恋と性の目覚め、死への欲動…少年少女の美しくはかないひと夏「ファルコン・レイク」 シャルロット・ルボンが語る初監督作
2023年8月26日 09:00

思春期の少年少女の出会いと、ひと夏のはかない思い出をつづった青春映画「ファルコン・レイク」が公開された。フランスのバンドデシネ作家バスティアン・ビベスの「年上のひと」が原作で、カナダ出身の俳優シャルロット・ルボンの長編初監督作だ。
恋や性の目覚め、死への欲動など、若者の繊細な心模様を16ミリフィルムならではの映像美で描き出し、2022年・第75回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品されたほか、世界各地の映画祭で注目を集めた本作について、ルボンが語った。

もうすぐ14歳になるバスティアンは母の親友ルイーズのもとで夏を過ごすため、家族4人でケベックの湖畔にあるコテージへやって来る。ルイーズの娘である16歳のクロエと出会ったバスティアンは、大人びた雰囲気の彼女に恋心を抱く。クロエの気を引くため、幽霊が出るという湖へ泳ぎに行くバスティアンだったが……。
撮影が終わった時、自分にできる最善を尽くしたと思えました。編集が終わった時、最高のバージョンが完成したと思いました。簡単な撮影では無かったですが、一滴一滴の汗(時には涙)を流す価値のあるものでした。この映画は本当に私自身だと思います。
ルカ・グァダニーノ監督の「君の名前で僕を呼んで」には大きな影響を受けましたし、ジェフ・ニコルズ監督の「テイク・シェルター」、パヴェウ・パヴリコフスキ監督の「マイ・サマー・オブ・ラブ」、デビッド・ロウリー監督の「ア・ゴースト・ストーリー」やアンドレア・アーノルド監督の「アメリカン・ハニー」にも影響を受けています。雰囲気や色彩という観点では、ジョン・エヴァレット・ミレーなどに代表される自然を物語を語る力として使用したラファエル前派の絵画からも影響を受けました。

一番印象に残っているのはパーティーのシーンです。本当に大変なショットでした。私たちは真夏の短い夜に撮影をしていたので、素早く撮影を進めなければならなかった。また、新型コロナウイルスの影響でエキストラを沢山集めることができなかったので、彼らは私が主演を撮影している間、一つのテイクで他の場所に移動しなければならなかったの。また、照明機器に十分な予算をかけることができなかったので、撮影のクリストフ・ブランドルと美術のアレックス・エルキュール・デジャルダンはよりクリエイティブになる必要がありました。
私は、子供の頃からモントリオールの北西にあるローランティッド地域の風景や地域をよく知っています。舞台として選んだのには、私自身が安心するという理由だけでなく、フランス人の主人公に試練を与えるためにも、慣れ親しんだロケーションが必要だったからです。それは、ぽつんと建った木造住宅や、湖、森のような場所で、主人公が異質で慣れない場所に立ち向かい、孤立感をつのらせ、真の感情的な目覚めが起こるというアイデアが気に入っています。このシンプルな物語構想は、ティーンエイジャーのクロエとバスティアンを含む、ロマンチックな休暇の真っ只中にいる数名の旅行客によって進められていくのです。

ファルコン・レイクは実在する湖で、私が10代前半の頃に夏を過ごしていた場所でした。美しくも恐るべき広大な自然に恐怖を覚えたのを覚えています。その想いをタイトルに込めました。
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