との共通項も感じさせる。
20年近くブリュッセルに暮らしているドゥボス監督は、多言語・多文化が共生するブリュッセルの街を「ヨーロッパの縮図」として捉えており、社会的には決して目立つ存在ではないが、あえてハディージャのような女性を主人公にし、彼女と出会う人々の<真夜中の一期一会>を描くことで、「ブリュッセルに暮らす女性の肖像画のような作品を作りたかった」と海外のインタビューで語っている。
予告編の公開にあわせ、ドゥボス監督が初来日することも発表された。2月2日・3日・6日にはBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて登壇イベント等を実施、2月4日には沖縄・桜坂劇場にも登壇する。詳細は後日、劇場や映画の公式サイトにて発表される予定だ。
2月2日からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開。
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