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【北野武監督作「首」“唯一無二”の6人が語り尽くすリレーインタビュー】最終回:羽柴秀吉役のビートたけし

2023年11月30日 12:00

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取材に応じた北野武監督
取材に応じた北野武監督

北野武監督の6年ぶりとなる最新作「」が、11月23日から全国で封切られた。構想に30年間を費やし、「本能寺の変」を題材にした壮大なエンタテインメントを完成させた。映画.comでは、カンヌ国際映画祭でも熱狂的に受け入れられた今作のリレーインタビューを、6週連続で展開。最終回となる第6回は、監督としてメガホンをとり、本編では羽柴秀吉に扮したビートたけしに話を聞いた。(取材・文/鈴木元、写真/間庭裕基、編集/映画.com副編集長・大塚史貴)


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――構想30年ということは、「ソナチネ」の頃から考えていたということですか。

あれは宣伝で使っているだけだよ。「ソナチネ」をやっていた頃の台本の中に「」ってタイトルはあったけれど、ストーリー自体は完成していないし将来こんなことやろうかなっていうのがあっただけ。

――時代劇は「座頭市」以来になりますが、もともと興味はあったのですか。

座頭市」は時代劇という設定になっているけれど、参加するキャストが少ないし、時代劇の衣装を着けていただけ。これが戦国時代になると、あの当時はCGがないんで2万人も3万人も人を集めなきゃいけないから、最終的には映画化にならないだろうなとは思っていたんだけれどね。

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――黒澤明監督と対談して、時代劇を薦められたと聞いています。

ヴェネチアで賞をもらった後に、衣装をやってくれていた黒澤和子さんに「お父さんが会いたがっているよ」みたいなことを言われて会いに行った。黒澤さんは「北野くんは潔くいらない画(え)をパッパと切るからね。思い切りがいいんで、戦国時代とかそういう武士のいっぱい出る映画も切り取り方がうまいからいい作品が作れるよ」と言っていたけれど、当時はでかい予算が出ればやりたいとは思いますと答えていたくらいかな。

――「アウトレイジ」3作で群像劇に手応えを得て「」につながったのですか。

3本やるとシリーズものになって、「必殺仕事人」みたいに今度はどうやって殺すんだろうみたいなことが注目されて、ストーリー自体は勧善懲悪みたいな話になっちゃうんで、自分の中では一回辞めたいと思って「アナログ」や「」を引っ張り出して考え始めた。「アナログ」は撮りたいっての(タカハタ秀太監督)がきたからやらせて、俺はじゃあ「」をやるかってなった。でも、戦闘シーンで何百人をCGで3人で作ったら、キャラクターが3人しかいない。300人だったら本当にエキストラを300人呼ばなきゃダメなんだよね。全部動きが違うし、つまずくヤツもいるし、猫背のヤツもいるのにCGがやると全員同じ。それがちょっと気に入らないんで、とにかくCGは効果的に、なるたけ使わないようにしたいと思っていた。

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――小説を脚本にする上で留意した点はありますか。

まず、芸人の曽呂利新左衛門の狂言回しみたいな動きで進行させた方がいいと思った。本能寺の変は明智光秀がやったのは間違いないだろうとは思うんだけれど、ただその理由が信長に痛めつけられたとかいろんな説がある。皆が天下を獲りたいと思っている中で、百姓出の秀吉は侍が考えないような、侍が気にするようなことを全然無視してなんか知らねえと言っちゃったりする。信長と光秀、荒木村重も三角関係にしちゃったし、そういうのが混在した戦国時代が描けると面白いかなと。結局一番策をしたのは秀吉じゃないかっていう意見もあって、80くらい説があるけれど俺は秀吉なら黒田官兵衛を軍師として使ってやるだろうって。そのへんは新説ではなくて、ストーリーは普通で、こうであったであろうという今までの映画やドラマでは描いていないものを描いちゃった方がいいと思った。

――秀吉はもともと自分で演じるつもりだったのですか。

俺じゃなくて良かったんだけれどね。自分がやんないと予算が出ねえってことになるから、じゃあやるよって言ったんだけれど面倒くさいんだよ。現場行って衣装着て監督やって、「よーい、スタート」かけて。いつまでやっていてもカットがかかんねえって言ったら、俺がかけんのかってなったけれど、それはけっこうおかしかったな。

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――多彩なキャスティングについて、まず中村獅童さんは初めて起用しましたが。

獅童くんはどんな映画でもやりたいって、だいぶ前から売り込みがあって、知らないことはない役者だしイケイケのタイプだから茂助にいいなと思った。

――信長役の加瀬亮さんについてはいかがですか。

悩んだんだけれど、「アウトレイジ」で絶対そんなことしないようなやくざの幹部にしたら見事にやってくれたので、今度はもっとつらい、狂ったような信長をやらせたから本人は相当参っていただろうと思う。でも結果的に、小男というか普通の大きさのヤツがいじめる狂気ってのはけっこう画になって面白かった。

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――光秀役の西島秀俊さん、黒田官兵衛役の浅野忠信さんは久しぶりの参加となりました。

西島くんはいろんな作品で主役をしているからね。裏の主役であって、たまには明智のようにちょっと悲劇っぽい方がいいなあと思って。浅野くんは本当に器用な役者だから、本人には失礼だけれどやる奴がいない時は、浅野くん、これやってよって頼めるユーティリティプレイヤーみたいな。そのうちお礼も兼ねてあの人で一本撮りたいね。

――大森南朋さんは、主要キャストで唯一「アウトレイジ 最終章」から引き続きの参加でした。

南朋くんは寺島(進)と一緒に昔の作品からほとんどエキストラ状態から頑張ってくれている人なんでね。秀吉と秀長という、教養がありそうでない百姓の二人組って感じがあって面白いなあと思った。

――編集で気にかけた点はありますか。

台本からはかなり組み替えている。頭からいけば一連なんだけれど、パズルのように入れ替えて、時系列もそのままにしないでいい画があったらそれを先に持ってきて見てもらったりした。もともと台本通りに編集したことってあまりないから。それは自分が見た感じで、ここは引っ張れないなと思ったらちょっとメインどころをバンと出してみたり、かなり見直したから疲れたよ。

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――久しぶりのカンヌ映画祭はいかがでしたか。

上映が始まる前にファンがけっこう騒いでいて、終わった後もかなり盛り上がったんで、人気があって良かったと思った。日本人があれだけ集まるとけっこう威力があったね。今回はなんかコンペが盛り上がっていなくて、スコセッシやこっちの方が盛り上がっちゃって、何がパルムドール獲ったのかも全然分からない。

――コロナ禍を経た日本の映画界はどのように映っていますか。

日本はソフトが足りないらしく、スタッフが本当に忙しいんだよね。それはネット配信が多くなったからだと思うんだけれど、数だけ増えて本当に安っぽいものが多い。下手すりゃYouTubeみたいになっちゃっている。それでも俺が見るとYouTubeよりも芸人の方がしゃべりがうまいし、面白いし、まだ負けていないと思う。ソフトがいっぱい必要なのは分かるけれど、監督もプロデューサーも作家も全部足りない。だから半分素人みたいなのが一線でやっていて、今はまだ有象無象だね。そろそろ映画会社も配信が出てきてじゃんじゃんやり出したから、やっとこれから競争が始まるんじゃないかな。

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