菊地凛子×熊切和嘉監督「658km、陽子の旅」上海国際映画祭で最優秀作品賞 最多3冠の快挙

2023年6月19日 13:00


菊地凛子は最優秀女優賞!
菊地凛子は最優秀女優賞!

菊地凛子熊切和嘉監督が22年ぶりに再タッグを組んだ映画「658km、陽子の旅」が、第25回上海国際映画祭のコンペティション部門において、最優秀作品賞、最優秀女優賞(菊地凛子)、最優秀脚本賞(室井孝介浪子想)の最多3冠に輝いた。

6月9日から中国・上海で開催されていた第25回上海国際映画祭。第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で審査委員長に輝いた「EO イーオー」のイエジー・スコリモフスキ監督が、審査委員長を務めている。同映画祭でワールドプレミアを迎えた「658km、陽子の旅」は、菊地の初邦画単独主演作で「TSUTAYA CREATORS’PROGRAM(TCP)」の関連作品。父の訃報を受け、東京から青森・弘前市の実家までヒッチハイクをすることになった陽子(菊地)が、旅のなかで出会う人々とのトラブルや温かい交流を通して、後悔を抱え孤立した心を癒していく一夜の物語を紡ぐ。

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上海国際映画祭コンペティション部門において、日本映画が最優秀作品を受賞したのは、第8回の三原光尋監督作「村の写真集」以来18年ぶり。最優秀脚本賞を受賞したのは、第15回の「鍵泥棒のメソッド」で内田けんじ監督が受賞して以来11年ぶり。最優秀女優賞は、第19回の阪本順治監督「団地」で藤山直美が受賞して以来7年ぶりとなる。なお、菊地は「バベル」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたが獲得はならなかったため、今回が国際的映画祭での初受賞となる。

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授賞式では、最優秀脚本賞を受賞した室井が「私は映画祭の経験というのがないものですから、このような華やかな場は夢のような場所です。この場にお呼びいただき、大変光栄ですし、賞をいただけると思っていなかったので、本当に嬉しいです。ありがとうございました」と述べると、妻と共同のペンネーム「浪子想」で共同脚本を担当した熊切監督は「このような素晴らしい賞をいただきまして、大変光栄に思います。浪子想と言いますのは、私、熊切和嘉と妻の熊切智子の共同のペンネームでして、今回もちろん室井さんの脚本が素晴らしかったのですが、そこからさらに妻の力で、主人公の女性を深く掘り下げて描けたのかなと思っています。妻にこの場を借りて、感謝をしたいと思います。ありがとうございます」と感謝を伝えた。

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最優秀女優賞を受賞した菊地は「まさか、初めて上海国際映画祭というこの素敵な映画祭によんでいただき、このような素敵な賞をいただいて本当に嬉しいです。20年前に自分を拾ってくれた熊切監督の作品で、こうして賞をいただけて大変うれしく思います」とコメント。

また、MCから「中国でも、知名度のある菊地凛子さん。中国の映画監督と一緒に映画を作りたいと思ったことはありますか? 旦那さん(染谷将太)は、中国のチェン・カイコー監督の映画で、主演として出演したことがありますが、ご自身は、どう思われますか?この会場にいる素敵な中国の俳優や監督と一緒に中国で映画を作りたいと思いますか?」という質問が投げかけられた。

菊地「是非。自分が子どもの頃から中国の映画を見て育ってきましたし、本当に出演してみたいんですけど、中国語の挨拶すら難しくて。今から勉強します!」

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最優秀作品賞受賞を知らされた3人は再び壇上へ。

熊切監督「まさかこんなに賞をいただけるなんて全然思ってもいなかったので本当に嬉しく思います。ありがとうございます」

菊地も「3つも賞をいただけるとは思ってもおらず、本当にありがとうございます。主人とは『獲りました』『おめでとう』とメールで会話しました。主人にも感謝したいと思います」

658km、陽子の旅」は、7月28日に東京のユーロスペース、テアトル新宿ほか全国で順次公開。審査員講評・受賞理由、受賞後のコメントは、以下の通り。

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【審査員講評・受賞理由】

作品賞講評:「この映画は、ロードムービーを創造的な方法で探求し、昨今の日本で暮らす平凡な人々の平凡な日常を描くなかで、ヒロインが自分自身を発見するプロセスを目撃させます。審査員は満場一致で本作が唯一無二の作品だと評価しました」

脚本賞講評:「これが人生・社会・希望と絶望の旅についての深遠な物語であり、更にそれ以上に自己発見についての物語であると評価したため、最優秀脚本賞を授与します」

女優賞講評:「映画の中の菊地凛子の表情豊かな目と震える手は審査員たちの心を捉え、キャラクターを内面化する彼女の演技力は“俳優”の存在を忘れさせます。彼女の演技はキャラクターに命を吹き込みました」


【受賞後コメント】

――熊切和嘉監督、最優秀作品賞という大きな賞をもらった感想をお願いします。

熊切監督:菊地さんといつかまた仕事したいと、20年間思っていて、それがかなったので、撮影中から夢の中にいるようでした。それが、まだ続いているような気持ちです。

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――室井孝介さん、今回の脚本は、作りやすいストーリーではないと思います。難しいと思ったこともあるかと思いますがいかがですか?

室井:本作は、私の実体験が入っています。母親を16年前に亡くしました。事故があった日に、病院から電話が掛かってきました。その電話に出たのですが、その時には、「とにかく病院に来てくれ」というだけで、容体を教えてくれない訳です。なので、病院に向かいました。その時に、母の容体のことや、これからのこと、これまでのことなどを考えてわずか1時間かからない道のりが、すごく長い時間に感じられて、その時の圧倒的な時間というのを、何かドラマにできないかな、と思い、この物語になりました。

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――初めての主演女優賞受賞、今のお気持ちをお聞かせください。

菊地:本当に光栄です。まさか自分がとると思っていなかったので、油断して気を抜いていたら名前を呼ばれたので、驚きとその事実を受け入れるのに時間がかかりました。国際映画祭に初めて呼んでいただいたこの上海で、皆さんに温かく迎えていただき、女優賞、脚本賞、作品賞をいただけるとは思ってもいなかったです。役者をやっていて、心からよかったと思います。ここからの役者人生、また身が引き締まる思いです。20 年前に熊切監督に拾っていただいたことも、こうしてまた新しい作品で監督に感謝できる環境にこられたことは、何よりも自分の宝物です。この作品を愛していますし、多くの方にこの作品が届くことが幸せです。審査員の方に舞台裏で「審査員みんながあなたに決めたのよ」と言われ、映画にも感動したと言っていただいた。その言葉がとても嬉しかったです。(そう話してくださったのは)インドの審査員の方で、こうやって国際映画祭に参加することで、国境関係なく、1本の映画で心を揺さぶられるということが自分の身に起こるんだということは幸せだなと思います。またいただいた役を真摯にひとつずつやっていこうと、心に誓いました。

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