【第76回カンヌ国際映画祭】役所広司が男優賞 W・ベンダース監督「PERFECT DAYS」東京の公共トイレ清掃員役 日本人受賞は19年ぶり2人目
2023年5月28日 09:05
第76回カンヌ国際映画祭授賞式が5月27日(現地時間)あり、ドイツのビム・ベンダース監督が日本人キャストを起用して製作した、日本の公共トイレを舞台にした映画「PERFECT DAYS」(原題)主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞した。俳優部門での日本人の受賞は2004年に是枝裕和監督作「誰も知らない」で、史上最年少で同賞を受賞した柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる。また、本作はキリスト教の団体が選出するエキュメニカル賞も受賞している。
映画はベンダース監督が2020年から東京・渋谷区内17カ所の公共トイレを、世界的に活躍する16名の建築家やクリエイターが改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同し、日本の公共トイレのなかに“small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)”を見出し、役所が演じる主人公のトイレ清掃員の男、平山の日々の小さな揺らぎを丁寧に追った物語。
役所にとってカンヌで受け取る2つ目のトロフィーとなる。授賞式後の日本メディア向けの会見で役所は「(1997年の今村昌平監督作)『うなぎ』の時は興奮していて、まさかパルム・ドールとは思わず、監督の代わりにもらいました。欧米のみなさんはプレゼンターにハグとキスをして受け取っていたのですが、僕はギリギリまで迷っていました。日本人らしくお礼をして、カトリーヌ・ドヌーブさんからいただいた記憶があります。今回は監督も近くにいたので、監督、スタッフとともに分かち合えた受賞でした」と振り返る。
そして今回は男優賞という栄誉に「いろんな方の名前が呼ばれる中Koji Yakusyoと呼ばれたので、びっくりしました。(作品上映後)いろんな方に『とても良かった』と褒められ、乗せられてたので、そんな(受賞する)こと思っちゃいけないなという気持ちと、あるかもしれないなという気持ちがあった。壇上から監督の顔を見ていただら喜んでいたのでうれしかったです」と喜びを語り、「やっと柳楽君に追いついたかな(笑)。柳楽君は素晴らしい俳優になりました。この賞に恥じないように頑張りたいと思います」と意気込んだ。
今後、海外作品からのオファーがあるのでは?との問いには「日本人を演じられるのなら、自分の演技が役に立つ作品があれば参加したい。ですが、まずは自分たちの国の映画で世界の人に楽しんでいただくのが早道かなと思います」と語った。
共演は、平山の姪役に新人の中野有紗。その母、平山の妹に麻生祐未。平山と奇妙なつながりをもつホームレスに田中泯。同僚の清掃員に柄本時生。そのガールフレンドにアオイヤマダ。平山が休日に訪れる居酒屋のママに石川さゆり。その元夫に三浦友和ら。日本配給、公開は未定。
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