オピオイド危機を引き起こした巨大資本と戦う写真家、ナン・ゴールディンを映す「美と殺戮のすべて」3月29日公開
2024年1月10日 22:00

2022年・第79回ベネチア国際映画祭最高賞(金獅子賞)受賞作で、写真家ナン・ゴールディンを映したドキュメンタリー「ALL THE BEAUTY AND THE BLOODSHED(英題)」が、邦題「美と殺戮のすべて」として3月29日から公開される。このほど、ナン・ゴールディンが1978年にロンドンで撮影したセルフ・ポートレイトを使用した本ビジュアルのほか、場面写真が披露された。
1970年代から80年代のドラッグカルチャー、ゲイサブカルチャー、ポストパンク/ニューウェーブシーン……当時過激とも言われた題材を撮影、その才能を高く評価され一躍時代の寵児となった写真家ナン・ゴールディン。2023年には、イギリスの現代美術雑誌ArtReviewが発表するアート界で最も影響力のある人物の1位に選出されるなど、今日に至るまで世界にインパクトを与え続けている。
2018年3月10日、ゴールディンは多くの仲間たちと共にニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れていた。目的の場所は「サックラー・ウィング」。製薬会社を営む大富豪が多額の寄付をしたことでその名を冠された展示スペースだ。到着した彼女たちは、ほどなくして「オキシコンチン」という鎮痛剤のラベルが貼られた薬品の容器を一斉に放り始めた。「サックラー家は人殺しの一族だ!」と口々に声を上げながら……。
「オキシコンチン」。それは「オピオイド鎮痛薬」の一種であり、全米で50万人以上が死亡する原因になったとされる“合法的な麻薬”だ。オピオイドとは、ケシから抽出した成分やその化合物から生成された医療用鎮痛剤(医療用麻薬)で、優れた鎮痛効果のほか多幸感や抗不安作用をもたらす。
1995年、米国では製薬会社パーデュー・ファーマがオピオイド系処方鎮痛剤「オキシコンチン」の承認を受け、常習性が低く安全と謳って積極的に販売。主に疼痛治療に大量に処方されるようになり、2000年頃から依存症や過剰摂取による中毒死が急増。全米で過去20年間に50万人以上が死亡し、大きな社会問題となっている。
本作の監督は「シチズンフォー スノーデンの暴露」のローラ・ポイトラス。ナン・ゴールディンがなぜ、巨大な資本を相手に声を上げ戦うことを決意したのか。大切な人たちとの出会いと別れ、アーティストである前に一人の人間としてゴールディンが歩んできた道のりが映し出される。
3月29日から、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほかにて全国公開される。
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