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【第80回ベネチア映画祭】濱口竜介に国際批評家連盟賞、塚本晋也にNETPAC賞 ヨルゴス・ランティモス「哀れなる者たち」が高評価

2023年9月9日 22:33

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本授賞式よりも早く発表される独立機関による賞を受賞した塚本晋也監督(左)と濱口竜介監督
本授賞式よりも早く発表される独立機関による賞を受賞した塚本晋也監督(左)と濱口竜介監督

現在開催中の第80回ベネチア国際映画祭も大詰めを迎え、本授賞式よりも一足早く発表される、独立機関による国際批評家連盟賞を、濱口竜介の「悪は存在しない」が受賞した。濱口は、「映画批評を読んでどんな映画を観るべきかを学びました。選んで頂くことで多くの観客に観ようと思ってもらえる。こんなに嬉しいことはありません」と感謝した。本作は今年のラインナップのなかでも評価が高く、コンペティション部門受賞の期待もかかる。

一方、オリゾンティ部門に参加した塚本晋也の「ほかげ」は、アジア映画をサポートする独立機関(ザ・ネットワーク・フォー・ザ・プロモーション・オブ・アジアン・シネマ)が主催するNETPAC賞を受賞した。塚本監督は、「生まれたばかりでまだどんな反応かわからないこの映画に対して、最初の評価みたいなものを頂けてホッとしました。一番にスタッフに伝えたいです」と喜びのコメントを語った。

ヨルゴス・ランティモス監督「哀れなる者たち」
ヨルゴス・ランティモス監督「哀れなる者たち」

すべてのコンペティションが出揃い、閉会式まであとわずかとなったなかで、だんとつに評価が高いのは、ヨルゴス・ランティモスの「哀れなる者たち」だ。インターナショナル・プレスと地元イタリアプレスの星取り両方で、トップに位置している。続いてアグニエシュカ・ホランドがポーランドとベラルーシの国境で起こる難民の悲劇を描いた「Green Border」、濱口竜介の「悪は存在しない」、ブラッドリー・クーパーの「マエストロ」、マッテオ・ガローネがアフリカからヨーロッパに渡ろうとする違法移民たちを描いた「Me Captain」、デビッド・フィンチャーの「The Killer」あたりが好評価を得ている。

ハーモニー・コリンが全編赤外線カメラを用いて制作した「Aggro Dr1ft」
ハーモニー・コリンが全編赤外線カメラを用いて制作した「Aggro Dr1ft」

アウト・オブ・コンペティションで人気なのはウッディ・アレンがパリを舞台にした「Coup de Chance」、リチャード・リンクレーターのコメディ「Hit Man」。またハーモニー・コリンが全編赤外線カメラを用いて制作した実験的な映画「Aggro Dr1ft」、カンタン・デュピューが画家ダリをモチーフにしたシュールなコメディ「Daaaaaali!」も注目を浴びた。

さらに本映画祭とは運営が異なる併設部門「ヴェニス・デイズ」に参加した、イザベル・ユペール伊原剛志が共演したエリーズ・ジラールの「Sidonie in Japan(原題)」、杉田協士の「彼方のうた」も、それぞれ日本を舞台にした作品として注目を浴びた。(佐藤久理子)

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