池松壮亮、宮藤官九郎と初タッグ 「季節のない街」で仲野太賀、渡辺大知との初共演も実現
2023年5月23日 06:00
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俳優の池松壮亮が、宮藤官九郎が企画・監督・脚本を務めるドラマ「季節のない街」で主演を務めることがわかった。池松が、脚本も含めて宮藤作品に参加するのは、本作が初めて。仲野太賀、渡辺大知の出演も発表され、実力派3人の初共演も実現した。
宮藤が敬愛する山本周五郎氏の傑作小説で、黒澤明監督作「どですかでん」(1970)の原作としても知られる小説「季節のない街」をドラマ化。宮藤版では、12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと舞台を置き換え、現代の物語として再構築。希望を失い、街にやってきた主人公の田中新助こと半助(池松)が、住人たちの姿に希望を見出し、人生を再生していく青春群像エンタテインメントを紡ぐ。宮藤とともに、「俳優 亀岡拓次」の横浜聡子、「ドライブ・マイ・カー」に監督補として参加した渡辺直樹が監督を担う。
ワケあり住人がギリギリの生活をする“街”。そこで見たもの、聞いた話を報告するだけで報酬がもらえるという軽い気持ちで、1匹のネコと一緒に街に潜入した半助は、街を観察するうちに、たくましく生きる住人たちを好きになっていく。そんななか、仮設住宅が取り壊されるという噂が街に流れ始める。
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主演作「シン・仮面ライダー」も話題を集めた池松が、“ナニ”によって何もかも失い、ただ生きているだけの男だった半助役を務める。「宮藤官九郎×山本周五郎×どですかでん×ディズニープラスという、ものすごい組み合わせへの参加に心がときめきました」と声を弾ませ、「時代の大きな変化の中で、物語の力と、あの街を信じて、無くなってしまうことへのささやかな抵抗になればと思いました」と語る。
仲野が演じるのは、自身が率いる街の青年部に半助を誘うタツヤ。宮藤が作・演出を務める現在上演中の舞台「ウーマンリブvol.15『もうがまんできない』」にメインキャストとして出演しており、宮藤が脚本を手がけたドラマ「ゆとりですがなにか」の演技も高く評価されている。「邦画を代表するようなアベンジャーズみたいなスタッフ陣と、最高に素敵な俳優が集まって、仮設住宅で2カ月半の缶詰状態。右見ても左見ても面白い人ばかりで、才能の大渋滞」と、充実した現場の様子を振り返っている。
そして、青年部のメンバーで、酒屋の息子・オカベに扮するのは、ミュージシャンであり、俳優としても活躍の場を広げる渡辺。バンド「黒猫チェルシー」の活動で宮藤とは旧知だが、俳優として宮藤作品に参加するの、NHK大河ドラマ「いだてん 東京オリムピック噺」以来となる。「次から次へと個性あふれる魅力的なキャラクターが生き生きと大暴れしていて、毎話、心がじんと熱くなりました」と魅力を語り、「見ていただいた方にも、この“街”を愛してもらえたら、うれしいです」とアピールしている。
実力と個性を兼ね備えるキャスト陣の集結に、宮藤は「3人が互いを尊重し、刺激し合いながら、現場でどんどん膨らませてくれました。彼らのおかげで、2023年版の『季節のない街』は、紛れもなく今を描くドラマになったと思います」と、確かな手応えを示している。
「季節のない街」(全10話)は、ディズニープラスの「スター」で、8月9日より一挙配信される。池松、仲野、渡辺、宮藤のコメント(全文)は、以下の通り。
宮藤官九郎×山本周五郎×どですかでん×ディズニープラスという、ものすごい組み合わせへの参加に心がときめきました。宮藤さん、横浜さん、渡辺さん、素晴らしい3名の監督たちと、素晴らしいスタッフキャストと共に、あの街で2カ月半を過ごしました。
もうなくなってしまったあの街のことを、今なお恋しく思います。あの街にはどうしようもない人たちしかいませんが、みんな大して抜け出そうともせず、むしろしっかり生き生きと楽しんでいます。またあの街には良くないことばかりが起こりますが、目に見えない大切なことによって、底辺からのイマジンによって世界がつなぎとめられ、ささやかに美しく輝き続けます。時代の大きな変化の中で、物語の力と、あの街を信じて、無くなってしまうことへのささやかな抵抗になればと思いました。
あるところに、街があった。宮藤官九郎版「季節のない街」どうぞご期待ください。
宮藤さんが「どですかでん」? 主演が池松壮亮? しかもディズニープラスで?
なんだそれ、そんなの絶対面白いに決まってるじゃん!と、お話を頂いた時に興奮したのを覚えています。蓋を開けてみると、邦画を代表するようなアベンジャーズみたいなスタッフ陣と、最高に素敵な俳優が集まって、仮設住宅で2カ月半の缶詰状態。右見ても左見ても面白い人ばかりで、才能の大渋滞。俺この中でやってけるかな……、と思いつつも、与田タツヤという素敵な役を演じさせて頂きました。
これは人間讃歌の物語です。笑って泣いて、踊って、ぶち切れて。悲喜交々の全部入りです。どうか楽しみにしていてください!
(脚本を)読むことが楽しくて、ずっとワクワクしながらページをめくっていました。次から次へと個性あふれる魅力的なキャラクターが生き生きと大暴れしていて、毎話、心がじんと熱くなりました。
人間だから、生活が脅かされたり、予期せぬ出来事が起こった時には、ビビったり、悲しくなったり、悩んだり、不安になったりすると思うんですが、このドラマに出てくるひとたちはみーんな不思議なほどにゲラゲラ笑っていて、生命力に満ちているんです。最初はヘンテコだなぁなんて思ってたんですが、今はこの「街」が愛おしくて仕方ないんです。
日々落ち込むこともそりゃありますが、そんな時こそ寄り添ってくれる、やさしい作品になっているかと思います。宮藤さんと、その思いに賛同したたくさんの方々の魂で作った作品。参加できて光栄でした。見ていただいた方にも、この“街”を愛してもらえたら、うれしいです。
60年前に書かれた原作小説「季節のない街」を、今ドラマ化する意味について、ずっと考えていました。何しろ黒澤明監督の「どですかでん」という大傑作が、すでに存在している。安易で独りよがりなオマージュになってはいけない。
そこで舞台を仮設住宅に置き換え、黒澤版では割愛されていた2つのエピソード「半助と猫」「親おもい」を復活させ、それぞれの主人公である半助とタツヤ、さらに「がんもどき」に登場する酒屋の青年オカベを加え、3人の若者の視点で“街”を描くことで、この難関をクリアしようと考えました。
半助には池松壮亮くん。一方的にファンなので、逆に声をかけづらい存在でしたが、一緒にやるならこれだ!という強い思いが届いたのでしょうか。絶望と悲しみを内に秘めつつ、決して重くなりすぎず、時に観客の目となり、街の変人たちを絶妙な距離感で見守る半助。彼のバランス感覚こそ、このドラマの要だったと思います。どこか冷めていた半助が、ラストに向かって変貌していく様も見どころです。
タツヤ役には仲野太賀くん。たった一人の青年部。母親の愛情に飢えた、承認欲求高めな“親思い”の次男坊。ある意味もっとも可哀想な男なんですが、太賀くんの持つ、天性の明るさとコメディセンスのおかげで、打たれ強い、そして立ち直りの早い愛すべきキャラクターになりました。
オカベ役は渡辺大知くん。厳密には街の住人ではなく、近所の酒屋の息子です。好きな女の子目当てに街に出入りしている。この街で、唯一の恋愛要素を、時に切なく、時に陽気なストーカーすれすれの執拗さで、おおむね切なく演じてくれました。
3人が互いを尊重し、刺激し合いながら、現場でどんどん膨らませてくれました。彼らのおかげで、2023年版の「季節のない街」は、紛れもなく今を描くドラマになったと思います。
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