手塚治虫原作の新作アニメ「火の鳥 エデンの花」11月3日劇場公開 宮沢りえ、窪塚洋介らが参加
2023年7月14日 08:00
手塚治虫氏の名作漫画「火の鳥」望郷編を、STUDIO4℃がアニメ化する「火の鳥 エデンの花」が、11月3日から全国公開される。あわせて、STUDIO4℃が同じ原作を、ディズニープラスでアニメ化する「PHOENIX:EDEN17」の邦題が「火の鳥 エデンの宙」に決定し、9月13日から世界独占配信されることも明らかになった(中国本土を除く)。異なるエンディングの両作品が、連載から約50年経った現代に「人間とは、生命とは何か」を問いかける。
手塚氏が、活動初期から晩年まで手がけたライフワークでもある作品「火の鳥」。全12編の壮大な物語のうち、いままで映像化されていなかったのが“望郷編”だ。映画では、荒廃していく地球に絶望したロミと恋人のジョージが、ふたりだけの新たな生活を始めるため、惑星「エデン17」へと向かう。しかし、そこは水は枯れ、かつての移住者も滅んでしまった星だった。
約7年の製作期間をかけた本作の監督は「鉄コン筋クリート」「ムタフカズ」などで、独自の作風を発揮してきた稀代のクリエイター、西見祥示郎。手塚原作に大胆な現代的アレンジを施しつつ、アニメならではの魅力が溢れる作品世界を構築した。キャラクターデザイン・総作画監督の西田達三、美術監督の木村真二ら、STUDIO4℃作品を支えてきた強力なスタッフ陣も集結。人気作曲家・村松崇継による、壮大なスケール感と詩情をあわせ持つ音楽にも注目だ。
また、主人公ロミを演じる宮沢りえをはじめ、窪塚洋介、吉田帆乃華、イッセー尾形の声優出演も決定。お披露目された劇場版の特報では、地球を逃れ、辺境惑星エデン17で暮らすロミ(宮沢)や、恋人のジョージ(窪塚)、ロミが出会う心優しい少年・コム(吉田)、怪しげな宇宙のよろず屋・ズダーバン(イッセー尾形)ら個性的なキャラクターと、宇宙を荘厳に舞う火の鳥の姿が映されている。1300年の時を生きることになった、数奇な運命をたどるロミの壮大な冒険物語と、宇宙を舞台にした雄大なスケールに期待が高まる映像に仕上がった。
さらに、劇場版のティザービジュアルには、ひとりエデン17に佇むロミの姿が。そして彼女が見上げる空には、大きな翼を広げ羽ばたく火の鳥に、「あなたは、生きなさい。」という、火の鳥からのメッセージと受け取れるキャッチコピーが添えられている。
「火の鳥 エデンの花」は、11月3日から全国公開。「火の鳥 エデンの宙」は、9月13日からディズニープラスで世界独占配信される。声優キャストの役どころとコメント(全文)、制作陣のコメント(全文)は、以下の通り。
■宮沢りえ
ロミ:主人公。恋人のジョージとともに地球を離れ、惑星・エデン17で暮らす。自分の意思を強く人に伝えることはしないが、揺るがない芯を持つ女性。
手塚治虫さんの「火の鳥」。 時を超え、今を生きる私たちに壮大なメッセージが、舞い降ります。それを受け止め、ロミという女性を演じるのは簡単ではなかったけれど、見てくださった方が、今を生きている事、生きる先にある未来を感じてくださる作品になれば良いなぁと思います。
ジョージ:ロミの恋人。ふたりだけの新たな生活を求め、地球から逃亡し、辺境の惑星・エデン17に降り立つ。
自分が手塚治虫先生の作品に関わることができるなんて、とても光栄でした。「火の鳥 望郷篇」は、いま読み返しても、宇宙、真理、命の理についての普遍的なメッセージが込められていて、僕らがどんな時代に生きていようとも伝わり、かつエンタテインメントとして楽しめる作品だと思っています。僕が演じたジョージは、ロミと共に地球を飛び出しエデン17に辿り着く、若気の至りというか、勢い余ってこんなところまで来てしまった、というキャラクターです。20代の溌剌(はつらつ)とした感じを意識して演じました。
コム:宇宙生命体・ムーピーを祖先にもつ少年。進化の過程で、目と耳が退化した代わりに、発達した触覚を活かし、物事を感じることができる。臆病ながらも、心優しい、がんばり屋さん。
物語は、これからどうなるの!っと、ドキドキヒヤヒヤしました。初めてのアフレコで、声をどうやって合わせたらいいのか、わからなくて難しかったけど、スタッフのみなさんが優しく丁寧に教えてくれたので、すごく楽しく収録できました! 優しく思いやりがあって、ゆうかんなコムを演じさせてもらえて、うれしかったです!
ズダーバン:ケルポ49号惑星出身の宇宙のよろず屋。ずる賢く、商魂たくましい。宇宙を彷徨っては、珍品を掘り出し商売をしている。
宇宙のヨロズ屋ズターバン。こういう一見すると、いてもいなくても同じのような人物を作り上げるのが、手塚さんならではのような気がします。無駄を無駄にしなくて、キチンと主筋に送り返すのが、魅力を倍増させます。怪しげであればあるほど、宇宙の奥深さも体感します。役には立つけど、しっかり自分の得は外さない。わかりやすい原理ですね。ズターバンは自分に正直です(笑)。
■西見祥示郎(監督)
山あり谷ありの火の鳥でありました。何十年もの間、親しまれた手塚治虫先生の代表作の一つ。楽な仕事ではありませんでした。この作品に参加してくださったスタッフ一同、同じ思いだとおもいます。原作を何も理解できてないかもしれませんが、原作にあるキャラクターを擬似体現するような、大袈裟に言えば、そんな感じで作品をつくっていたような気がします。
「火の鳥」の望郷編、手塚治虫先生の中では、答えは一つであるかも知れませんが、見た人それぞれ色々な解釈ができる作品だと思います。たくさんあるアニメ作品の中の一つではありますが、目に止まり見終わった後、何かの瞬間にまたフワッ思い出すような作品になれば、これ幸いです。まずは映画はエンターテイメント、楽しんでいただけたらと思っております。
子供の頃から大好きだった、手塚治虫さんの「火の鳥」の世界を、自分が音楽で描けること。本当にうれしく思います。そして、脚本、描かれるアニメーションの世界観を見させていただいた時、一気に音のイマジネーションが浮かびました。その浮かんだ世界は、自分もいまだ出逢ったことのない世界。制作途中、その浮かんだ世界は、あまりにもスケールが大きく、締切に間に合うのか……。それはいつの間にか、時間との戦いになっていました。ダイナミックな神秘的なオーケストラを軸にした「火の鳥」の音世界。ぜひ楽しんでいただけたら、うれしいです。
STUDIO4℃が、世界の巨匠・手塚治虫氏の作品を映画にしない訳には行かない。そして、その作品は手塚氏の永遠のテーマを描くものでなくてはならない。これがミッションでした。集まったスタッフも超一流。作品力も破格です。そして、配信と映画という2つのメディア用に、アナザーエンディングを作ることができました。
深淵なる意味や価値を持つ原作の力を、果たして映画にすることはできたのか。決して簡単ではなかった本映像制作です。時を駆けるSF冒険譚としても楽しんで欲しいし、未来へ向けた人類への警告としても、受け止めてほしい。そして、何より人間の営みへの慈しみを育んでいただければ、全スタッフの努力が報われます。
■手塚るみ子(手塚プロダクション取締役)
「火の鳥・望郷編」が美しいアニメになりました。ロミとコム、そして、牧村が乗りあうミステリアスな星から星へのロードムービー。まるで一緒に同乗しているかのような、岩型宇宙船の乗り心地さえ伝わる。そして、目的地へ近づくとともに問いかけられる真理。果たして、本当に辿り着きたいのは、地球なのだろうかと。人が心から望む故郷とは、求めてやまない居場所とは、この時空のどこにあるのか……。手塚治虫が投げかけたメッセージを、フルスクリーンで届けてくれるこの映画に感謝します。
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