若き天才パティシエの感動の実話を映画化　「パリ・ブレスト　夢をかなえたスイーツ」3月29日公開

原作は、22歳でパティスリーの世界選手権のチャンピオンに輝いた若き天才パティシエ、ヤジッド・イシェムラエンの自伝書。ヤジッドは14歳でパリの菓子職人の見習いとなり、やがてパスカル・カフェをはじめ、フィリップ・コンティチニといった著名なパティシエのもとで修行を重ね、モナコのジョエル・ロブションのレストラン「ル・メトロポール」でスーシェフを務めた。2014年にはGelato World Cup（冷菓世界選手権）のチャンピオンとなり、現在は南仏アビニョンやパリに店舗を持ち、世界各地の最高級ホテルのコンサルタントや、高級ブランドとのコラボレーションも手掛ける。

母親に育児放棄され、過酷な環境で過ごす少年ヤジッド（リアド・ベライシェ）にとって唯一の楽しみは、里親の家で団らんしながら食べる手作りのスイーツ。いつしかヤジッドは、最高のパティシエになることを夢みるようになる。児童養護施設で暮らしはじめたヤジッドは、パリの高級レストランに機転を効かせた作戦で、見習いとして雇ってもらうチャンスを掴む。毎日180キロ離れた田舎町エペルネからパリへ長距離通勤し、時に野宿をしながら必死に学び続け、活躍の場を広げていく。偉大なパティシエたちに従事し、厳しくも愛のある先輩や心を許せる親友に囲まれ、夢に向かって充実した日々を過ごすヤジッド。ところがそんな彼に嫉妬する同僚の策略で、突然仕事を失ってしまう。

主人公を演じたのはTikTokで6600万人のフォロワーを持つ映像クリエイターのリアド・ベライシェ。インフルエンサーとしての活動に加えて、役者としても活躍するベライシェは、ヤジッドから直々にパティスリーの作り方を伝授してもらって役づくりに励み、初主演を果たした。

ヤジッド本人が監修した華麗なデザートも大きな見どころ。フォークを刺すと中からクリームがとろけ出す「パリ・ブレスト」、大きなさくらんぼの形をしたチョコレートのコーティングが芸術的な「フォレ・ノワール」など数々のデザートが登場する。

メガホンをとったのは、本作が長編監督デビューとなるセバスティアン・テュラール。ヤジッドの波瀾万丈な半生をテンポ良く、まるで“パティシエ版「ロッキー」”のように熱く感動的に描き出す。