【「テトリス」評論】あの傑作パズルゲームが世界に届けられるまでを描いたビジネス・アクション
2023年4月16日 08:30

1984年にソ連のコンピュータ科学者アレクセイ・パジトノフによって考案された落ちものパズルの元祖「テトリス」。これまでに世界で2億本以上を売り上げ、20世紀最大のヒット(その後「マインクラフト」に抜かれる)を記録したモンスター・ソフトだ。このゲームに魅せられ、版権を獲得しようと悪戦苦闘するプログラマー起業家ヘンク・ロジャースの姿を、その驚異的な行動力とともに描く。主演はタロン・エガートン、ニキータ・エフレーモフ、トビー・ジョーンズ、アンソニー・ボイルなど。主人公の妻役に長渕剛と志穂美悦子の娘である文音が扮するほか、プロデューサーに「キングスマン」などでタロンとの仕事も多い映画監督のマシュー・ボーンと、その妻で元スーパーモデルのクローディア・シファーがクレジットされている。
88年のラスベガス。家電見本市に出品されていたゲーム「テトリス」の虜になり夢にまで見るようになったヘンク(タロン・エガートン)。彼は東京にある自身の会社で権利を取得し、世界中のプレイヤーに届けることを決意する。しかし、仲介業者のスタイン(トビー・ジョーンズ)やライバルのマックスウェル(アンソニー・ボイル)らが障害となり交渉は停滞。ついにヘンクは開発者パジトノフ(ニキータ・エフレーモフ)に直接会うべく、共同経営者である妻アケミ(文音)の心配をよそに、冷戦まっただ中のソ連に単身で渡る。

ゲームファンなら誰もが知る、あのテトリスが世に出るまでの驚くべき物語だ。舞台は崩壊直前のソ連。ここに発売直前のゲームボーイも絡み、ゴルバチョフ(似てる)や任天堂の山内溥社長(かなり似ている)などが登場し、雑多で活気に満ちた日本の初期デジタル業界の雰囲気も再現される。
前作「僕たちのラストステージ」で伝説の喜劇コンビ、ローレル&ハーディの実像と虚像を、長回しの映像で見事に描いた監督のジョン・S・ベアード。今回はレトロゲーム風のCG画面に当時の流行歌を乗せるギミックを多用、鉄のカーテンの向こうでKGB工作員や共産主義者が入り乱れる国情を交え「アルゴ」「モガディシュ 脱出までの14日間」のようなアクションたっぷりのポリティカル脱出劇として演出してみせた。
個性豊かな悪役陣に比べると、ヘンクとパジトノフのベイビーフェイスぶり(いかにもAppleオリジナル作品に共通する生真面目さを感じる)は少々食い足りないが、これは本人たちが直接シナリオを撮影前にレビューした結果かも。ともあれ、シンプルの極致のようなテトリスの裏側にあった複雑怪奇な歴史に驚かされる。思わずスマホでテトリスのアプリを探してしまう一作だ。(本田敬)
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