【第76回カンヌ国際映画祭】北野武6年ぶり新作「首」に熱狂的スタンディングオべーション 北野監督「次回作はお笑いをやらないと」とジョーク
2023年5月24日 11:00
第76回カンヌ国際映画祭で、北野武監督の6年ぶりの新作「首」がカンヌ・プレミア部門で披露され、熱狂的なスタンディング・オべーションで迎えられた。北野監督がカンヌを訪れるのは、2010年の「アウトレイジ」以来とあって、多くの観客が待ち望んでいたのかが感じられる反応だった。上映中はところどころで笑いも起き、「ビートたけし」マジックの健在ぶりを証明していた。
本作は、北野監督が30年来構想していたという戦国スペクタクル。天下を取った織田信長が、「本能寺の変」で明智光秀の謀反に倒れるまでを、ユーモアとヴァイオレンスを交えながら豪華キャストで描く。
上映後、会場で挨拶を求められた北野監督は、「ありがとう。今度はもうちょっといい映画で来ますので、よろしくお願いします」とおどけながらも、満面の笑みを浮かべた。また北野監督を囲み勢ぞろいした西島秀俊、加瀬亮、浅野忠信、中村獅童、大森南朋のキャスト陣も、それぞれに喜びを噛みしめている様子だった。
会場には元文化大臣のジャック・ラングや、北野監督が以前展覧会を開催したパリ・カルティエ財団のディレクター、エルベ・シャンディス、今回コンペティションに参加した是枝裕和監督、さらにエリア・スレイマン監督の姿も。会場で自ら熱心に写真を撮っていたスレイマンは、「『ソナチネ』の時代からずっと北野監督にはインスパイアされ続けている」と語ってくれた。
上映後、日本のマスコミの取材に応じた北野監督は、「意外に細かいところが受けていたので、次回作はお笑いをやらないといけないなと思いました」と冗談混じりにコメント。またキャスト陣はそれぞれ、「何度か映画祭に立ち会っていますが、いままでのなかで一番、素晴らしい上映だったと感動しています。観客のみなさんが集中して、面白いシーンは全部笑って、最後まで観て頂き、胸が一杯です」(西島)、「映画が始まる前から監督がものすごい熱気で迎えられているのも素晴らしいと思いましたし、映画中のリアクションも良くて、終わった後の拍手も熱気が篭っていたので、楽しんで頂けたのだと実感しました」(加瀬)、「こうしてカンヌに連れてきて頂いて、監督に感謝しています。役者がアドリブでやったようなところなども、思った以上に笑いが起きていたので、びっくりしたと同時に嬉しかったです」(中村)、「カンヌは初めてなんですが、熱狂ぶりに感動しました。映画自体も、アドリブのところが受けなかったらどうしようと心配していたんですが、しっかり受けていて安心しました」(大森)、「作品を観たのは今日で2度目だったんですが、楽しめるポイントがたくさんあり、途中から僕もお客さんと同じように笑えて、家族で映画を観ているような幸せな気持ちになれました」(浅野)と、口々に喜びを表現した。
北野監督はこれからの一般公開に向けて、「カンヌで温かく受け止められたので、日本のお客さんにも同じように受け止めてもらえたらうれしいです」と言葉を添えた。(佐藤久理子)
「首」は、11月23日から日本で公開される。
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