“映画の職人”城定秀夫 100本以上の作品を監督し「気づいたら20年」【第36回東京国際映画祭・特集上映】
2023年10月12日 12:00

第36回東京国際映画祭「Nippon Cinema Now」部門での特集上映が決定した城定秀夫監督が取材に応じた。2003年に「味見したい人妻たち」で映画監督デビュー。ピンク映画からVシネマ、劇場用映画まで100タイトルを超える作品でメガホンをとった“映画の職人”は、「格式高い映画祭で自分とは無縁だと思っていたので、“急に?”という印象もあって(笑)。ですが、光栄であり、何より多くの人に作品を見てもらえるのがうれしいですね」と喜びを語る。
同部門は、この1年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映するもの。「映画の職人 城定秀夫という稀有な才能」と題した監督特集では、「愛なのに」「ビリーバーズ」「銀平町シネマブルース」「アルプススタンドのはしの方」が上映される。「規模は小さいですが、作家性がよく出ている4作品だと思います」(城定監督)。
いずれも英語字幕付き上映で、「きっと新しい出会いもあるのかなと。国によって、文化も感性も違いますから、どんな意見が聞けるのか不安と楽しみな気持ちがありますね。公開を前にした宣伝というものもありませんから、よりフラットに、映画本来の評価を聞けるかもしれません」と国際映画祭ならではの交流にも期待を寄せている。
映画監督デビュー作の公開から、今年で20周年を迎えて「気づいたら20年という感じですね。浮き沈みをしながら、途切れることなく作品を撮り続けられるのは、本当にありがたいこと」と感慨しきりだ。同時に「常にこれが最後かもしれないという恐怖もあります。次はないぞって」と本音も明かし、「1本評価されて、それっきりということもありますし、そういう意味では限られた条件の中で、何とか映画を撮り続けた20年だった」と振り返る。
「いまは映画の世界も“職人”が求められなくなったように思います。映画人としては、社会的なメッセージを込めたり、映画としてかっこいい表現をしたり、そんなアーティスティックな部分への憧れもなくはないんですけど、仕事としては規模やジャンルに関わらず、いかに面白い娯楽映画にしていくか、というのが大切だと思っています。そういうせめぎあいの結果、ジャンル映画でも、少し風変りなものに仕上がって、宣伝さんは困るみたいですけど(笑)。いまは、『自分じゃ手に余るんじゃないか』と思う大きな仕事にも、チャレンジしていますし、行けるところまで行こうという気持ちです」(城定監督)
第36回東京国際映画祭「Nippon Cinema Now監督特集 映画の職人 城定秀夫という稀有な才能」で上映される4作品は、以下の通り(いずれも英語字幕付き上映)。
(C)「アルプススタンドのはしの方」製作委員会【作品解説】
夏の高校野球・一回戦。夢の舞台でスポットライトを浴びている選手たち。観客席の端っこで戦況を見つめる冴えない4人が、かけがえのない青春の熱を放つ。
【キャスト】
小野莉奈、平井亜門、西本まりん
(C)2021「愛なのに」フィルムパートナーズ
(C)山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会
(C)2022「銀平町シネマブルース」製作委員会【作品解説】
さすらいの映画監督を救ったのは、映画好きの愛すべきバカ者たちと映画そのものだった。ひとときの祭りの終わりと新たな旅の始まりの物語。
【キャスト】
小出恵介、吹越満、宇野祥平
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