ジョン・ゾーン生誕70周年記念イベント「JOHN ZORN’S DOCUMENTARY & COBRA」開催 マチュー・アマルリック監督のドキュメント上映
2023年10月17日 08:00
現代の音楽シーンを牽引し続ける音楽家ジョン・ゾーンの生誕70周年を記念した特別イベント「JOHN ZORN’S DOCUMENTARY & COBRA」が11月26日、東京・池袋の新文芸坐で開催される。ゾーンと親交の深い日本の音楽家、巻上公一(ヒカシュー)が主催し、ドキュメンタリー映画3部作の上映後、この日限りのスペシャルメンバーで即興ライブが行われる。
多彩で膨大な作品でジャンルを横断し続け、世界で今最も重要な音楽家の1人であるジョン・ゾーン。彼が今年70歳を迎えたことを記念し、今回、フランスを代表する俳優・映画監督であるマチュー・アマルリックが制作した音楽ドキュメンタリー映画「Zorn」3部作が日本初上映される。
アマルリックはゾーンに信頼された数少ない映画監督として、2010年から12年にわたり音楽制作の現場に密着し、知られざる彼の生の姿を貴重な映像に捉えてきた。サックスプレイヤー、作曲家、集団即興演奏のプロンプター、NYのライブハウスの芸術監督と、多面的に活躍するゾーンが、ジョン・メデスキやマイク・パットン、ネイト・スミス、マーク・リボー、ヒカシューの巻上公一など、各国の名だたるアーティストと交流する姿も映されている。
2022年のアマルリック来日時に「Zorn III (2018-2022)」が東京と京都にて一夜限り上映されて絶賛を博し、「Zorn (2010-2016) 」「Zorn II(2016-2018) 」は今回が日本初お披露目となる。
本作の上映はゾーンによるライブと共に開催されることが条件となっており、今回は特別にゾーンの許可を得て、巻上率いる「John Zorn’s Cobra東京作戦アニバーサリー部隊」の演奏が企画された。複数のミュージシャンのためのゲーム理論を応用したゾーンの代表作“COBRA”に参加するのは、大友良英(ギター)、ジム・オルーク(シンセサイザー)、山本達久(ドラム)、そして巻上公一(プロンプター)ら総勢14名のメンバーが出演する。
「COBRA」とは、ゾーンが考案した複数のミュージシャンのためのゲーム形式の即興演奏システムである。プロンプターからの指示と、ミュージシャンによる合図、メンバー全体の意思疎通によって予測不可能な演奏が進行する。システムの詳しい内容はゾーンの口伝により、限られたミュージシャンにしか伝えられておらず、今回はゾーンの意向により巻上がプロンプターを務め、この日限りの特別メンバーによるCOBRA東京作戦が開催される。
さらに、本イベントは名古屋、札幌での開催も決定。出演者やチケット情報などの詳細は公式HPで告知する。
■大友良英(音楽家)
これだけははっきり言える。ジョン・ゾーンの音楽がなければ、私の人生は全く違うものになっていたと思うし、彼の日本での活動がなければ、日本の音楽シーンは今とは全然違うものになっていたんじゃないかって。大袈裟でもなんでもなく、そのくらい彼の存在は私にとって大きい。この映画でジョンの音楽と出会い直すことは、自分自身の出発点を見つめ直すことでもあり、この先の未来をどう作って行くかの巨大な問いでもあると思っている。必見!
過去50年にわたり、彼の先人たちと後人たちのためにたゆまぬ努力を続けてきたジョン・ゾーンは、誠実さ、決断力、革新性の象徴であった。これらの映画では、彼のエネルギーに触れることができる。
この映画は大事な歴史の記録であるばかりでなく
強いエネルギーで私たちの人生に飛び込み問いかけてくる。
その問いは音楽や芸術の枠を超えている。
不確定性に溢れた日々の営みそのものへの問いかけでもあるような気がする。
ジョン・ゾーンは、驚くべき決断力で、たくさんの音楽家に道標を作る天才の中の天才である。
ジョンが日本の音楽シーンに与えた影響は計り知れない。
ぼくは彼と同時代に生きていることに感謝したい。
最愛の友人であるジョン・ゾーンの70才の誕生日におめでとうを言おう。
イベント名:JOHN ZORN’S DOCUMENTARY & COBRA
開催日時 :2023年11月26日 (日)
14:50 開場 / 15:10 上映開始 / 19:50 LIVE開始 / 21:20 終了予定
会場 :新文芸坐(東京都豊島区東池袋1-43-5マルハン池袋ビル3F)
上映作品 :「Zorn (2010-2016) 」「Zorn II (2016-2018) 」「Zorn III (2018-2022)」
映画上映後、「John Zorn's COBRA 東京作戦アニバーサリー部隊」生LIVE開催
公式HP :https://zorn.my.canva.site/
公式Xアカウント:@johnzornproject
主催: MAKIGAMI OFFICE / JAZZ ART実行委員会
協力:boid
前売¥4,500/当日¥5,000(税込、映画3本+ライブ通し券のみ、途中入退場可)
◆チケット販売URL(10月17日(火) AM8:00より販売開始)
https://zorn70.peatix.com/
大友良英 ギター
神田佳子 パーカッション
北陽一郎 トランペット
後藤篤 トロンボーン
坂口光央 キーボード
ジム・オルーク シンセサイザー
竹澤悦子 三味線
直江実樹 ラジオ
ナスノミツル ベース
松村拓海 フルート
山本達久 ドラム
吉田野乃子 サックス
吉田隆一 バリトンサックス
巻上公一 プロンプター
ーーーーーーーーーーーーーー
オノセイゲン 音響
「Zorn (2010-2016) 」(2016年/仏/54分)
集団即興演奏のプロンプターとして、そして陽気なサックスプレイヤーとして、またNYのライブハウスの芸術監督として多面的に活躍するジョン・ゾーン本人の姿を捉えたドキュメンタリー。ジョン・メデスキやマイク・パットン、ネイト・スミスとのライブや練習風景、NYのサウンドスタジオでジョンのレコーディングに飛び入り参加する本作の監督でもあるマチュー・アマルリック、日本の歌謡曲研究家としても知られたジョンの日本での足跡を辿るパートではヒカシューの巻上公一など、各国のアーティストとジョンの交流が多彩な音楽とともに描かれる。
ここでは主にジョンの多様な作曲作品の魅力が紹介される。彼はフリーミュージックやグラインドコア、弦楽四重奏やアルカイックな女声合唱まであらゆる音楽表現を自在に操り、そのどれにも縛られず軽やかに音楽の世界を飛翔する。詩のように挿入されるジョンの人生や哲学から、彼の音楽を構成する一端が垣間見える。ギタリストのマーク・リボーやジュリアン・ラージ、2022年にマッカーサー賞を授与したモリイクエも登場する。
ピアニストのスティーブン・ゴスリングと、ソプラノ歌手バーバラ・ハンニガンの2人が、超絶技巧を必要とするジョンの新作歌曲に挑んでゆく過程をカメラが丹念に追う。自己のテクニックに行き詰まりを感じたバーバラの姿と、ジョンのジャズバンド仲間たちが野外で演奏している朗らかな表情が対照的に編集され、そこからジョンが生み出そうとしている新しい音楽の片鱗が見えてくるようだ。
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