映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

菅田将暉主演の劇場版「ミステリと言う勿れ」 “ジャンル&注目監督”からヒットの可能性を考察【コラム/細野真宏の試写室日記】

2023年9月16日 08:00

リンクをコピーしました。
画像1(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)


この2カ月ほど別件の仕事が忙しかったのもあるのかもしれないですが、試写を見ていても大きな「手ごたえ」のようなものを感じにくい状態が続いていました。

ただ、これは「結果」としても表れていて、本来であれば書き入れ時である8月の映画業界の興行収入は、昨年より下がっているようです。

8月からの公開作品で何とか興行収入20億円を超えたのが、「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司」と「マイ・エレメント」の2作品だけとなっているのです。

想定できていたとはいえ、やや寂しい状況となっています。

そんな中、ようやく期待できそうな作品が出てきました。

シルバーウィークに向けて、9月15日(金)から公開規模が300館を超える大型作品が一気に5本も公開されます!

粒ぞろいな作品ばかりですが、「ヒットする」という視点で考えると、「ミステリと言う勿れ」が飛びぬけています。

なぜなら、2022年1月からフジテレビ系列の「月9」で放送された連ドラの段階で実績があり、「映画に、なるべくしてなった作品」だからです。

画像2(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

まず、「ミステリと言う勿れ」は2022年1月10日に第1話が放送され、平均視聴率13.6%(ビデオリサーチ調べ。関東地区・世帯・リアルタイム、以下同)を記録しました。

放送直後からSNSなどで盛り上がり、放送後1週間のTVerにおける「見逃し配信再生数」が、民放歴代最高記録の350万再生を記録したのです!(ビデオリサーチ調べ)

そして、TVerアワード2022【特別賞】を受賞するなど数々の記録を打ち立てています。

現在の配信時代では、「視聴率」だけでは見えてこない「視聴熱」のような新たな指標が重要となるわけです。

このような現象が連ドラ放送中に続き、原作マンガもあったため、当初から視野に入れていたであろう「映画化」は必然性の高い結果でした。

画像3(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社
画像4(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

では、「ミステリと言う勿れ」はどのくらいのヒット作となるのでしょうか?

これは、敷居の低い、無料の「見逃し配信」という仕組みが定着してからそれほどデータがないので、「未知」の部分が大きくなっています。

そこで、「作品の区分け」と「監督」という2つの軸を使って考察してみます。

本作の分野は、「謎解き」がベースになっているので「ミステリー作品」です。

それなのに、タイトルが「ミステリと言う勿れ」となっているのは、かなりキャッチーなアイデアだと思います。

本作の大きな特徴に、菅田将暉が演じる主人公の「久能整」(くのう・ととのう)という風変わりな大学生の会話によって物語が成立している点があります。

感情をあまり表に出さずに、マイペースな会話で的確に「本質」に辿り着くのですが、いわゆる「論理的な思考」の最高峰のレベルです。

その結果、会話で「事件の謎」を解くだけでなく、「登場人物らが抱える状況」に対するアドバイスもすることで「登場人物の問題」も解きほぐす「新感覚ミステリー」となっています。

(第1話のサブタイトルは「変わり者の大学生が殺人容疑、真実は人の数だけある!」となっています。これは「真実はいつも1つ!」に対する強烈なカウンターパンチになっている点は興味深いです。さらには、その2作品がともに小学館から出版されている点も興味深いです)
画像5(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

本作のような「本格的なミステリー作品」×フジテレビ「月9」というくくりで考えると、福山雅治主演の「ガリレオ」シリーズと共通しています。

まさに、今からちょうど1年前の2022年9月16日に「沈黙のパレード」が公開されています。

沈黙のパレード」はギリギリ興行収入30億円に到達。“「本格的なミステリー作品」×フジテレビ「月9」”という共通点で考えてみると、「ミステリと言う勿れ」も興行収入30億円は狙えそうです。

あえて“違い”をあげるとするならば、「ミステリと言う勿れ」はシリアスに振り切っているわけではなく、「ガリレオ」シリーズよりも「笑い」を誘うシーンが多いという点です。

そのため、“作品を見る層”は「ミステリと言う勿れ」の方が広いのかもしれません。

画像6(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

次に、「監督」という視点から考えてみます。

本作の監督は、2007年にフジテレビ系列の土曜深夜枠で放送された「LIAR GAME」(ライアーゲーム)で初のチーフ監督になり頭角を現した松山博昭です。

カラフルな映像、キャッチーな劇伴を駆使して、全11話の平均視聴率が 11.41%を記録しています。

2009年に「Season 2」が、深夜枠から昇格して「火9」で放送されました。

そして、2010年3月6日に映画版「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」が公開され、初監督作品ながら、興行収入は23.6億円を記録しています!

さらに、 2012年3月3日に最終章「ライアーゲーム 再生」が公開され、興行収入21.0億円を記録した実績があるのです。

深夜ドラマから始まった作品が映画化され、2本とも興行収入20億円を超えるなど、独自性のある演出力が松山博昭監督のパワーとしてあります。

この「独自性のある演出力」は、想像を超える破壊力を生み出すこともあるのです。

それは、次の監督作「信長協奏曲」。2016年1月23日に公開されましたが、私の当時の想定では20億~30億円規模でした。

それが公開されると、初速から強く、興行収入46.1億円にまで伸びたのです!

ミステリと言う勿れ」が4作目の監督作となりますが、この4作品には大きな共通点があるのです。

それは、「LIAR GAME」も「信長協奏曲」も「ミステリと言う勿れ」もマンガ原作がある点です。

つまり、原作マンガの実写化で、作品のDNAを松山博昭監督が引き出した時に、大きなパワーが発生しています。

画像7(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

この「ミステリと言う勿れ」は、松山博昭監督が自身で原作マンガを“発見”して、企画&映画化まで持っていった作品です。

制作過程を追うと、かなり作品のDNAを引き抜きながら、松山博昭監督らしさも出せた作品に仕上がっているように感じます。

本作もヒットすれば、フジテレビ映画のヒットメーカーとして認知されるのは間違いないでしょうし、「久能整」の物語が映像で続くことにもなるわけです。

おそらく「ミステリと言う勿れ」の続きをもっと見たいという人は少なくないと思われます。

そう考えると、本作は興行収入30億円のラインは軽々と超えていくのかもしれず、この破壊力がどの程度なのか注目したいと思います!

菅田将暉 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

それでも夜は明ける

それでも夜は明ける NEW

第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。

aftersun アフターサン

aftersun アフターサン NEW

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る