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仲野太賀、イ・チャンドン監督との初対面に感無量 “究極の人間ドラマ”「シークレット・サンシャイン」を語り合う

2023年8月11日 13:00

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韓国の巨匠イ・チャンドンが8月9日、「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」先行上映会(ヒューマントラストシネマ渋谷)の舞台挨拶に登壇。特別ゲストの仲野太賀とともにトークを繰り広げた。

イ・チャンドン監督の全作品を初の4Kレストア上映する特集「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」が8月25日よりスタート(フランス人監督アラン・マザールによる新作ドキュメンタリー「イ・チャンドン アイロニーの芸術」も上映)。今回のイベントは、レトロスペクティヴ開催を前に行われ、上映作品は「シークレット・サンシャイン 4Kレストア」に。同作は、配給元の事前アンケートで「劇場で1番観たいイ・チャンドン作品」に選ばれている。

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即日完売、満席となった場内で大きな拍手で迎えられたイ・チャンドン監督。「わたしは映画館で観客の皆さんにお会いするのがとても久しぶりなのでとても胸がいっぱいでうれしく思っています。皆さんにとってよい時間になってくれたら」と挨拶すると、かねてよりイ・チャンドン監督の大ファンを公言する仲野が花束を携えて、ゲスト登壇を果たした。

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仲野は「初めて(イ・チャンドン)監督の作品に触れたのは『オアシス』でした。本当に素晴らしく美しいラブストーリーです。そこから監督の作品の虜です」と熱い思いを伝える。それに対し、イ・チャンドン監督は「わたしの映画は、観客の皆さんにとって少し居心地の悪さを感じる作品かもしれません。それでも観客の皆さんが(居心地の悪さに)打ち勝って登場する二人の愛を受け入れてくれたらうれしい、そんな気持ちで作りました。仲野さんはわたしの願う通りに、“美しいもの”として受け入れてくださった。俳優でもある仲野さんがそれを感じてくれたことが尚更うれしく、わたしにとっても意味のある事だと思います」と切り返した。

画像4(C))2007 CINEMA SERVICE CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

話題は「シークレット・サンシャイン」(4Kレストア)について。タイトルは劇中の舞台でもある「密陽(ミリャン)」という韓国の地方都市からとられており、“謎めいた日差し”という詩的な意味も込められている。この地名に子どもの頃から惹かれていたイ・チャンドン監督。一見平凡な人生のように見えても秘密の意味が隠されている――。「一体それは何なのかを探し続けるような、わたしたちにとっての人生を象徴しているように感じていた」と明かした。

仲野は、同作を「究極の人間ドラマ」だと述べる。

「人間のあらゆる側面をまざまざと見せつけられる。主人公が絶望の淵に追いやられる姿、藁をもつかむ気持ちで神様を受け入れる姿、その先にある究極の決断だったり……人間って、聖なるものと俗的なものを行ったり来たりするなと思って。信じたり疑ったり、人間の複雑さに心を揺さぶられて……しゃべりすぎですか?!(笑)」と作品への思いが止まらない仲野。それを受けて、イ・チャンドン監督は「“聖”と“俗”、この2つは、まさに映画のスタート地点で、ノートにメモをした言葉でした。言い当ててくれたのでとても驚きながらも、感謝しています。でも、これから初めて観る方のためにそれ以上は言わないでください」と微笑みながら静止していた。

徐々にヒートアップする仲野。「ネタバレになるか……いや、絶対越えていくから、大丈夫だから!」と観客へことわりを入れつつ、この作品でいちばん好きなシーンを挙げると、そこに込められているであろう“自分なりの思い”をぶちまけ「こちらからは以上です!」とファン全開のトークをさく裂させ、会場を沸かせていた。

画像5(C)MOVIE DA PRODUCTIONS & PINEHOUSE FILM CO., LTD., 2022

続けて話題は、レトロスペクティヴで初上映となるドキュメンタリー「イ・チャンドン アイロニーの芸術」に。意外なにも、イ・チャンドン監督は「じつは最後までちゃんと見れていないんです。(自身が出ていることが)あまりにぎこちなく、恥ずかしくてバツが悪い」と告白した。

同作では、これまでのフィルモグラフィをなぞりながら、ロケ地を訪れ、あまり語られることのなかった映画監督になる前の小説家としての姿、幼少期のエピソードが織り込まれている。仲野は「ファンならこんな言葉を聞けるのかと、うれしい事ばかり」と観客へアピールしていた。

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最後に“イ・チャンドン監督へ1つだけききたい事”を問われた仲野は、熟考したすえに「映画を撮る上で、脚本を書く上で、人間を描く上で大切にしていることは何ですか?」と質問した。

イ・チャンドン監督は「あえていうならば、本物の人生を描きたい。作られたものではなく、ありのままの人間の姿を見せることだと思っています。観客がそれを本当のように感じられたら、自分の人生と重ねて結びつけてくれると思う。そういう映画を作って、わたしは皆さんとコミュニケーションを取りたいです」とゆっくりと真摯に応えた。

その言葉に仲野は「本当にすてきな言葉をいただけて。大事にしたいと思います」と感無量。MCから監督の作品に「(イ・チャンドン作品に)出たいですか?」と聞かれると「そりゃそうです(笑)!日本の映画もイ・チャンドン監督に多大な影響を受けています。ぜひ多くの皆さんに見ていただきたいです」と打ち明けていた。

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